2016年10月12日水曜日

[Kerrang!] BABYMETAL最大のショー、そして俺たちはそこにいた!(後半)

BABYMETAL最大のショー、そして俺たちはそこにいた!(後半)

ケラング!(2016年9月28日)



24時間も経たないうちに、霧のようにかかっていた東京の蒸気のような雨は、さらに厳しさを増すと決めたようだ。外は土砂降りというよりは、無茶降りという感じだった。台風という言葉が耳に入る。それでも、こんな天気も気分を落とさせることはできず、ファンは東京ドームの隅から隅まで列を作り続けた。多くは、いまだに前の晩に観たものを咀嚼しようとしていた。東京の住人、まどかは、K!に対して、これまでにBABYMETALを20〜30回は観てきたが、それでも圧倒されたと語った。彼女は「BABYMETALは私のエネルギーなんです」と説明した。

他にも、会場の奥に座って、自分たちのお気に入りの経験を思い起こしている三人の幸せな人々がいた。BABYMETALの三人のメンバーは、前の日は神経質になっていたことを認め、まるで一瞬のうちにすべてが過ぎ去ったと話したが、彼女たちが頭の中で何度となく思い返している一瞬があった。「それは私たちが"The One"を演奏した時だったと思います。みなさんと一緒にこの曲を歌えたことはとにかく素晴らしかったんです。また、みなさんの首のコルセットが光ったときには、とにかく息を呑みました」とスゥメタルは語る。「決してあのシーンを忘れることはないでしょう」ユイメタルも同意する。「本当に美しくて、ほとんどミステリアスな瞬間でした」とモアメタルは付け加えた。言うまでもなく、彼女たちはリハーサルでとても忙しかったので、おしゃべりをする時間はあまりなかったが、幸いなことに、BABYMETALの黒幕で、グルーで、フォックス・ゴッドの第一の連絡係であるコバメタルが状況を捉えてくれた。特に、前の晩に目の当たりにしたことは、計画から実施までわずか2週間の間にまとめられたのだという。「これはBABYMETALにとってこれまでで最大のショーであり、それまで試したことがないことを昨日はたくさんやりました」とコバメタルは説明する。「ステージ的にも、技術的にも、これまでにやったことがないことがたくさんありました。もちろんリハーサルはやりましたが、本番をやるまでは、実際にどうなるか、あるいはどういう風に見えるかは分からないんです。55,000人を使ったテストはできませんから。とにかく想像したんです!」 コバメタルは、K!に対し、今夜はまだまだ驚くことが待っていると約束した。それは嘘ではなかった。

Black Nightは違っていた。リスクはより大きく、だがおそらく得られることも大きい。今夜のオープニング・ビデオは、「一度奏でられた調べは二度は響かない」で始まった。そう、BABYMETALはRed Nightのマテリアルは繰り返さないことに決めたのだ。2枚しかアルバムがないバンドにとって、このことは、自分たちの最大のヒット曲のいくつかを演奏しなくても大丈夫だという、自分たちのカタログの質に対する信念を雄弁に物語っている。今夜、その信念は報われた。

55,000人が間違った場所を見ているところから始まった。皆が、前の晩と同じ場所でショーが始まるだろうと、10階の高さにあるステージに目を向けている間に、スゥメタル、ユイメタル、そしてモアメタルは実際には棺桶型の花道の外れから上がってきた十字架にかけられて登場した。それから三人は、"Babymetal Death"が観客を興奮させる中、完全に一歩一歩同期して、中央のステージへと行進した。

そこからは、BABYMETALがK!アワーズのベスト・ライブ・バンド賞をなぜ獲得したのかという包括的な証拠を示す演奏へと盛り上がっていった。示されるあらゆるスペクタクル、レーザー、炎、そしてビデオによる幕間にも関わらず、本当に重要だったのは彼女たちの音楽だけだった。"あわだまフィーバー"、"おねだり大作戦"、そしてめくるめく"メギツネ"まで、怒濤の演奏を続ける中、彼女たちは疲れ知らずに見えた。なぜ心の狭い懐疑主義者やメタル・エリートが黙らされ、彼女たちのファンの軍団が増え続けているのかは簡単に見て取れた。決定的なのは、あらゆるJポップのメロディーやひねりの中で、常にはっきりとしたメタルのバックボーンが存在していたことだ。思いつくどのような基準でも、BABYMETALは侮りがたい勢力なのだ。

輝く首コルセット(今回は赤く光った)が再びラスト・ナンバーの"イジメ、ダメ、ゼッタイ"の間にハイライトとなったが、今夜の最高の瞬間は、実際にはその後でのバンドとファンの間の感動的なやりとりだった。ショーは、何度も繰り返された「We are BABYMETAL!」のコール・アンド・レスポンスで終わり、その間、バンドは少なくとも5分続いたハイテンポのクレッシェンドを続けていた。最後に、BABYMETALはエレベーターに乗って上のステージに上がり、スゥメタルが巨大な銅鑼を鳴らした。花火が上がり、女の子たちは煙のカーテンの向こうに消えた。それからビデオが上映され、「BABYMETALは次の戦いへと向かった」と告げた。

後に、東京ドームをいっぱいにした大勢の作業員が、座席を撤去し、巨大なステージを解体する中、女の子たちはバックステージに現れて、ゲストに挨拶した。K!に対して、スゥメタルが今夜がどのような意味を持つのかを説明してくれた。

「私たちの最初の曲、"ド・キ・ド・キ☆モーニング"を歌っているとき、私は自分たちのキャリアでどこまできたのだろうと考え続けていました。あの曲を最初に歌った時を振り返ると、自分たちが今日東京ドームにいるだろうと考えたとは思えません」「何もかも夢みたいでした」とユイメタルがうなずいた。だが、力強く核心を突いたのはモアメタルだった。「私は今夜のショーでできることはすべてやったと思います」と彼女は振り返った。

無限に賢い、全知全能のフォックス・ゴッドでさえも、次に何ができるのか、あるいはもっと大きなことは何ができるのかを想像することはできないかも知れない。結局、わずか2年間で、わずか2枚のアルバムで、ここまできた、あるいはこのレベルまで自分たちのライブ・ショーを上げたバンドなどいただろうか? ここからは、BABYMETAL、そしておそらくヘビー・メタル自体が、正式に未知の領域に入っていくのだ。

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[Kerrang!] BABYMETAL最大のショー、そして俺たちはそこにいた!(前半)

▼元記事
Kerrang! 2016/9/28


6 件のコメント:

  1. 翻訳ありがとうございます。
    前半と後半凄く読み応えがありました。
    K!のスタッフは色んなライブに行って色々経験してると思うけど
    ここまで絶賛してるという事は本当に凄かったんでしょうね。
    私はドームに行けなかったのでデロリアンを待つのみです。

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  2. モアメタルの名言に泣きそうになった。
    10代の女の子に出来うる最大限の偉業を成し遂げているよ。
    世界をつなぐ架け橋も想像以上のスケールで実現できるんじゃないかという気がしてくる。

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  3. 面白かったです。和訳有難うございます。
    ドームライブに参戦した記者も(それとも和訳者が?)興奮を隠せない文章なのが良く分かる記事ですね

    幼くしてヘビーメタル面に堕ちてから狐の神の御告げに従い無我夢中で走り抜けて来たであろう三人
    でもこの年でここまで登り尽くしてしまうと、張っていた気をフッと緩めた時に燃え尽き症候群にならないか心配になってくる
    特にMOAMETALのコメを見るとね
    それと同時にこれ以上の更なる試練を狐の神(KOBA)が告げるのか?も心配
    そしてその御告げを黒夜ライブの最後に楽しみにしていたのも二律背反する悲しいファン心理

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  4. つい外人の目線を気にしてしまう自信のない日本人のロックをここまで引っ張ってきたかという感慨が起きる。しかしティーンエイジャーの本人たちはそんなことを知らない。だから燃え尽き症候群があるとしたら、アイドルのそれだ。これからが本当のBABYMETAL、いや、大人としての感動が始まるのだ。卒業の後にはまた入学が待っている。その繰り返しは長く続く道だ。ダメになるなよBABYMETAL!

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  5. 今できる最大限のことの積み重ねで常に限界を超えてきた。
    負担がかかるけど、もうしばらくみていたい。

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  6. 二枚しか出してないアルバムだけど、一曲以外演奏して!
    全ての曲で勝負できて、魅せて聴かせられるアーティストは少なくとも今は、日本にはベビメタ以外いない………
    三枚目のアルバムも時間を掛けていいから、じっくりじっくり熟成して、圧倒的な物を作ってほしい。いいものなら、みんな待ってくれる。

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