2016年5月12日木曜日

[Noisey] キム・ケリー、BABYMETALインタビュー(その2)

(インタビュー部分は三人称になっていますが、可能な限り一人称に直してあります。丸括弧の中は地の文です。)




ノイジー:最初にBABYMETALに関わるようになったのは? バンドのどういうアイデアに関心を持ったのですか? なんで「私もこれをやりたい」と思ったのですか?

(たぶんあなたが望むような形の答えではないと思いますが)

モアメタル:私たちはフォックス・ゴッドに選ばれてBABYMETALになりました。フォックス・ゴッドはBABYMETALを支配していて、自分たちが何をすればよいのかの啓示を与えてくれます。ですから、私たちは特別な選ばれた者たちで、フォックス・ゴッドが語ることや命じることすべてを実現させることが使命です。

Q:分かりました。いまはBABYMETALのメンバーになっていて、もう数年メタルの世界にいるわけです……メタルヘッドやメタルの世界について学んで、何が一番興味深かったですか。

ユイメタル:はじめてメタルを紹介された時、あらゆるものがとっても新しかったです。でもメタルから学んだ一番大きなものは、音楽を通じて、まったく違った場所のまったく違った人たちとつながることができ、国境などないのだということです。それは広がっていきます。本当に遠くまで届きます。でもだからこそ、私はもっとメタルについて学びたいのです。メタルのおかげで、自分が関係を持つことになると考えたこともないような本当に多くのことを見つける機会を与えられ、いまは、本当にたくさんの新しいことに触れているからです。それからBABYMETALとしてやっていることを通じて、自分たちのような人たちに、興味を持つことなどないだろうと思っていたことを見つける機会を届けたいと思います。メタルからそのことを学んだのです。

Q:私たちの多くがそう感じていると思います。あなたたちの新譜について一つ興味深かったのは、はじめて英詞の曲、"The One"が収録されました。この新しい言語で歌ってみてどうでしたか?

スゥメタル:英語で歌いたかった理由の一つは、世界中のファンに届けたかったからです。"The One"は、音楽を通じてみんなを一緒にして、一つにすることを歌っています。もう一つは、いつも何か新しいことに挑戦したいと思っているからです。この曲の録音はとても大変でした。ちゃんと発音を合わせることはとても難しく、大変でした。でも日本の外、海外のファンのことを想い出すたびに、皆さんは私たちのショーにきて、日本語でシンガロングしてくれています。つまり皆さんが勉強してくれているということです。ですからそのことを考えると、本当に頑張ろう、英語の歌をちゃんと歌わなくちゃという気になりました。いま、反応を見てみると、それほど悪くないように思えます。

Q:スタジオではどういう感じですか? ずっとそこにいっていつもインプットを与えるのですか? それともボーカルと歌詞に集中するのですか?

ユイメタル:私たちは昨年末、12月の横浜アリーナのコンサートの後で、新譜が出ることを知りました。新譜が出ると明かされたのはショーの終わりだったのです。ですから、はじめてそのことを知ったので「えー、時間あるかな? 4月1日発売だと、本当に時間がないよね」と話していました。ですから、少し不安でした。どうなるか分からなかったからです。でもそれから、新しい曲を聴いて、一緒にアルバムに取り組み始め、メロディーができあがると、これは本当に素晴らしい、きっと皆さんに本当にこの音楽を楽しんでいただけるだろうと思いました。何よりも思ったのは、もっと多くのBABYMETALの曲を届けられるということです。ですから、この新しいアルバムを録音することは、とても楽しい体験になりました。

Q:録音が一番大変だった曲は? "The One"はボーカル的に大変だったということですが、他にも歌うのが大変だった曲はありますか?

スゥメタル:録音が一番大変だったのは、"Tales of the Destinies"です。テンポが決まった4拍子や8拍子ではなくて、半拍子とか四分の一拍子のような感じだったからです。曲を通じて決まったテンポがありません。ですからクリックに頼ることはできたのですが、何が正しいとか悪いとかなかったので本当に大変でした。曲の感じをつかめるかどうかでしたから、録音は本当に大変でした。でも本当に心配したり、考えていたのは「これをどうやってライブでやろう」ということでした。いつかやることを楽しみにしていますが、私たちにとっては簡単ではないと思います。

Q:今回スタジオで何か新しいことを学びましたか?

スゥメタル:レコーディングの過程で分かったのは、曲というのは生き物のようなものだということです。いつも進化し、変わっています。今日、スタジオにきて、こういう風に歌ったとしても、翌日には突然あっちの方が良いと分かります。すべてに命が宿っているように感じます。ですから、録音のプロセスで学んだことは技術的なことばかりではなく、日によって、歌いながら曲がどのように育つのかによって、いつも動いたり、変わったりしている、命を持ったプロセスだということです。

Q:前に"The One"で、アメリカのファンと一緒にシンガロングしたいということでした。アメリカのファンと日本のファンの一番の違いは何でしょう。

モアメタル:こっちにくると、時々とても不思議な感じがします。ファンの皆さんは、私たちがほとんど日本語で歌っているのに、シンガロングしてくださるんです。スゥメタルに合わせてシンガロングしていますが、これは日本では起こりません。日本では、ファンの皆さんはユイメタルや私のパートを歌います。ですからこのことはとても大きな違いです。でも、私たちがどこにいても、コンサートはいつも楽しいです。お客さんはいつもすごいです。一つ一つの体験がいつもすごくて、すばらしいです。

Q:アメリカ人は、Jポップではより一般的なグループ全体ではなく、一人のリード・シンガーに注目することに慣れています。だからスゥメタルにより注目するんだと思いますか?

BABYMETAL:こちらの文化の違いはわかりませんが、そうかも知れませんね。(女の子たちはこの考えにびっくりした様子で、目を見開いて、自分たちのあいだでぺちゃくちゃしゃべっていた。)

Q:BABYMETALはとても議論のあるバンドで、多くの人たちから好かれる一方で分からないという人もいます。BABYMETALのことが好きでない人たちを味方に付けたいと思いますか、それとも既に自分たちをサポートしてくれていて、BABYMETALがやっていることが大好きなファンにもっと力を入れたいですか?

スゥメタル:人は何を考えても自由だと思います。そうですね、私たちがやっていることに賛成でなかったり、私たちがやっているのはメタルじゃないと考えている人たちがいるのはよく知っています。でもそれは構いません。皆さんは考えたいことを考えることができます。私も考えたいことを考える自由があるからです。でも同時に、大切なことはそういった人たちがいてくれることです。そこから学ぶことができるからです。そのおかげで、私たちはそういう人たちがいて、自分たちの音楽をこのように考えているということが分かりますが、そのことも大切なんです。みんなが私たちがやっていることを好きになる必要はありません。ですから、私たちは、全員をBABYMETALのファンやサポーターにしようとは考えていません。なぜならば、私たちにとっては、BABYMETALの音楽に興味を持っている一人一人で十分だからです。誰かに私たちの音楽を聴くように無理強いする必要はないんです。

▼元記事
How I Learned to Stop Worrying and Love Babymetal

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24 件のコメント:

  1. バカランに聞かせてやりたいね。SUの言葉を。
    それから、他所で、THE ONE の英語歌詞の英語力についてのnativeからの注文が有ったが、あくまでも「世界中のファン」が対象で「英語native」を対象にした訳ではない。よりグローバルな言語として英語が選ばれただけだ。
    英語nativeからすればTHE ONEの歌詞は物足りないのだろうが、非英語nativeに取っては、より平易な表現が必要なのだ。そこが理解できていないな。
    英米に媚びてのTHE ONEの英語歌詞ではないのだが、そこを勘違いしてたな。
    事実、ウエンブリー旗プロジェクトに25ヵ国以上のメイトが集結したが、
    非英語nativeが大半だった。THE ONEのメッセージが世界中のファンに届いた証拠だ。

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  2. 草加一郎さん

    私が見た英語批判は、英語の言い回しとして若干おかしいってものだった。日本語を英語に変換しただけになってるって。

    外人が日本語を話しているのと一緒で、耳慣れない言い回しをされると違和感を感じるのと同じ。

    英語詞で歌うのはいいと思うけど、歌詞は構想だけ伝えてネイティブに書いてもらった方がいいと思う。。

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  3. The One英語歌詞の議論をループさせる気はないが、否定派は、The Oneはサビがもともと英語なんだから「ことさら」英語ver.の必要がない、という認識だと思う。横アリのThe Oneをそのままウェンブリーにそのまま持って行ったとしても、国旗もふられたろうし非英語nativeに100%伝わった。BABYMETALが自身のアイデンティーを大事にして、例えばMegitsuneのようなピースで日本を発信してほしいという願いだと思う。

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  4. 私はオフィシャルMVのTHE ONEの方が好きです。
    世界中のファンは、ヘビーな音楽に乗ってkawaiiコスチュームで、意味は分からないけど不思議で心地よい日本語で歌いダンスするキュートな少女たちに驚いて、そして愛したんだと思います。言葉がグローバルだから愛された訳ではないのはもちろんです。何が彼女たちを魅力的に見せているのか、日本人だから気づきにくい面もあるように思います。

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  5. 私もThe Oneの議論で引っ張りたくはないのだけれど、
    ここはインタビューにある通り、すうさんがシンガロングしたいという願いがあるのだから、それでいいんじゃないかなあ?
    それともう一点、ご承知の通りBABYMETALはファンと共に成長する(してきた)バンドだから、英語歌詞等についてもこれからライブでの反応に応じて変化・成長していくんじゃない?
    今の米ツアーのC&Rなんかまさにそうだし。

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  6. C&Rは英語でどんどんやればいいと思う。
    しかし英語詞はニーズが無いということも冷静に認識した方がよいと思う。

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    1. 英語詞はニーズが無い?

      英語詞でみんなで歌えて喜んでる海外のファンも大勢いるぞ
      事実ウェンブリーでは大合唱だった
      英語詞に批判的な意見ばかりみたいな言い方はやめたほうがいい

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    2. 英語詞はThe One一曲だけだと思うぞ

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    3. その一曲がベビメタのアンセムとみられてるから厄介なんだよね。歌詞の違和感とベビメタらしくなさがずーっとついて回るんだから

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  7. それでもアグネスチャンの日本語よりはましだとおもうけどな...

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  8. 英詩のニーズが無いって訳じゃないと思う。ただ彼女達が伝えたい事が100%反映されてるのか疑問視してるのと、日本語によって醸し出されるオリエントな雰囲気が損なわれる事を危惧してんじゃない。
    この短期間でsu-の英会話スキルは飛躍的に伸びている。
    本人が求めるなら今後、英詩が増えてくる可能性があるし、su-の視点が世界にシフトしてるなら自然な欲求だと思う。

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    1. ご参考になると思うので、これを是非とも読んでみてください。
      全米No.1の邦字新聞の社長のブログです。

      「BABY METALに見る世界進出成功の考察」
      http://ameblo.jp/matenrounikki/entry-12158104923.html?frm_src=thumb_moduleNY

      管理人さまへ。URL貼り付けに問題があればレスごと削除ください

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    2. URLの記事拝見させて頂きました。本物という単語は心地良い響きですね。
      現地のショウビズにも関わってらっしゃる方みたいなので、あながち個人の感想という訳でもなさそうですしね。
      以前のkobaのインタヴュー記事にthe,one(english,ver)の見解で、今回は英語だが他の言語でも作詞はあり得る旨の内容が記されてましたが、BMの活動範囲、規模が広がり続ける以上この話題は上がり続けると思います。
      個人的には日本語の歌詞が世界中に浸透する様は痛快ですが、歌詞の言語の変化は意味と同等にサウンドも変化させます。現在、歌詞作曲共に日本のアーティストが担当してますが、今後、他言語で挑戦してみるならネイティブのアーティストが担当するのも面白いんじゃないかと思います。

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  9. ナニ!この大人の意見の数々
    素晴らしい娘たちだ・・・

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  10. ※「英語詞はニーズが無い?英語詞でみんなで歌えて喜んでる海外のファンも大勢いるぞ事実ウェンブリーでは大合唱だった 英語詞に批判的な意見ばかりみたいな言い方はやめたほうがいい」???
    多くの日本人ミュージシャンが英語で歌って、ネイティブの人たちに評価されているんでしょうか。日本人だって、欧米の歌手が日本語で歌うのを評価はしていない。アルバムの中の一曲が日本語だから、楽しんでくれるんだ。あくまで、ボーナストラックとしての一曲でしかない。必然性があったの日本語曲なら評価するだろうけど、そうでなければ、下手くそだったり、言い回しに違和感のある日本語の歌なんて聴きたくないのが普通ではなかろうか。クリス・ハートが日本語で歌うのと、BABYMETALが英語で歌うのとは違うと考えるべき。

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    1. 「日本人だって、欧米の歌手が日本語で歌うのを評価はしていない」は「していない人もいる」若しくは「している人も多いだろう」でしょう。
      日本語で歌う努力をしてくれているのを評価し、喜んでいる人もいます。少なくとも私はそうだから。
      外国の方が日本語を話すことを喜ぶ人がいる様に、外国の方々もベビメタが英語を学び、上達していることを喜ぶ声はネットにも少なくありませんよね。
      ベビメタの歌すべてが英語詩になるのはどうかと私も思うけれど、1曲・数曲程度英語詩の曲があるのは悪いことだとは個人的には思わない。あなたも「アルバムの中の一曲が日本語だから、楽しんでくれるんだ。」と書かれているのだから、同様な意見ではないのかな?アルバムの全てを英語詩にした方がいいと考えている人の意見は私は寡聞にしてみたことがない。

      ベビメタにはまってしまった人には英語詩の必要性は少ないかもしれない(その人たちでもベビメタが頑張って英語でインタビューに応えたり、話したりしているのを喜んでいるのはよく見かける気がする)けども、はまりかけ、はまっていない人々も多いのだから。

      どの様な意見も認め尊重する事をベビメタから学ぶ必要が我々にもあるように思う。
      上の意見に反論(私ではないけど)があったのは、「ニーズがない」と決めつけていたからでしょう。
      ベビメタの3人(Suちゃんだったかな)の他のインタビューで「英語詩の曲を希望する声があった」と応えていたから、書き方として「ニーズがない」ではなく「ニーズは少ないだろう」の方が良かったかと思う。
      余計なお世話だけど、「評価はしていない」は(厳密には不正確だから)「評価はしていない人が多いと思う」、「違うと考えるべき」も(個人の意見の押し付けになっていまうから)「違うと考えた方がいいと思う」位の言い回しの方が好ましくはないでしょうか?

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  11. あまり英語詩の話題を引っ張りたくないけども、Erom Dusk Till Dawnが大好きなのだけど、あの曲は日本語でなくて正解だと個人的には思う。ネイティブの方がどう思われるかはわからないけれど、あの曲調には英語がよく似合っている様な気がする。
    落選続きでチケットをゲット出来るのかわからないのだけど、ドームで聴いてみたい曲の1つです。

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  12. >一人のリード・シンガーに注目することに慣れています。

    ここ、凄く新鮮だったなぁ。
    三人にとってもそうだったのだろう。
    だから、この人の記事は面白い。
    そして、この人にとっても三人の反応は好感が持てたのではないだろうか。

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  13. 英語の歌詞の是非なんてどうでもいいんだ。
    The One英語バージョンは、BABYMETALを受け入れてくれた海外のファンへの感謝の気持ちだ。
    俺はそう受け取ってるので、細かいことはどうでもいいや。

    それより気になったのはその、
    >一人のリード・シンガーに注目することに慣れています。
    に続く3人のびっくりした反応。
    それに対するケリーさんの気持ち。
    ここがいまいちよく掴めなかった。
    多分俺に読解力が足りないせいだとは思うが。

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  14. 昔 QUEENが手をとりあってって日本語で歌ってくれた時は嬉しかったなー
    STYXがMR ROBOTで ども ありっがっとって歌ってくれた時も・・
    Blue Oyster CultのGodzillaも笑ったなー。
    発音がどうのより 自分の国の言葉で歌ってくれるのって嬉しいよね。

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  15. 基本は日本語という原則を外さなければ、時には英語の曲もあってもいいと思うよ。
    例えば、The Oneだけは多言語の歌詞を用意しておくのも悪くない。
    Suも他のインタビューで、母国語である日本語はこれからも大事にしていきたいという主旨を語っている。

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  16. あの...ティルドン(カラスがメインボーカルの)も一応、英語なんですけど...w

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  17. まじで涙なしには読めない記事だな

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