2016年7月8日金曜日

[RTQ] BABYMETAL:西欧世界における思いがけない幸運

BABYMETAL:西欧世界における思いがけない幸運

[スペイン語からの重訳です。ご了承ください。]




私たちは今週の記事を、日本の音楽や文化からいささか離れているが、この論文の状況で議論するところにはなぜか合っているところから始めよう。

1913年5月29日に、世界に革命をもたらすことになる音楽作品の一つがパリで初演された。「Le Sacre du Printemps」こと「春の祭典」である。

この曲は、イゴール・ストラビンスキーが作曲し、振り付けは伝説のダンサー、ニジンスキー・バルサフが行った。

最初から、普通でないソノリティやテクニックが追求されており、一部の楽器で演奏するには論理的でないと考えられるような、居心地の悪い演奏と感じさせた。

「春の祭典」の初演に関する意見は二分され、より伝統的な音楽家はセンスがなく、雑音に過ぎないと批判し、それ以外の多くが不愉快に感じる一方で、素晴らしい作品で革新的だと考える者もいた。これが起こったのは、当時ストラビンスキーがトーナルミュージックとして知られるシステムを離れたからに過ぎない。

これが日本の音楽とどういう関係があるのだと思うかも知れない。

近年、ストラビンスキーの作品が、特に西洋で意見を真っ二つにしたことに似たグループが登場した。

このグループがBABYMETALで、その音楽はメタル・ファンで最も保守的な人々が、非常に不愉快であり、ジャンルを侮辱するものだと考えさせている。

でもそれこそがこの音楽プロジェクトの背後にいる人々の狙いではないだろうか?

このグループについてのより良い意見を得て、結論を出すためには、BABYMETALに伴う文化的および音楽的な側面を分析することが必要だろう。

まず、このグループは日本の事務所、アミューズが創造したものであり、現在のBABYMETALのリード・シンガーである中元すず香が属していた日本のアイドル・グループである可憐ガールズの結成にまで遡る。

日本の音楽産業、そしてアイドルの世界では厳しい競争があることを考えれば、音楽的にも商業的にも成功を収めるためには、しっかりとした音楽の基礎を伴って、何か違うことを提案することが必要だった。このアイデアに基づいて、BABYMETALを創造するというアイデアが生まれた。

でもなぜメタルとポップスを組み合わせるのか?

元MEGADETHのギタリスト、マーティ・フリードマンが、ドキュメンタリー、「Global Metal」で、自分のDEATH PANDAプロジェクトについて述べている。これはポップとメタルを組み合わせたBABYMETALよりずっと先行しているバンドであり、AKB48のメンバーが参加していた。同様に、このドキュメンタリーでフリードマンはこう述べている。「日本は音楽的に偏見のない国であり、他の場所ではうまく行かないことをやることができる」 このコメントから、最初の結論、すなわちBABYMETALはもともと日本の大衆消費者向けのアイドル・グループとして意図されたを引き出すことができる。

だが、インターネットが大きな役割を果たし、メタル・ポップのコントラストがネットでバイラルとなったことで、BABYMETALは世界的な人気を獲得した。そこから意見が二分されることになった。だが、否定的なレビューにもかかわらず、BABYMETALはオリコン・チャートから、ビルボード・トップ100へと進んだ。これは50年に渡って日本のミュージシャンが達成できなかったことだ。

それでも西欧のメタル・ファンで最も保守的な連中は、このグループのやっていることは、様々なメタルのサブジャンルを構成する伝統的な音楽様式に敬意を払わない、この音楽ジャンルに対する侮辱であると主張している。

だが音楽の歴史を通じて、超越を可能にした者たちは、伝統的な音楽形式のルールをあえて破ったことを私たちは知っている。ストラビンスキー、そしてBABYMETALがそうであるように、音楽的に2種類の異なった世界が、最終的には音楽的重要性という同じ道を歩むことになる。

▼元記事
Baby Metal: Un golpe de suerte en el mundo Occidental


10 件のコメント:

  1. いつもながら翻訳ありがとうございます。
    ストラビンスキーを持ち出して、形式のルールをあえてやぶったベビメタの試みが
    歴史上に音楽的重要性をもつだろうと踏み込んでいるは勇気ある発言と思う。
    ただ、なんでもありの日本ではジャンルの混合はこれまでも数多い。なせ、ベビメタが
    欧米で受けたのか。snsだけではないはず。どなたか教えてください。

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  2. 日本みたいに1つのアイドルグループがポップ風、ロック風とか色々なジャンルをやってると、欧米の人は混乱しちゃうんじゃないかな?

    ・ベビメタには「メタル」という柱があり、基本的にそこから外れなかった。
    (そしてメタルには、フェスを開催出来るようなファンベースがあった。)

    ・メタルとしてちゃんとした楽曲。
    (それによって賛否両論が起こる。)

    ・メタルにダンスという新しい要素を入れた。
    (欧米に無いようなダンスだし、キャッチーな要素。)

    ・メタルをやりそうではない女の子がやってる。
    (しかも、セクシー要素無しで、子供にも勧められる。)

    ・3人の個性が違っていて、それぞれファンが付く。
    (3人に興味が無い方々には、神バンドが控えているし。)

    ・メタル好き、ポップ好き、日本好き、変わった物好き等、対象とする守備範囲が広い。
    (パフュームとか考えると、やっぱりメタル要素とジャンルのミックスっていうのが大きいのかな?)

    ・ボーカル、演奏がしっかりしてる。
    (これが基本だけど。)

    ・ライブ最高!
    (えび ばで じゃんぷ!)


    とかかなぁ。と、妄想してます。w

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    1. 俺も(確かな演奏力と歌唱力とダンスが絶対的な基本として)、参入したのが「メタルだったから」だと思う。

      過去、世界に挑戦した日本人は、西欧文化のスタイルを踏襲することに主眼を置いていたけれど、西欧人が求めているのは自分たちのコピーではなく、聞くに値する「何か新しいもの」「何かオリジナルなもの」だったということが、ベビメタの成功から導き出されたと思う
      メタルというジャンルは、様々なサブジャンルを生み出してきたジャンルで有り、それは言葉を変えると「新しい何か」に対する「実験」を試みることの出来る土壌が形成されていると言うことでもあると思う。
      その割に、「メタル」という「世界観」に対しては非常に保守的な傾向があった。

      ベビメタの「革新性」というのは、「J-POP+メタル」という新たなサブジャンルを提案したのもそうなんだけれど、「暴力、暗黒、憎悪、怒り」等のような価値観がテーマだった「メタルの世界観」に「楽しさと喜び(KAWAIIを含む)」をもたらしたという意味で、個人的にコペルニクス的大転回を果たしたと思う。
      ある意味メタルという概念の書き換えを行った、とも言える。これはとてつもないこと。
      そういう日本人のテイストを持ち込むことで「『改革』できる土壌」がメタルにあったことが成功の大要因だと思う

      また、どこかの外人さんが言ってたことだけど「日本から来たものであったから」も加わるのではないかなと思う。
      西欧人が同じ事をやると反発がすごいらしい。日本だと、サブカル含め色んな分野で「独創的なこと」「奇妙で奇天烈なこと」をやらかす国だというイメージが西欧人の間では定着しているようで、「極東の国(=西欧から最も離れた場所)」という地理的条件も加わって、「日本ならやりかねない」「日本ならしょうがない」という免罪符がある状態らしい
      それは裏を返せば日本人なら何か面白いものを見せてくれるのではないかという期待感でもあるらしい
      変革したのが、「日本から来た少女」だったのも、良かったのかもしれないね。「メタルのテンプレ」とは180度真逆な存在感だったわけだ

      ただ、メタルとJ-POPの融合なんていうのは、日本では過去にもあった。
      でも、「J-POPが基盤で、それをメタル風にアレンジしました」というバランスだったように思う。ベビメタの場合は、完全にメタルを基盤として、メタルに振り切った状態でJ-POPをミックスしている。その軸足の違いというか、バランス感覚が、従来のJ-POPとは違うんじゃないかと個人的には思う
      当初、世界でもこれは一過性のもので、「どうせ普通のJ-POPに戻るんだろ?」みたいな懐疑の目があったように思うけれど、2ndでそれを払拭した。

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  3. メタルを聴くようなナイーブで社会から
    阻害され勝ちな層だから受け入れ易かっ
    たみたいだね。当初は。
    外人さんが初めて「萌」に遭遇して葛藤
    してる姿が微笑ましいね。

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    1. 個人的に、そこまで「萌え」の要素がキーになってるとは思わないけどな

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    2. 只、はっきりと言える事は可愛いい女の子でなければ売れてないよ

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    3. 「萌え」の定義を勘違いしてる人がいるなあと時々思う
      「萌え」っていうのは、可愛いものを見て辛抱たまらなくなってしまう衝動的な気持ちのことだよ
      動物の子供を見て、きゅんときて「なで回したい、触りたい、抱きしめたい、たまんな~~い!」っていう気持ちに近い
      「可愛い」ものを見て生じる気持ちだから、前提として可愛さが必要ではあるけれど、可愛い=萌えではない
      ベビメタの3人を見て可愛いなとは思うけど、衝動的に「きゅんとくる」みたいな気持ちにはならないなあ
      楽しいな、すごいな、かっこいいな、かわいいなとは思うだろうけど、「萌え」まで行ってる人は全体的には少ないんじゃないかと思うけど

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  4. 【発見する喜びと日本語の魅力】

    「日本語」だからこそ、という要素も大きいと思う。
    初見で「えっ、何これ!」の後、(練りこまれている音楽とダンスに)自然に引き込まれていくうちに、「何て歌っているの?」と、意味を知りたくなる。
    そこには「我発見せり!」という「発見する喜び」がある。
    そしてYouTubeで動画やコメントを漁りだしたら最後、知らぬうちに時間が飛ぶように経過していき、はっと気づいた時には、すでに泥沼に首まで浸かっているという状態。(笑)
    欧米に何年間か留学していた友人は、色々な国の若者(十数か国)が集まって自己紹介をする時、それぞれの国の歌を一曲ずつうたったとのこと。
    その友人は『椰子の実』をうたったのだが、その時日本語の「さしすせそ」(さ行)の発音が日本独特で美しいということに改めて気づかれた、という。
    また、意味が完全には理解できない所が、「神秘的な魅力」と感じさせることにもつながっているのかもしれない。

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  5. 「泥沼」という言葉はネガティヴさが垣間見えるので「ベビ沼」といいませう

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  6. 日本は閉鎖的な国だと思いがちだけど、実はなんでも吸収していく心はオープンな国だよね。言語的にも文化的にも歴史的にもそうだと思う。一歩先を行くというか、融合させるのが好きだよね。日本は技術大国じゃなく、融合大国。謙虚で変なプライドを持たない。つまり和の精神が生きている。英語がなぜ話せないか?そりゃあカタカナ英語があるからねwカタカナ英語は日本特有の言語で日本語も英語もどっちも尊重しているもの。

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