BABYMETALがフォックス・ゴッドをウェンブリーに召喚
TPiのステ・ダーハムが、ビクトリー・ツアー・プロダクションのタイス・ロムと、現在最も話題となっているライブ・バンドの照明、音声、映像、そしてステージングの要素を、同社がどのように提供しているのかについて話した。
2016年にこんなことを言うのはナイーブに思われるかも知れないが、ライブ・コンサート・ツアーについては、日本のBABYMETALのようなものは見たことも聞いたこともまずないだろう。未経験者に説明すると、このグループは基本的には自身の神話と物語を揃えた、テアトリカルなステージ・ショーの一環として、アンセム風のEDM風味があるJポップ(主に日本語)を歌う3人の十代の女の子をフィーチャーしたエクストリーム・メタル・バンドということになる。SLAYERとPENDULUMがPOWERPUFF GIRLSの悪魔版のためにバッキング・バンドとしてチームアップしたと考えてみると良い。分かるかな? オッケー。
BABYMETALのような融合に対して期待されるように、対応するプロダクションも同じようにものすごい。完璧なダンス・ルーティン、ドラマティックなセット、そして最もギグにつかれたRAMMSTEINのファンでも眉を上げるような火薬の山。
2016年のワールド・ツアーを派手に始めるべく、BABYMETALは英国ベースの制作管理会社であるツアリング・ソリューションズ、デンマークのサプライヤー、ビクトリー・ツアー・プロダクション、そしてバンドの日本人クルーによる国際的な協働が必要となる、ウェンブリーのSSEアリーナで一回限りのショーを行った。
二倍の二倍の仕事
ビクトリー社は、バンドのウェンブリーのショーの音声、照明、映像、それにステージングに関する要素を提供するために加わったが、これはBABYMETALがPMとFOHエンジニアを共有しているデンマークのバンド、VOLBEATにサービスを提供している時に、クルーの何人かと関係ができたからだ。
ビクトリー社の音声担当プロジェクトマネージャーであり、VOLBEATのシステム技術者を務めることもあるタイス・ロムはこう語っている。「一度限りのギグとしてはものすごいプロダクションで、私にとっては、作業の間コンサートというより、TV番組のように感じられた。すべてが完璧でなければならなかったが、これは欧州で一緒にプロダクションのリハーサルをしたことがなかったことを考えれば、簡単ではない」
「日本のやり方はものすごく違っていた。彼らは入ってくると、すべてを測り、1センチでもずれていたら、備品を動かすほどだった」
プロダクションのリハーサルはフルに、SSEアリーナで組み立てるのと同じセットで、日本で行われたので、クルーはすべてを正確にプログラムすることができた。ロムは続ける。
「何度も電子メールでやりとりした。私たちはプリプロダクションの段階で照明の演出を8種類やってみたが、最終的にとても印象的で、当事者全員にとってうまくいくものができた。それからデンマークの倉庫で1週間かけて、うちの連中が準備した」
バンドのライブ・アルバムのプロデューサーであるFOHエンジニアに推薦されたマッツ・ミケルセンは、2015年のドイツのクラブでのショーの作業、そしてすぐに続いたレディングとリーズの出演を通じて、BABYMETALの独特のスタイルに素早く適応した。
マッツはこうコメントしている。「ビクトリーはとても働きやすいんだ。私が望んでいるPAシステムを提供できるという事実が一番大きかった。以前にも仕事をしたことがあって、タイスはVOLBEATのシステム・テックを担当したんだ。両方を頭に入れれば、選ぶのが当然だった」
ミケルセンが要求したシステムは、12台のマイヤー・サウンドLEO-Mを両側のメインハングに、4台のマイヤー・サウンドLYON-Wを両側の下にぶら下げるというものだった。再度フィルは、10台のマイヤー・サウンドLYON-Mを両側に、そして9台のマイヤー・サウンド1100-LFCサブウーハーを低音強化のために両側に飛ばす。
ミケルセンは語る。「選択肢がある場合、いつもこのシステムを選ぶんだ。LEOシステムの届く距離は信じられないし、私の意見では、高音の分解能は他に類を見ない。アリーナにはディレイがないので、長い到達距離が必要だった。張り出しステージのおかげで、FOHは60メートルも離れていた」
ミケルセンは、サブウーハーの大部分を飛ばすことで、特に座席が高い場所で、低音を完全にコントロールできるようにし、サウンドが「濁ったり、ブーミーになったり」しないようにした。
ミケルセンは続ける。「追加のバッキング・トラック、サンプル、ハーモニーなど、ミックスではいろいろなことが起こっていた。ヘビー・メタルがパワフルに響きながら、甘いボーカルを中心にし続けることは、大変なバランスが要求された。私はどちらかというと、相互圧縮をたくさんかけ、音楽のいろいろなパートにボーカルをキーして、いつでもそれ以外の演奏の上にボーカルがくるように気をつけていた
「私の一番の関心は、メイン・ボーカリストのスゥメタルがいつもラウドで、クリアで、歯切れが良くなるようにすることだった。他の2人の女の子は歌も踊りもたくさんするため、ヘッドセットを使っているので、フィードバックを抑え、ステージからスネアドラムやギターを拾いすぎないようにたくさんカットしていた」
マイヤー・サウンド・システムは、対応するDiGiCo SDラックを持つ、FOHのオプトコアとウェイブス・ソフトウェア付きのDiGiCo SD10で制御されていたが、日本のモニター・エンジニアはヤマハPM5D-RHの方を選んだ。
「私はDiGiCoが好きで、オフィスのSD8にファイルを用意するので、SD10を当然選んだ。私の意見では手に入る一番自由度の高いボードで、音質は圧倒的だという。
シェア、オーディクス、そしてゼーンハイザー各社のマイクの組み合わせが選ばれ、Shure Axientワイヤレス・システムを使用した。
ミケルセンはこう付け加えている。「ショーは本当に楽しいと思った。ミックスをするたびに、女の子たちとバンドに感心する。日本人はものすごくプロフェッショナルで、すべてが正確にリハーサルされている。ウェンブリーは、特にシステムから60メートル離れているため、難しい会場だが、このバンドのミキシングは楽しかった。ビクトリーは私が望んでいた設備をちゃんと用意してくれたし、サブに関する素晴らしいソリューションも提供してくれた」
目の保養をもたらす
ビクトリーは、日本人クルーの正確な仕様に基づいて、照明も提供した。この中には同社のハンブルグ事務所からの2台のPRG V676コンソールの調達も含まれる
ロムはこうコメントしている。「バンドのLDが日本のPRGで働いていたことがあるので、あの卓のことを良く知っていた。だからこれを提供できるのでとても喜んでいた。最終的に、彼がうまくやれるなら、私たちもうまくやれる」
ビクトリーは、45台のクレイパーキー・アルファ・ビーム700、19台のクレイパーキー・シャーピー、19台のクレイパーキー・ミュートス、117台のGLPインプレッションX4バー、32台のフィリップス・バリライトVL3500ウォッシュ、ハーマン・アトミック3000ストロボによる14台のマーティン、8台のジェイムズ・トーマス・エンジニアリング4ライト・ブラインダー、35台の8ライト・ブラインダー、それに6台のロバート・ジュリアットシラーノ2500W HMIフォロースポットを提供した。
照明クルーに加えて、BABYMETALはウェンブリーのショーのために映像部門も連れてきた。これは予定されるDVDプロジェクトのためにショーを録画するためだ。このチームはまた、日本でビジュアル・コンテンツも制作しており、ビクトリーはスクリーンとエレクトロニクスを供給することになった。これは112台のGLUX10.4ミリ・パネル(50センチx100センチ)、77台のKTLフライヤー18ミリパネル(115.2センチx57.6センチ)、3台のフォルソム・イメージ・プロIIビデオスケーラー、2台のバルコ・マルチフォーマット・アンコール・スイッチアー、1台のバルコ・アンコールLCコントロールパネル、それに1台のグラスバレーT2レコーダーで構成される。
パネルは、1枚の中央のビデオウォール、それに2枚のIMGスクリーンに仕上げられ、コンテンツ、カメラショット、それに曲紹介のビデオを表示する。バンド自身のためにショーを録画するカメラがあっただけでなく、3台の放送用トラックが会場に置かれ、日本の大スクリーンで見ている数千人のBABYMETALファンへダイレクトに映像をストリーミングした。
ロムは言う。「現場にはリギングと保守のために18人のクルーがおり、さらに地元のリガーを手伝いに何人か雇った。彼らは図面を用意し、会場との必要な契約を担当し、私たちは金具とホイストを用意した」 この中には、プロライトとリテックのトラス、それからCMロードスターとキンジーのホイストが含まれる。
BABYMETALのウェンブリー・ショーという大騒ぎに対するビクトリーによる最後の貢献は、ステージのリフとやレイルドリー・トラックを含むステージングの要素を選ぶことだった。このステージは室内に作られ、マルク回転するBステージにつながる大きな花道が関わっていた。私たちは、パフォーマーがステージの下から登場できるようにするリフととレールトラックを用意したので、花道からメインステージに素早く移動することができた」とロムは説明する。
こうしたピースによって、あつらえのセット、ビデオ、そして花火でにぎわうセットと鳴っているステージに、さらに多様性が加わった。
一度限りのギグに大量の機材を提供することはビクトリーにとっては大変な仕事だったが、BABYMETALのショーの成功によって、クルーがまた一つ仕事に成功したと振り返ることができる。ロムはこう結論づける。「これはデンマークで私がやったことがある大きなTBのイベントに似ているように感じられたが、チョガって要るのは一日だけでやらなければならなかったということだ! 大変な仕事だったが、とてもうまくいったし、関わることはとても楽しかった。愛情を込めて呼ばれているファンたち、ザ・ワンはきっと同意するだろう。
▼元記事
https://issuu.com/mondiale/docs/tpimay16_digitallr
訳注:とりあえずラフな訳です。用語の調べがかなりついていないので、少しずつ直すかも
翻訳ありがとうございます。
返信削除読みたかった記事なんで、嬉しいです。
昔コンサート関係の仕事に関わったので、海外で1発ライヴのためにどのような準備をしていたのか、非常に参考になりました。難しい翻訳だったと思います、ありがとうございました!
返信削除たった1日のためにどれほどの準備作業と機材調達およびスタッフを雇用したかを考えると切符が完売したとしても黒字になったとは思えない。チケ代が決して高くないし、物販売上げ記録を作ったといっても日本ほどの数量ではないだろう。日本でのLV売上げとWOWOWへの映像使用料、販売されるだろうディスク売上げで回収でしょう。
返信削除翻訳お疲れ様でした
返信削除私も元コンサートスタッフです
機材の用語関係は、専門職のものなので、わかる人にはわかる、わからない人には詳しく訳してもわからないって類のものだと思います
例えるなら、画家が使う筆は、素人目には大きい小さい太い細いですが、専門の人がみれば、どこどこのメーカーで毛の部分はこんなのを使ってるんだ。みたいな話です
なので、このままでも十分だと思いました
ありがとうございました
これは大変な翻訳ですねありがとうございます
返信削除バリーライトのメーカーはクレイパーキーが一般的呼び方ですね クレイパーキーミュートス
まあどうでもいいですよね
これは凄い翻訳ですね!あとは宇佐美神の解説がつけば完璧。。。
返信削除でも出だしの音質は一部ファンからは低評価でしたよね。。どうだったんだろう
長文訳お疲れ様です
返信削除いつも大変お世話になってます。ありがとうございます。
ブラボー!
返信削除機材の意味はなんとなくしかわからないけど、すごく面白い記事ですね!
返信削除呼んでてワクワクして楽しかったです。