「Metal Resistance」レビュー
オートグラフバイラス(2016年3月24日)
2014年のデビュー作を通じて、世界中で成功を収めたBABYMETALが、大きな期待を寄せられていたフォロー・アップ・アルバム、「Metal Resistance」を全世界で販売した。バンドの帰還に乗って、2016年はBABYMETALがその価値をようやく証明するチャンスを得て、自分たちがまやかしもののギミックではないことを示す年になる。
すぐに、BABYMETALが馬鹿騒ぎをするために、ここにいるわけではないことがきわめて明確になる。招集を掛けるナンバー"Road of Resistance"によるオープニングで、バンドがこれまでは危なっかしかったJポップを注入したメタルというスタイルを、巧みに磨き上げ、焦点を絞ったメタル・アルバムに仕上げたことは、最初から明らかになる。「Metal Resistance」をバンドのシグネチャー・サウンドから離れるものと呼ぶことは難しいが、グループのダイナミクスは、より伝統的なセットアップのそれへとトーンダウンし、主にコーラスを中心とするこれまでの取り組みと異なり、スゥメタルがボーカルの大部分を担当するようになった。ただし、だからといってショーのスターはスゥメタルだけというわけではない。3人のボーカリストは、アルバムを通じて大きくフィーチャーされている(予想通り、3人はシンガーなんだから)。ボーカル的には、前作のインタープレイ中心から大きく変わっており、女の子たちの実際の声の力に中心が置かれていて、それはうまくいっている。長年に渡って聴いてきた中で、最もキャッチーなメタルを創り上げているからだ。今回はシンフォニック・メタルのバンドからより多くを借りており、その結果が、より分かりやすく、混沌さが少なくなったアルバムだ。
ただし音楽的には、女の子たちのバッキング・バンドは、"ギミチョコ!!"や"ヘドバンギャー"のような曲に合った攻撃性をそのまま保っており、新譜ではこれを前面に出している。DRAGONFORCEやICED EARTHのようなスピード・メタル・バンドに敬意を表しながら、ヘビー・メタルに対するよりむきだしの、西洋化されたアプローチを創り出せというプレッシャーに屈しなかったことは実に新鮮だ。音楽は今回はよりストレートになっているが、決して抑えられているとか封じ込められているというわけではない。リフやワイルドなソロは、ものすごいスピードでアルバムを通じて飛び交い、無慈悲なベースとドラムのセクションやトレモロ・ギターが、ノンストップの、否定しようがない「メタル」体験を保証する。"Amore"の短いベース・ソロや"ヤバッ!"のほとんどスカを想い出させるスティックさばきやリフワーク、そしてほとんどテクノで、APHEX TWINS風のイントロを持つ"あわだまフィーバー"は、BABYMETALが自分たちのサウンドを洗練したかもしれないものの、このグループにはジャンル分けなど通用しないのだということを示している。パイレーツ・メタルの影響は、より遅い、華やかな"META メタ太郎"に見られ、アルバムのラスト・ナンバーはバンドのキャリアではじめて英語で歌われる"The One"で、うれしくなるほどわざとらしい感謝と情緒のオデッセイであり、世界最大の会場で演奏するための曲だ。
BABYMETALに対して批判があるとすれば、このアルバムに収録されている曲の大部分が、歓迎するには少し長すぎる傾向がある点だろう。通常の4分、5分といった中で、6分を超える1、2曲ほどは、12曲入りのアルバムという中では時に少し退屈になりかねない。ただし、時には退屈になるとしても、バンドのファンにとって、このことは大きなボーナスとなるだろうから、これを問題だと主張することすら難しい。"From Dusk 'Til Dawn"のようなナンバーは、相対的には波乱のない4分近い仕上がりで、邪魔にはならないとしても、不要だという議論はあるだろう。
2014年に、BABYMETALには耐久力があって、ウェンブリー・アリーナにおけるソールドアウトのショーまで実現するだろうと言われたら、私は絶対に信じなかっただろう。どころか、フォロー・アップが出せるかどうかも疑っていた。でも、いずれについても自分が誤っていたことを報告することはうれしいし、「Metal Resistance」はあらゆる点で、多様性があり、ユニークで、バンド名を冠したデビュー・アルバム同様に素晴らしい。大曲が多いこと、そして自分が日本語を話せないということにかかわらず、BABYMETALは最もダイハードなメタルヘッドが時間をかけるだけの価値があるアルバムを届けてくれた。このアルバムを通じて真のヘビー・メタルのクラシックがちりばめられており、退屈な瞬間はかけらもない。BABYMETALはここに残るのであり、私自身も信じられないほどうれしい。目新しいものとして登場し、才能によって留まるのだ。
評価:8.5/10
▼元記事
https://autographvirus.com/2016/03/24/699/
目新しいものとして登場し、才能によって留まる…、カッコイイ締めの台詞ですわ。翻訳ありがとうございます。
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