日本のメタル・バンド・トップ10(完全版)
ドム・ローソン(2016年9月19日)
[すべてのバンドを翻訳した完全版です]
日出づる国は、急速に勃興しているメタル・シーンの故郷でもある。以下に、東方の獣を構成するバンドを10組ご紹介しよう。
日本がそれ以外の世界に与えた最高のものはなんだろうか? いや、ポケモンGOではない、ぼけ。これは最高だという評価を受け、また鉄条網のフェンスにタマをはさまれたクズリよりも激しいヘビー・ミュージックだ。日本のメタル・シーンはこれまでになく知られるようになっており、多くのメタルヘッズがはじめて、そのものすごい楽しさを探っているところだ。だからたぶん、俺たちはお前らを助けて、正しい方向に導いてやるべきだろう。ということで、日本の最高のメタル・バンドを10挙げてみた。ご親切なこった。
G.I.S.M.
一般的にはハードコア・パンク・バンドと見なされているが、G.I.S.M.は常にそのサウンドにメタリックな魅力をたくさん備えていた。さらに重要なことは、1981年に東京で結成されて以来、バンドはそのクラシックな1983年のデビュー・アルバム、「Detestation」のような否定しがたい邪悪で怪しいアルバム、そして伝説のフロントマン、横山SAKEVIの無慈悲なほど予想のつかない行動によって、あらゆるかたちのアングラ・バンドに大きな影響を与えてきた。今年早く、バンドは14年近い休止を経て再結成され、オランダのティルブルフのロードバーンで初めての国外ショーを行った。これはものすごく狂ったようなものだった。
Boris
THE MELVINSの1991年のアルバム、"Bullhead"のオープニング・トラックから名付けられたBORISは、20年以上にわたってヘビー・ミュージックに対して奇妙で魅力的なことを行ってきた。多彩で本気のヘビー・サイケ・バンドであり、アバンギャルドなドゥーム実験家であり、ノイズ・ロックの変人でもあるこのグループは、膨大な数で多彩な、スピーカーをぶっ壊すような作品を積み上げてきており、献身的なアナログのコースをたどり、自分のアルバムかどうかに関わらず、とにかく個性的で魅力的であり続けてきた。比較的分かりやすい入門作としては、2005年にリリースされ、最近再発された「Pink」ダブル・アルバムを試すか、あるいはSUNN O)))(2006年のシューリアルなドローン大会、「Alter」)かMERZBOW(今年の頭がくらくらするような「GENSHO」)のような共作を試してくれ。
Bathtub Shitter
日本は、長年に渡って優れたグラインドコアのバンドを多数生み出してきたが、その中の一つがBATHTUB SHITTERだ。腐臭漂う、ブルータルで、ひどく不快な音のカオスのマスターであるこの大阪の4人組は、政治についての曲を書き、いや申し訳ない、くそ、クラシックなグラインド、感傷的なデス・メタル、そして原始的なスラッシュから引き出し、同類たちがほとんど信じられるかたちでまねることのできなかったびっくり仰天するような熱意を持って、曲を書いた。324やFINAL EXITのような他の日本のグラインド・バンドの方がもっと高速で正確かも知れないが、BATHTUB SHITTERSは、a) 英雄的に狂っていて、b) BATHTUB SHITTERと呼ばれている。彼らを聞くべきそれ以外の理由は、誰にも分からない。
Melt Banana
おもちゃ屋で爆発した爆弾のようなサウンドを想像して欲しい。実際にはやめておけ。MELT BANANAが既に存在しているので、そんな必要はない。怒り狂ったグラインドコア、目を丸くするようなアートロック、そして左翼のジャズの巨人、ジョン・ゾーンのNAKED CITYプロジェクトの訳の分からないような狂気の中間に位置するこの東京の恐怖は、1992年以来、英雄的に破壊活動的で、混乱させるような騒音を創り上げ、その過程でマイク・パットン、NAPALM DEATH、そして偉大なる故ジョン・ピールを含む、熱心なファン・ベースを得てきた。ボーカリスト、Yasuko O.の狂ったような甲高い声と、曲が滅多に2分の壁を超えないという事実によって、MELT BANANAは、集中力が短く、目が眩むような曲構造と、まったく意味のない歌詞を求める者にとって完璧なバンドとなっている。MELT BANANAは高速で、激しくて、TOOLと一度米国ツアーを行っているが、数多くのメインストリーム・オルタナ・ロック・ファンに、恐怖のあまり悲鳴を上げさせたに違いない。
Mad Capsule Markets
世界のこちら側で、日本のメタルにスポットライトを当てさせたという名誉に値するバンドがあるとすれば、それはMAD CAPSULE MARKETSだ。そのハイエネルギーなデジタル・メタルにあらゆるもの、すべてのものをミックスするという好みを持つ、狂った目をした無邪気な連中である、この横浜のモブは、1999年の「Osc-Dis」アルバムで相当な国際的ブレイクスルーを果たし、始めて海外できちんとツアーすることができるようになった。インダストリアル・メタル、素晴らしいエレクトロニカ、そして頭に残るパンク・メロディーをワイルドにブレンドしたこのグループは、BABYMETALやCROSSFAITHのようなバンドへの道を拓き、今日に置いてもまったく狂っており、未来的に響く。
Abigail
自称、「日本で最も邪悪なバンド」は、カルト・ヒーローであり、「ストリート・メタル」と称する、尻をかじられるとしても、妥協を知らないブラック・メタルとスラッシュ・メタルの融合の誇り高き提供者である。戦争、悪魔、そして死に対する常軌を逸した、執着的な歌詞で知られ、ABIGAILは1992年以来、東京の最も暗い影の中で邪悪な騒音を作り続けており、無数のEP、スプリット、それに限定盤のLPを含む、ものすごい数のアングラ・リリースのカタログを備えている。文字通り、そのすべてがどぎついが、今年の新しいスタジオ盤、「The Final Damnation」は、その独創性に富んだ、人間嫌いの騒音を初めて味わうのにふさわしいだろう。
BABYMETAL
オッケー、どのようにBABYMETALが地球上で最もホットなバンドの一つへと進化したのかについて、いまだに多くの連中がちょっとばかり混乱しているようだが、日本のメタルをメインストリームに押し上げた者はだれもいなかったという事実は残る。BABYMETALが人々を喜ばせたのと同じくらい悩ませてきたという現実は、BABYMETALを大好きになる理由の一つに過ぎないかも知れないし、ピカピカのJポップと殴りつけるようなモダン・ヘビーネスとの驚くべき融合がお前らを本当に怒らせるとしても……BABYMETALがいなくなるわけじゃない。ああ、そしてお前らは間違ってる。BABYMETALは笑っちゃうほど楽しいんだ。
Zeni Geva
メタル・バンドとするには十分なだけヘビーだが、より伝統的な何よりも、実験的なノイズ・ロックの奇妙な世界にしっかりと根を下ろしているZENI GEVAは、30年近くにわたって、精神を吹っ飛ばし、鼓膜をぶっ壊してきた。彼らの古典ともいうべき1989年のアルバム、「Maximum Love and Fuck」を聞けば、人は自分の耳に彼らの音楽が、もっと、もっとたくさん必要だと確信するだろうが、その素晴らしく予想のつかないカタログによって、アンダーグラウンドのアイコン、KK Nullが率いるこのバンドは、既に世界中の折衷主義の変人から崇拝されている。NEUROSISのNeurot Recordingsからリリースされた、2001年の「10,000 Light Years」以来、新譜はリリースしていないが、東京のどこかで、本当に恐ろしく、激しくオリジナルなノイズが出されていることは確実だ。脱帽。
Church Of Misery
一部のロック評論家が、俺たちにたとえば、公平に言えばたまに興味深いこともあるDIR EN GREYのような、もっと明らかにクールな日本のバンドだけを聞くべきだと必死に説得しようとしているとしても、より感受性の高い連中は、新宿のリフ貴族、CHURCH OF MISERYの率直にいって素晴らしいBLACK SABBATH的なリフに合わせてヘッドバンギングしている。マンモスの毛むくじゃらのタマのように揺れる、シリアル・キラーをテーマにしたドゥーム・メタルの献身的な提供者であるこのバンドの、エキセントリックだがどこか奇妙に正統的なストーナー・メタルのテンプレートに基づくサウンドは、過去20年で最も素晴らしく魅力的なアルバムの一つに帰結した。驚愕のライブ・バンドであるCHURCH OF MISERYは、良い意味で腹がゆるゆるになるほどのリフを書く適切な能力についての名声を高めてきた。CHURCHを讃えよ!
Sigh
SIGHよりも成功を収めているバンドは数多くあるし、スタジアム・サイズのX-JAPANを聴きたければ、それは歓迎だが、もしこの国のヘビー・メタル・シーンの栄光の心を乱す本質をまとめるならば、川嶋未来のかたちを変えるエクストリーム主義者こそがそれだ。最初は、非常に変わったブラック・メタル・バンドだったSIGHは、過去27年に渡り、アングラが考えつく何よりも錯乱した、サイケデリックな、非常に個性的で、無慈悲に魅力的なアルバムを制作してきた。LSD的なスピード・メタルから、邪悪なプログレッシヴ・ロックの爆発的な噴出へと方向を変えた、その誰のルールブックにも従わないという姿勢によって、SIGHは、地球上最も敬愛されるアングラ・バンドの一つになった。だが、そのカルト・ステータスに欺されてはいけない。SIGHは、他のバンドのほとんどが、一生掛かって何とかできるよりも、もっと多くのアイデアを曲ごとに入れた、魅力的で、分かりやすいような気がするアルバムを制作している。本当のヘビー・メタルの狂乱を望むなら、競争相手など存在しない。
▼元記事
10 of the best metal bands from Japan
つい最近、何処かのサイトの記事(あるいは何らかの動画)で「Melt-Banana」というバンド名を知った。その後、先日たまたま上の記事(日本のメタル・バンド・トップ10)の原文を読んで、たまたま「Melt-Banana」を視聴した。
返信削除Melt-Banana - Candy Gun
https://www.youtube.com/watch?v=RgnoBN007Vc
一発で気に入った。めっちゃいい。怒涛の轟音ギター+パンク+電子音+ノイズに、ロブ・ハルフォードのハイトーンを想起させる記号的ボーカル(女性)の狂ったキレ+絶妙のポップ展開+リフ+パワーコード・・・
続けて、上の曲「Candy Gun」が収録されている2013年のアルバム「Fetch」を全曲聴いてみた。
Melt-Banana - Fetch (Full Album)
https://www.youtube.com/watch?v=xBU5dyv-Tjo
なにこの傑作・・・全曲いい。天才的作品。後ほど正式購入予定。
続けて、YouTube上にアップされてるいくつかのファンカムを視聴。
Melt-Banana Encore! Candy Gun! 2013
https://www.youtube.com/watch?v=UobRyLSn9KI
Melt Banana - Infection Defective - Live @ SuperDeluxe, Tokyo 2013
https://www.youtube.com/watch?v=wOVE9eAU5Tg
Melt Banana live @ Obscene Extreme 2016
https://www.youtube.com/watch?v=s1s0ZOIKtp8
Melt Banana-Candy Gun-MDF 2015
https://www.youtube.com/watch?v=-hLHQbC_urY
最高。怒涛のパワー。めっちゃ好き。
・・・というわけでMelt Banana新規ですが、ただいま激ハマり中DEATH。
アルバムを持ってるのはSIGHくらいでした。
返信削除わりと古めで恐縮ですがhail horror hail は日本の呪いの儀式をモチーフにしたカッコいいブラックメタルです。
疾走感のあるメタルが好きな人にはオススメのアルバムです。
SighはHangman's Hymnが一番入りやすいアルバムかと思います。
返信削除シンフォニック・ブラックメタルはそのままで、アバンギャルド度は抑えて
スラッシュ感を前面に出したサウンドが最高ですね。
Church Of Miseryは妥当として、Coffinsも入れて欲しかった。
ライヴ観たことあるの6組だけだ
返信削除個人的妄想ですが… 才能の花の超粒ぞろい状態。ネットのおかげで90年代からの系譜が英語圏にも伝わり始めている感ある。待たれるのは、実はKOBAさんのようなマネージメントの才能なのかもしれん。そこに壁がある感。それも東京の中に。
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