ヘビー・メタル・ミュージックはあらゆる場所で育っている(APMA関連)(前編)
ゲイリー・ブロック(2016年8月5日)
[訳注:以前翻訳した「オハイオ、そして世界のメタル事情」の完全版です]
メタル・バンド、OMENIのウィルミントンのミュージシャン
コロンバス発:7月18日に偶像的なヘビー・メタル・シンガー、JUDAS PRIESTのロブ・ハルフォードがステージに立ち、新しい波である日本のヘビー・メタル・バンド、BABYMETALと共演したとき、伝統に浸かったこのジャンルのファンの多くが驚いた。
だが、ボウリング・グリーン州立大学の文化分類学者で、ポップ文化の教授であるジェレミー・ウォーラチ博士は、この共演にはまったく驚かなかったという。
ヘビー・メタル・ミュージックは米国で人気が高まっているばかりではなく、世界中でのアピールが大きくなっていると博士はいう。そしてこの国際的な成長と共に、ヘビー・メタル・ミュージックの定義にも変化が見られる。
この「新旧の」音楽の歴史的な組み合わせで、ジーニア出身のウィルミントンのクリス・エリオットも、ワシントン・コート・ハウスの音楽ブロガー、ジョナサン・ウィリアムズもやはり驚かなかった。
コロンバスのオルタナティブ・プレス・ミュージック・アワード・ショーのステージで、ハルフォードとBABYMETALのリード・シンガー、中元すず香は、象徴的なJUDAS PRIESTの曲、"Painkiller"さらに続いて"Breaking the Law"を歌った。この驚愕の13分の演奏は、満員のショッテンスタイン・センターでスタンディング・オベーションを受けた。
この組み合わせは、メタルの成長するアピール、そして成長する国際色を十分納得させるものとなった。
事実、イエロー・スプリングスのゴアグラインド・メタル・ミュージシャンであるディラン・テイラー・レーマンは、自分が最も訴えかけるものと感じるのはメタル・ミュージックのこの国際的な成長そのものであると述べている。
伝説と新顔たち
ウォーラチ博士は、シビタス・メディアに、ハルフォードとBABYMETALのステージでのパフォーマンスは驚きではなかったと言う。ハルフォードは「メタルの多様性を受け入れる上で最前線にいる。彼は多くの異なったアーティストや異なった観客を認める上での鍵となる人物となってきた」からだ。
実際、博士はメタルの世界の多くの演奏者がBABYMETALと新しい国際的な波を支持してきたという。「SLAYER、ロブ・ゾンビといったアーティスト……ハルフォードだけではない。彼がBABYMETALを支援したことは驚くに値しない」
博士は、BABYMETALがアメリカで多くのメタル・ファンの敬意を得てきたと言う。「このことを話すと、アメリカのノン・メタル・ファンの多くは驚いた。彼女たちはMACHINE HEAD、DISTURBED、あるいはTHE BLACK DALIA MURDERSのようなバンドと同じような関心と敬意を受けてきた。なぜならば、彼女たちはライブを行い、観客を惹きつけることができるからだ」
BABYMETALは、3人のメンバー、中元(18歳)、菊地最愛(17歳)そして水野由結(17歳)でスタートし、5年前に日本でデビューした。彼女たちは2枚のCDをリリースしており、セカンド・アルバムの「Metal Resistance」は4月1日のリリース後にビルボード・トップ40入りしている。またこの春にはザ・レイト・ショー・ウィズ・ステーヴン・コルベアで米国のテレビ・デビューを飾った。
ウォーラチは、この新顔のサウンドには何か新しく、新鮮なもの、変さがあるという。でも人々はそれが好きなのだと博士は指摘する。「BABYMETALは通常はヘビー・メタルを追いかけていなかったり、その存在を知らなかったりするような人々にヘビー・メタルについての何かを示している。そしてBABYMETALが存在して欲しくない人々もいる」と、メタル・ミュージックの純粋主義者の間の「BABYMETALヘイター」の一群について触れて、ウォーラチはこう語っている。
「BABYMETALのファンの間には、通常でない何かを楽しみ、受け入れようとする気、そして誰もが同じではないということを受け入れようとする気がある」とウォーラチはいう。このバンドは、東京からオハイオへと、メタル音楽の世界で起こっている変化の一例に過ぎない。
メタルの様々な変化
クリス・エリオットは、メタル・バンド、OMINEのリード・ギタリストだ。エリオットによれば、過去数年の間にヘビー・メタルがものすごく再燃するのを見てきたという。「メタルをまったく新しい方向に運んでいる複数のバンドが存在している。メタル・シーンはずっと大きくなりつつある」
ジーニア高校の卒業生であるエリオットは、デイトン・メトロポリタン・エリアは、米国内で14番目に人気のあるメタル・シーンとして評価されてきたという。メタル・ミュージックは、常に業界の支柱であり続けてきたが、いまは成長と変化のただ中にある。「俺は多くの新しい安堵が出てくるのを見てきた。いまはとてもエキサイティングな時代だ」
エリオットの4人編成のバンドは、自身がギター、デイトン出身のティム・ハスティーがボーカル、センタービルのコール・ボハノンがベース、そしてジーニアのコリー・ホールがドラムスを担当している。
彼のバンドは、結成してから1年半ほどになる。そのジャンルはデス・メタル、パワー・メタル寄りのバンドだ。ほとんど毎週末にオハイオなどの州で演奏を行い、CANNIBAL CORPOSEのような全国的なメタル・バンドの前座を務めている。
「全国的なステージではまったく話が違う」とエリオットはいう。
彼は、TRILLIUM、DYING FETUS、ALL THAT REMAINS、DREAM THEATER、MEGADETH、それにSLAYERのようなバンドを「もちろん」聴いている。
もう(それほど)男の子のクラブではない
コロンバスのローラ・ミラーは、小さいが、成長しつつある一群の女性ミュージシャンの一人だ。彼女は、ヘビー・メタル・バンド、FOOL'S CROWNのリード・ギタリストだ。
彼女は、この前の月曜に15歳の双子の娘をAPMAショーに連れて行き、ショー全体が「とにかく素晴らしかった」と思った。彼女は、娘たちも演奏がとても気に入ったと付け加えた。
彼女にとって、ハルフォードとBABYMETALのステージ・パフォーマンスは驚くべきものだった。「やるということは聞いていたわ。BABYMETALは多くのバンドよりも(ヘビー・メタルのジャンル)を押し広げてくれているから気に入っている。演奏はすごかったと思う」
彼女は、多くの海外のメタルを聞くわけではないが、BABYMETALやSCANDAL、そしてBAND-MAIDSのような女性をフロントにした複数の日本のメタル・バンドを評価している。
「こちら(米国)では、バンドにそれほど多くの女性がいるわけではないの」と彼女はいう。「得られるべき尊敬を得ていないのよ。そうならない理由が分からない」
ミラーは、ALL THAT REMAINS、NIGHTWISH、EVANESCENCE、IN THIS MOMENT、そしてHALESTORMのように、メタル・バンドにもっと女性が増えて欲しいと言う。
彼女は自分の娘たちにバンドでプレイして欲しいのだろうか? 「もちろんよ! 二人には自分がやりたいことがそれならば、演奏するようにすすめるつもり。でもバンドで演奏するには、ものすごく時間を掛け、たくさん努力しなければならないのも分かっている」
ミラーは、いま聴いているのはTHE DESCENDANTS、KILLSWITCH ENGAGE、それにDREAM THEATERのようなバンドだという。
彼女のバンドには、ドラムスに夫のマット・ミラー、ベースにジム・スワンソン、そしてボーカルにクリスチャン・エリスが含まれており、13年以上一緒に活動しているという。「私たちはスラッシュ・パンク・メタル・バンドと呼ばれている」と彼女はいう。
▼元記事
Heavy metal music growing everywhere
>ベビーメタルのファンは通常でない何かを楽しみ、受け入れ、そして誰もが同じでは無い事を受け入れる気を感じる。
返信削除凄い深みがある言葉だと思う。
ベビーメタルを聞きつづける事が音楽に対する新しい概念を作り上げる事を意味している。
そう受け取りました。