2016年4月17日日曜日

[Heavy Metal Quizzer] 「Metal Resistance」レビュー

BABYMETAL – Metal Resistance

tommead1987 (2016年4月7日)




メタル・ファンをこれ以上、分断したバンドがあっただろうか? このJポップ・クロスオーバー・バンドはそもそも「メタル」と考えられるべきだろうか? どうやって作り物のYouTubeバンドが、ウェンブリー・アリーナをソールドアウトにするまで、若いポップ・ファンやヒゲもじゃのメタル・ファンに同じようにアピールしたのだろうか? このような疑問は、BABYMETALの"ギミチョコ!!"ビデオが疑いを知らず、とても混乱した世界に公開されてから、2年に渡って、ロック=メタルの世界を困惑させてきた。一つ確かなことがある。多くの人々が一時的な成功だとして片付けてきたものは、そうではなかったことを証明してきた。セカンド・アルバム、「Metal Resistance」のリリースにより、BABYMETALは、暴走する貨物列車の勢いを得て、まもなく世界を支配するだろう。そして私としては、新しい日本人の支配者を歓迎する。

BABYMETALのバンド名を冠したデビュー・アルバムについて確信が持てなかった者は、「Metal Resistance」がはっきりと異なったフィールを持っていることを述べておく価値があるだろう。おそらくは、女の子たちの年齢が上がったために、より成熟した音を創ろうという統一の取れた取り組みがあるように思える。デビュー・アルバムの曲は、5年以上に渡って書かれ、スゥメタル、モアメタル、そしてユイメタルの年齢も10歳から14歳へとまたがっており、結果として、スタイル的な統一性がはっきりと欠けていた。現在は16歳から18歳となり、もう小さな女の子ではない。以前の音楽を特徴付けていた、可愛くて、バブルガムな曲はずっと減り、プロデューサーやミュージシャンは、BABYMETALが何らかの長期的なアピールを持つためには、よりシリアスなメタル・サウンドが必要になることを理解している。単に行き当たりばったりに、Jポップとメタルの要素を貼りつけるのではなく、「Metal Resistance」の音楽は、ずっと知的に異なったスタイルのブレンドを特長としており、結果としてずっと優れた芸術的かつ文化的な声明となっている。

とにかくあらゆる種類のおよそメタルというものがここでは探求されており、BABYMETALの得意なスタイルがうまく行っていない曲は存在しない。1曲目の"Road of Resistance"は、既にBABYMETALの英国盤のボーナス・トラックとして登場しているので、多くにとってはおなじみだろう。DRAGONFORCEのギタリストたち、ハーマン・リとサム・トットマンをゲストに迎え、これは基本的にDRAGONFORCEの歌で、その上にBABYMETALが歌っているものだ。耳から離れないボーカル・メロディーで1時間に百万マイルの勢いで、この曲は、アルバムを栄光に満ちたエピックな始まりへと導く。続く"Karate"は、アルバムの先行シングルで、'90年代のニューメタルとインダストリアルの雰囲気を持ち、ヘビーなリフとキャッチーなコーラスが、山のようなメロウで、内省的な瞬間と共に散らばっている。一種のKORNミーツTHE CRANBERRIESという感じだ。このオープニング2曲のワンツー・パンチは、デビュー・アルバムからBABYMETALがどれだけ進化したのかを示している。甘いJポップの陽気さよりもずっと、ずっと多くのものが存在する。

伝統的なJポップの要素は、アルバムの残りを通じていまだにたくさん残っているが、以前よりもずっとよりヘビーなメタルの側面と融合している。"あわだまフィーバー"は、アップビートであると同時に、ものすごいリフが中間部で入り込んでくることで、最も皮肉屋の「真のメタル」ファンであってもきっと転向するだろう。"META メタ太郎"は、ライブで演奏するために作られたアンセムで、ずっと歌い続けることになるだろう。キャッチーなボーカル・メロディーを持つJポップは、RAMMSTEIN風の素晴らしい軍隊風リズム、それに多くの欧州のパワー・メタル・バンドがそのキャリアを通じて書こうとして(失敗して)きたキャッチーな・キーボード・リフと組み合わされている。そして"Sis. Anger"は、だらだらした部分がなく、そのデス・メタルの強烈さと共に、CANNIBAL CORPSEの領域にフルに入り込み、キャッチーなコーラスにもかかわらずブルータルそのものだ。BABYMETALが作り物だということは忘れているだろう。これは若いミュージシャンによる有機的な作品というよりは、レコード会社の産物かも知れないが、結果がこれほどいいとしたら、誰が気にするだろうか?

でも一番良いものは最後に取ってある。最後の3曲は、私がしばらく聞いてきた中で最も楽しいメタル・ナンバーに入る。“No Rain, No Rainbow”は、恥も外聞もないバラードで、輝かしい派手なギター・ソロが入っている。わざとらしさの正しい側ぎりぎりにうまく留まった。いずれ、アニメの大作のエンド・クレジットにかかるのを聞けるのではないか。"Tales of the Destinies"は、プログ・メタルの怪しさをたたえたものすごいポリリズムのかたまりであり、DREAM THEATERやDILLINGER ESCAPE PLANからの影響がはっきりと聴いて取れる。その真正の大胆さは、この上なく印象的だ。それから最後に"The One"がある。このアルバムのインターナショナル盤では英語で歌われ、BABYMETALの女の子たちは、このエピック・メタル・アンセムで、その声のフル・パワーを指名している。素晴らしい戦地招集であり、リスナーにさらに多くを望ませ、将来のリリースではどのようなものが出てくるのかと思わせるだろう。

BABYMETALはJポップとメタルを組み合わせるという興味深い実験だが、「Metal Resistance」はこのコンセプトをずっと高いレベルへと引き上げた。これはJポップの影響下にあるメタルであり、おそらくは新しい音楽ジャンルの始まりだろう。私は、このアルバムを、BABYMETALを切り捨てたすべての人たちに試すよう強く勧める。本当の頑固者でなければ、ここに多くの楽しみを見いだせるだろう。目新しいだけのものは、コンセプトを支える曲なしに、このレベルの持続した関心を集めることはできない。「Metal Resistance」はBABYMETALとそのプロデューサーが、この取り組みを本当に真面目に考えていることを示しており、これはまだ始まりに過ぎないことは確かだ。(ヘイターたちよ、すまんな!)

評決: 9/10

▼元記事
https://heavymetalquizzer.wordpress.com/2016/04/07/babymetal-metal-resistance/


7 件のコメント:

  1. 素晴らしいレビュー。
    翻訳ありがとうございます!

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  2. 翻訳ありがとう~!
    これまでたくさんのアルバムレビューを翻訳してもらって思うけど、ラスト3曲の評価が本当にまちまちで面白いね。
    酷評もあれば、今回のように絶賛もあって、でも、それこそがベビメタが多くの多様性溢れるファンを獲得している証なんでしょうね。

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  3. 恥も外聞も無いバラードで←面白すぎる表現!
    コテコテのという感じでしょうね。


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  4. それぞれの音楽的バックボーンが何かによって評価が変わるのかなって思います。それだけ色んな人にそれぞれ違った印象を与えながらも、ほとんどの人が総合評価が高いって言うのがホントに凄いと思う。

    そしてアルバムはある意味ベビメタの音楽面だけで、ライブにはあの3人のパフォーマンスが加わる。視覚聴覚をフルに刺激されたら、ひれ伏すしかないですよね(笑)

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  5. ファーストは1発屋みたいに思われて、けど成功して。
    セカンドで評価がぐんっと上がってしまっただけに、
    確実に次のアルバムは世界中の人達が期待して待つ事になるだろうな。

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  6. セカンドに対するいろいろな評価がある中で、これは珠玉!
    今!でなく、海外ライブをいっぱい重ねて、将来的にはやっぱり、
    セカンドスゴイよねって言われるようになった時、
    このレビューの先見性が評価されるでしょう。

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  7. 『メタ太郎』を「多くの欧州のパワー・メタル・バンドがそのキャリアを通じて書こうとして(失敗して)きたキャッチーな・キーボード・リフと組み合わされている」と独自の視点で評価したり、とても良いレビューですね。
    本当に良いものを、先入観や固定観念に囚われず正当に評価する。
    「企業のプロジェクトだから」と固定観念に囚われて音楽を正当に評価できないサム・ダンの様な愚か者に爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい。

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