2016年6月4日土曜日

[Team Rock] 英語を話さないバンドへの態度はどのように変わったのか?

英語を話さないバンドへの態度はどのように変わったのか?

サム・サビニー(2016年6月1日)




メタル・ファンはオープン・マインドで、英語を話すことが必ずしも必要でないというさらなる証拠

ヘビー・メタルの世界は、美しく多様な世界だ。年齢、性別、人種、宗教、あらゆる文化あるいは生物学的なインジケーターは、アルバムをかけた、あるいは地元の会場に足を踏み入れた瞬間から消えてなくなる。長年に渡って、実験的すぎて、MITの一番賢い連中でも頭痛を覚えるような拍子や音質と共に、俺たちはメタルのものすごい進化を目の当たりにしてきた……ただ少し単一言語に過ぎると思わないか?もっとも最近のJポップ・メタルの現象、BABYMETALの興隆、そして国際的なフェスティバル・サーキットがRAMMSTEINの栄光にあふれた復帰を歓迎する中、英語を話さないバンドに対する受容のレベルが高まっていないだろうか?

非英語のメタルの歴史を見ると、明らかに上に述べたドイツの放火魔、RAMMSTEINから話を始めなければならない。旧東ドイツで結成されたこのバンドは、それまで相対的にほとんど接触のなかった文化へとようやく広がるようになった。だが、このバンドは90年代の世界の新しい政治的な環境の中で、完全に積極的な歓迎を受けるというわけにはいかなかった。忘れてはならないが、一部のジャーナリストは、特にアメリカと、そこまではいかないが、十分に注目に値する程度に英国で、このバンドの母国語で歌うという決定を嫌い、その行進曲的な4/4拍子もあって、バンドは民族主義的であるという多くの根拠のない非難を浴びせた。このベルリン出身の6人組を見下した連中はまた、このバンドを長続きしない物珍しいだけのものであると表現しようとしたが、これは悲しいかな、後の国際的な現象にも反映されることになる。幸いなことに、1997年の「Sehnsucht」の成功と、それに続く、高い評価を受けた「Mutter」によって、オーディエンスの常識が、このバンドが世界ではじめて、グローバルに母語で自分たちの芸術を表現することができるようになった。その成功によって、他のバンドが自分のジャンルと言語で、よりメインストリームな露出を得るための扉が開かれた。その一番有名なものがLAIBACHだ。

世界の反対側における別の文化的な影響を見ると、SEPULTURAが(確かに短期間しか続かなかったがそれでも重要な)ポルトガル語による歌詞と、先祖の音楽スタイルを、1996年の「Roots」、具体的には"Rattamahatta"で導入する一方、SYSTEM OF A DOWNは、ビザンチンのスケールとリズムを既に文化的、芸術的な折衷主義で溢れていたメルティング・ポットに組み込んだ。面白いことに、上に述べたバンドは例外であり、英語以外の言語と影響を持つ音楽は、まもなく輝きを失い、従って当初のブームの後は支持も失った。もちろん、90年代中盤から後半にかけて、よりグローバル化されたジャンルへの進化の後、より多くのオーディエンスに対して露出しようとしたバンドもいくつかあったが、悲しいことに大きな成功を収めることはなかった。アイスランドのジャンル破壊者、SOLSTAFIR、そしてオリジナルのSEPULTURAのフロントマン、ワグナー・ラムニエのプロジェクトであるSARCOFAGOが、最も知られた例だろう。このことは、どれだけ受容が低下していったのかを示しているように思える。それぞれ1995年と1985年に結成された、この2つの芸術家集団は、大衆からの支持がコンスタントに減り続けていることに気づき、2000年にSARCOFAGOが解散し、SOLSTAFIRの名声と成功への苦闘は、2005年の傑作、「Masterpiece of Bitterness」まで続いた。

俺たちは、外国語によるヘビー・ミュージックがなぜ衰え始めたのかについて考える必要がある。短期的な流行としての飽きや認知に帰することもできるだろうが、たぶん主な要因の一つは、後のニューメタル・バンドの勃興だろう。LIMP BIZKIT、LINKIN PARKなどは、当時も、現在も、明らかにアメリカ的なサウンドを持っている。"Chocolate Starfish"以降の世界で、このジャンルのバンドとして、同じメインストリームの成功のレベルを得たと本当に主張できるそれ以外の文化は存在しない。ジャンルを問わず、何よりもグローバルな人口にとって、より趣味にかなうものである以上、より明らかにアメリカ的な音楽が、玉座を回復したと主張することには無理がないように思える。

だが2000年代以降、ロックとメタルの世界は、その他の母語のバンドの登場を確かに見るようになってきており、最も注目に値し、新しいものが、意見を分断するBABYMETALだ。"ギミチョコ!!"の音楽ビデオのバイラル的な成功によって、この日本のトリオは、ある程度の興奮をもって歓迎されたが、ものすごい上の冷笑が、ほとんどすぐに、これをギミックと切り捨てた。批判の多くは、スタイルのブレンド、そして不誠実なポップ・バンドであるという非難が中心だった。このような意見は、インターネットの最も毒に満ちた年代記で見つかるが、不快な声の大きい少数派については避けようがなかった。このJポップ・メタル・グループにとって幸いなことに、その同僚と、成長を続けるファンの軍団が、圧倒的に支持してくれた。CARCASSのジェフ・ウォーカーは、このバンドがジャンルに入り込むだけのカネを背景にした作り物のジョークだという根拠のない非難に対して、強烈に反論した。セカンド・アルバム、「Metal Resistance」のリリースよりも前に、BABYMETALがブリクストンO2アカデミーをソールドアウトし、2014年のソニスフィア・フェスティバルで熱狂的な歓迎を受け、ウェンブリー・アリーナでヘッドライナーを務めるよりも前に、ジェフはその可能性を見出すことができたのだ。

この2つのアリーナ・クラスのバンド以外に、注目に値する母語で演奏しているバンドもあり、最も有名なのはKVELERTAKだろう。このバンドは、メディアとオーディエンスから同じようにものすごいサポートを受け、MASTODONのようなプログレ・メタルの巨人の前座も務めている。そのセカンド・アルバムとサード・アルバム、すなわち2013年の「Meir」と2016年の「Nattesferd」は、バンドのキャリアをさらに推し進め、より大きな会場へとプッシュしている。このバンドのエクストリーム・メタルとクラシック・ロックのミックスが、他の英詞を用いていないバンドほど成功が大きくない理由だろうが、BABYMETALとKVELERTAKという両極端なバンドが、言語の選択についてはほとんど批判も懐疑も与えられていないことは注目に値するだろう。欧州のより小規模なフェスティバルは国内のバンドを擁護しており、このような例としては、比較的親密なティルブルクのロードバーン・フェスティバルオランダで演奏しているTERZIJ DE HORDEやDE HEIDEROOSJESが挙げられる。

俺たちの世界は、肌の色、信条、あるいはルーツにかかわらず、常に受容に基づいていた。このジャンルの反抗的なエトスに典型的だが、世界で、より保守的な指導者が登場する中、メタルはその包括性において、よりリベラルになりつつある。KVELERTAKや現在のSOLSTAFIRのようなバンドは、46年に及び成長を続ける、俺たちの世界の文化運動をリードしている。このことはさらに、メタルには最も前向きなイデオロギーが存在していることを際立たせている。だから、革命的でないもので手を打つのはやめようじゃないか。

BABYMETALとRAMMSTEINは、6月10日にダウンロード・フェスティバルのメイン・ステージで演奏する。

▼元記事
How have attitudes changed towards non-English speaking bands?


17 件のコメント:

  1. 「アリーナ・クラスのバンド」って当然のように認知されてるのは立派

    箱の大きさだけを自慢するようになったらダメだけどね

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  2. BABYMETALだけでは無いことが、解ってよかった。昨今唯我独尊、夜郎自大なファンのカキコミが多いので、全体像なりがわかりにくいので。

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  3. 言葉の壁、年齢の壁、性別の壁、楽器を演奏しないという壁、声の質(民族的な違い)の壁、で、政治的な壁も、超えつつある感じ。

    Sis.AngerのMIKIKOMETALがとても冴えていたことに驚いた! あのテイルズ〜THE ONE は箱もそうだけど、フェスで実現出来るかどうか。MIKIKOMETALはあの変拍子をどう扱うか。Sis.Angerチラ見した限りだと期待して良さそう

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  4. that's not metalのダウンロード特集でベビメタの事話してるのでお時間あれば翻訳お願いします。33分ごろから

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  5. 音楽との付き合い方、ロック、メタルの持つ反骨精神からはせいした歪んだ
    排他感(希少種故の優越感)が徐々に現代情勢と共に変化しつつあること。
    NETのおかげで人種、年齢を超越したものが受け入れられつつあること。
    この2点を合わせ持つバンドが育ちつつあるようです。
    柔らかな考えで音楽をとられようじゃないかと言ってるような気がした。
    日本の音楽ファンの方々の排他的かつ超神経質な異なる意見への
    反応はBM3人より子供なのかもしれない。私個人も含めて・・

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  6. 衰退したジャンルであるがゆえに出てきた言葉かな。
    他のジャンルに吸い取られメタル的なという状況になり、クラシック的な扱いに陥っていったメタルとハードロック。
    危機感が新しいものを生み出し、またそれを自身の延命のために受け入れていったのかもしれない。
    本来は古きものを従え好事家のみに支えられた世界。
    ラウド系というジャンルに包み込まれていったはずなんだよね。
    ギターヒーローなんてこの時代生み出されるとは思わなかった。
    蝋燭の火が消える間際なのか、新たなガスがぶち込まれたのかはわからないけどこれからは本家本元の力量次第かな。ベビーメタルに蹴飛ばされてアイアンメイデンみたいな衝撃的なバンドが出てくれると素晴らしいんだけどね。

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