2016年10月24日月曜日

[Eclectic Arts] BABYMETALシアトル公演レビュー(前半) (過去記事)

「Metal Resistance」がシアトルにやってきた―BABYMETALギグ・レビュー! 2016年7月12日、ワシントン州シアトルShowbox SoDo

マーク・スギヤマ(2016年7月17日)



映画を見るとき、不信の一時的停止(虚構を信じること)が一般的である。E.T.がエリオットを自転車に乗せて空を飛ぶようなありえないことをみていると告げる精神の論理的な側面を抑圧しながら、想像力を自由に働かせることが、不信の一時的停止の好例だろう。

なぜ俺はこの概念をコンサートのレビューに持ち出したのだろうか? 長年の間で、日本からの最大の音楽的な輸出品であるBABYMETALに関していえば、一部のコンサート客は、自らを解放し、ただ経験を楽しむために、あのスペクタクルのすべてのために、ただそこにいるような場所に行く必要がある。

BABYMETALは、結成以来、メタル・コミュニティーを二分してきた。なぜだと訊ねるかも知れない。4人編成のライブ・メタル・バンド(神バンド)がバックを務める、最初のグループ(さくら学院)からの派生物である、十代の少女によるJポップトリオ。ヘッドバンギングする音楽がスピーカーから流れる中、母語の日本語で歌い、タイトな振り付けに合わせて踊る彼女たちは、音楽ジャンルの二分法である。

メタルヘッドは、移り気な連中だ。いつもそうだった。また、すべての音楽の中で最も献身的なファンベースでもある。俺は1979年に最初のショーに行った(KISS)。2番目のショーは、1982年だった(AC/DC)。俺の3番目のショーも1982年(IRON MAIDENがスペシャル・ゲストのSCORPIONS)。それからどれだけのショーに行ったのか数えられない。当時のメタルは、性分に逆らうことであり、メインストリームの文化に逆らうことであり、自らの道を切り開くことを意味していた。

ポップ音楽は、ヘビー・メタルの完全なアンチテーゼであると考えられていた。作り物で、時に口パクで、語るべき「本当の」才能などなく、多くのメタルヘッドは、当時のMTVで見た、あるいは地元のラジオ局で聞いたアーティストを嫌悪したものだ。

BABYMETALは、インスピレーションのために、有名なメタル・バンドのさまざまな側面を取り入れている。X JAPAN、IRON MAIDEN、METALLICA、SLAYER、ANTHRAX、MEGADETH、BEHEMOTH、そしてDARKTHRONEはその一例に過ぎない。

だから、桜コンで見ることができるようなカワイイ服を着た十代の少女たちを加えることはもとより、この2種類の敵対するジャンルを一つにすることは、純粋な冒涜であり、このコンセプトは確かに、硬派のメタル・ファンを激怒させるだろう。

俺は違う。

火曜日のショーは、あまりに幅広い多彩な観客を動員したので、このコンサートが、Showox SoDoにおける単なるギグを超えていることを認めないというのはまったくの傲慢としか言えないだろうこれは国際的なイベントだった!

もし君が純粋なメタル・ファンなら、たぶん懐疑主義者の一人だろう。俺の中にも、BABYMETALについては否定する連中の言い分が分かるところはある。俺はメタルは好きだが、音楽の他のジャンルも好きなんだ。俺は長くKポップ(Jポップと間違えないで欲しい)を聴いていた時期もある。俺は2010年に、ここシアトルでX JAPANを見た。結局、俺が好きなものは音楽的には君が好きなものより良くも悪くもない。音楽は個人的な旅路だ。あえていうなら、君にピンとくるものだけが大切なんだ。

君がアニメやマンガのファンなら、たぶん2010年にはじめてBABYMETALを聞いたときに関心を持ったはずだ。俺は大ファンというわけではないが、いずれについてもよりメインストリームなものはいくつか知っている。また日系アメリカ人なので、祖先の信仰や文化について一般的な知識がある。

そして君が日本文化に魅力を感じているなら、君は日出ずる国からやってくるあらゆる新しいものを吸収するだろう。

Showbox SoDoの屋外で待っていたファンの大多数はハードコアのファンだった。中立的な立場を取っている連中、友人にくっついてきた連中、それにかなりの数が連れてきた連中だったが、全体としてはダウンタウン・シアトルでBABYMETAL大会を待っているというところだった。

長いあいだメタルと音楽全般のファンである俺は、バンドのファンとしてショーに来た。俺はボストン、ロサンジェルス、バンクーバー、ポートランド、それに東京からこの西海岸のツアー終盤のギグを追いかけてきたダイハードなファンのレベルにはない。連中のことは知っているはずだ。(少し)日本語を話し、「The One」ファンクラブの会員で、スゥメタル、ユイメタル、そしてモアメタルについてあらゆる細かいことや事実を知っているので、頭がくらくらとなりそうな連中だ。神バンドのメンバーのようにドレスアップしたり、他のダイハードなファンが気付くように、その晩にふさわしいシャツを見せるために自分のコレクションから選んできたような連中だ。こう言ったファンがシアトルには大量にいたんだ! そして俺はとても気に入った!

観客全体が、お気に入りのバンドがステージに出るまであと何分だろうとカウントダウンしているような、コミュニティー的な側面が明らかなソールドアウト・コンサートに行くことほど素晴らしいことはない。隣のファンに話しかければ、連中がショーに来るために5時間もドライブしてきたことも、その隣のファンは、昨晩シアトル=タコマ空港へ飛んできて、ラミネート、専用のマーチャンダイズ・アイテム、それにマーチャンダイズ・テーブルに早くアクセスし、さらにステージに一番近いフロアにアクセスするために、余分な金を払ったVIPの連中だということも分かる。

俺が火曜の午後にシアトルのソド・エリア(シアトルのダウンタウンの南側のこと)へと出向いた時には、あたりにエネルギーが満ちていることは否定のしようがなかった。通りにパーキング(無料だ!)を見つけて、Showbox SoDoへと向かった。

このショーで、俺はゲスト・リストに載っていたので、チケットを手に入れるためのやり方は分かっていた。チケット受取が始まったら、ボックス・オフィスで手に入れなければならない。ドアは午後8時まで開かなかったので、チケットを手にするために午後8時まで待たなければならないと感じていた。

午後5時半頃に到着すると、自分が思っていたとおりのことを話してくれた会場の従業員を見つけることができた。チケット受取でチケットを手に入れ、その間、一般入場の行列で待たなければならない。

ショーの行列はこの時点で2つに分かれていた。片方はクラブのメイン・ドアを中央に、お互いに向き合うかたちで2列に分かれているVIPの行列。このVIPの行列の南側の端で、一般入場の列が始まっていた。一般入場の列については、たぶん30番目くらいだったと思う。悪くはない。最終的に、この行列は一番街まで蛇行して行き、ブロックを回ってホルゲイト通りに続いていた。

VIPの列は、手摺りのところに旗が並んでいて、ファンの一部は前の晩(!)からそこにいたのだと教えられた。最初にきたファン、それから火曜の朝にきたファン、それからどんどん伸びていく一般入場の列を映した写真がソーシャル・メディアに上がっていた。

二時間半待って、ショータイムから1時間前にドアが開いた。天気は、7月中旬のシアトルの標準からみても涼しかったが、おかげで外で待つには完璧だった。

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▼元記事
The Metal Resistance Arrives In Seattle - Babymetal Gig Review! July 12, 2016 Showbox SoDo Seattle, WA


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