BABYMETAL—「Metal Resistance」
フィリップ・ホワイトヘッド(2016年8月10日)
総合点7/10
多様性8/10
一貫性7/10
リピートの価値6/10
長所:様々なスタイルをカバー、曲自体はより一貫性がある
短所:何曲か繰り返し聞く価値がない
BABYMETAL。もうその名前くらいは聞いたことがあるだろう。ブラスト・ビートやシュレッド・ギターのソロの上に、チョコやバブルガムについての可愛くて無邪気な歌詞を歌う、若いJポップのアイドルたちは、2014年のバンド名を冠したデビュー・アルバムで、西側のメインストリーム、そしてロック&メタル・シーンの両方で、大きな波紋を引き起こした。さらに、世界最大のフェスのいくつかに登場し、レディー・ガガのサポートを務め、今年4月にリリースされたセカンド・アルバム、「Metal Resistance」には大きな期待が集まった。新鮮さを失わずに、そのユニークなメタルとJポップのブレンドを続けられるのかが一番の問題であり、多くの面でうまくやってのけている。
バッキング・バンドはスタジオで交替し、ソングライターも同様なので、すべてを追いかけるのは難しいが、「Metal Resistance」で聞くことができるスタイルをミックスするという素晴らしい仕事をやり遂げている。いきなり、私たちは、パワー・メタルのオープニング・ナンバー、"Road of Resistance"(DRAGONFORCEのサム・トットマンとハーマン・リとの共作)、モダンなメタル・クラッシャーでものすごくキャッチーな"Karate"、そしてデジタル・ハードコアの狂乱、"あわだまフィーバー"(MAD CAPSULE MARKETの上田剛士による)の三連発を食らうことになる。このスタイルの急展開にもかかわらず、このすべてを一つにまとめている中元すず香、水野由結、そして菊地最愛のトリオは、特にマニアックなアルバムの最後の"Tales of the Destinies"で、変化をいらだたしくさせることを避け、十分な一貫性をもって、Jポップの影響を持ち込んでいる。
残念ながら、このアルバムの中の何曲かは標準に達していない。フォーク・メタルの影響を受けた"META メタ太郎"は、あまりに反復的で、BABYMETALの通常の水準からすると記憶に残らないし、"Amore"は少しファースト・アルバムのパワー・メタル・ナンバーに似すぎている。"No Rain, No Rainbow"も本当に記憶に残るには何かが足りない。ブラック・メタルに近い、興味深いインストの瞬間がある"Sis. Anger"もヴォーカル的に物足りない。
だが、"Karate"のあとの本当のハイライトは、アルバムの終わり近くにやってくる。中元の"From Dusk Til Dawn"におけるパフォーマンスは畏敬の念に打たれるものだし、BLACK BABYMETALとして菊地と水野が組んだ、「BABYMETAL」収録で対になる"おねだり大作戦"に続く"GJ!"のニュー・メタルの怪物ぶりもそうだ。"Karate"と"GJ!"はいずれもゆよゆっぺのペンになるので、バンドのマネージメントは、今後彼とのさらなるコラボを検討すべきだ。
BABYMETALの背後にいる人々が、このアルバムに使うことが出来る最高のミュージシャンとソングライターを連れてきたことは明らかで、すべてがファースト・アルバムからのステップアップになっている。楽しめるものではあるが、Jポップとメタルの融合はまだ不完全であり、まだ作業は必要だが、このアルバムでは正しいあり方にずっと迫っている。もはや目新しいだけのものではなくなり、人々はその音楽的な長所に対して聴くようになるだろう。
▼元記事
BABYMETAL – METAL RESISTANCE
貶めているのかと思ったら、辛口評価なだけだった。
返信削除けなすだけじゃない記事は大切。
これはまた俺的に痛いとこつかれたレビューだなぁと思った。厳しいけど、半分は納得してしまった。
返信削除少なくともよく聞いてる人のレビューじゃないかね。絶賛じゃなくてもいいんだよな。
内容にはだいたい納得できる。
返信削除ただハードル上がりすぎた分だけ辛口になったような気がする。
ファーストを聞き込んで、セカンドにももっと刺激を求めてたのがわかる。
今まで数多くのレビューが書かれてきたが、
返信削除あまりに甘口な評価が多かったので、これは外国記者らしいストレートな意見で好印象。
ベビメタに対して斬新さと高品質の両方を求めてる事は期待の高さも伺える。
私もセカンド発売当初はこのレビューと同じような意見だったのだが、あれから約10か月、最近はセカンドのリピート率が高い。傑作のファーストと比べるのではなくて、ファーストから進化した形がセカンド。これは新しいBABYMETALであって、これまでとは違う次元の傑作なのだ。なお、日本盤は「シンコペーション」も収録されているのでさらに良い。
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