日本、世界の反対側からのポップ&ロック
ヘオルヒナ・コリン(翻訳:ダニエル・フエンテス、2016年8月15日)
[訳注:スペイン語の原文をBabymetal Newswireさんが翻訳したものの重訳です]
キツネの仮面を被ったティーンエイジャーのグループが、赤と黒の丈夫なドレスを揺らしながら、ヘビー・メタルの音に合わせて、エネルギッシュなダンス・ステップを行っている。チアリーダーの服装をしたマッチョなレスラーが、そのしわがれ声でみんなを驚かせ、コンピューター・プログラムから発する声を持つヴァーチャルのディーヴァが、ホログラムのアバターで暴れ回る。
アステカの国にこういった連中が登場するたびにステージから降りて欲しくないメキシコ人たちが、「アンコール! アンコール!」と叫んでいる。
この熱狂の例が2015年で、前田愛、BABYMETAL、ギルガメシュ、SCANDAL、KAMIJO、°C-ute、Lisa、VAMPS、Asian Kung- Fu Generation、Dir en Gray、Jupiter、そして碧井エリが、首都で行ったショーを楽しむ機会を得たファンに余韻を残した。
今年、この現象は、Kalafina、ROOKiEZ is PUNK'D、The Gazette、メタルシンガーでレスラーのLadyBeard(日本の影響を受け、ショーを行うようになったオーストラリア人男性)、ロック・バンドのSuG、ディーヴァ集団の東京ブラススタイル、そして2007年から人気を獲得した合成音声ソフトで歌うヴァーチャルのディーヴァ、初音ミクのような多彩なジャンルのグループによって、さらに地歩を固めた。数日前、(2011年にメキシコでショーを行ったバンドである)プログレッシブ・メタル・バンド、X Japanのリーダー兼ドラマーの林佳樹が、グアナファト国際映画祭(GIFF)にゲストとして参加し、自分のバンドのドキュメンタリー、「We Are X」を披露すると共に、グループが録音スタジオに戻ると発表した。
その間、日出ずるところの国からの音楽のより多くのファンを待ちながら、今年後半に確認されたのが、ビジュアル系アーティスト(パンク・ロックとヘビー・メタルに関連する音楽ジャンル)のKAMIJO、同ジャンルのG.L.A.M.Sの再来墨、日本のポップ・プリンセス、LiSAの初訪墨、そして12月のBANDMAID、パワー・メタル・バンド、Galneryus、そしてロック・アンド・ラップのFLOWの訪問である。
Circo Volador、Plaza Condesa、ナショナル・オーディトリアムのLunarium、SALA、Pepsi Center、Expo Reforma、メトロポリタン・シアター、シティ・シアター、Cuervo Hall、Blackberry Auditorium and Convention Center Tlatelolcoといった会場は、2001年以来のマンガComic EXPO TNTによって、日本の音楽グループやファンを収容する場所となってきており、LoveJapan Entertainment、Dilemma Concerts、Zepeda Bros、the Ninshi Academy of Asian Culture、J'Fest / J'Liveといったプロモーターは、以前は考えられなかった市場をJ音楽のファンの中に見出している。
初期の取り組み
だが日出ずる国からのアーティストの最近の市場飽和状態は、いつもそうだったというわけではない。2009年にモンテリー・アリーナでTHE JONAS BROTHERSの前座を務めたワンダーガールズの訪墨に始まり、ジュンス、MBLAQ、スーパージュニア、INFINITE、BTS、ビッグバン、U KISSといったなどに代表され、またMusic Bank、The K'Show、そしてKey Soulといった特別なイベントで代表される韓流に比べると、2014年以前は、メキシコで日本のミュージシャンが言の葉に上がることはもとより、コンサートなどほとんどなかった。
2005年のBLOOD、2007年の影山ヒロノブ、2008年のJAMプロジェクト、2008年の山田信夫、2009年と2011年の桃井はることいったメキシコを訪れた数少ないアーティストは、マンガ・コンで数分間与えられるのがやっとであり、2008年と2009年のExpo Comic Poder Jovenがそうだったようにコンサート代も40ペソ(3ドル)か無料だった。
「Expo TNTで、私たちは既にBLOODのようなほとんどオーディエンスのいない日本のバンドについての体験はありましたが、ワールド・コスプレ・サミットのマネージメントが毎年日本で夏に行っているコスプレ・コンテスト(日本のアニメやマンガに基づくコスチューム)のメキシコ代表を選ぶイベントとして私たちを認めてくれたので、2006年により広く認められた日本のショーを行う機会が得られました。そこで2007年2月に、ドラゴンボーズZのサントラのシンガーである影山ヒロノブをワールド・トレード・センターに迎えたのです」
「テレビ朝日の代表者が、2006年にExpo TNTを評価するためにやってきて、このことが日本人アーティストを迎える可能性を開きました」と、過去7年間、Expo Manga Comic TNTのゲスト担当ディレクターであり、おもいともえ(?)、桃井はるこ、奥井雅美、美郷あき、佐々木清花、中野愛子、飯島真理、柿島伸次、NOZOMI、sanaといったアーティストをこのイベントに連れてくる責任を負ったカルロス・エドウィン・グスマンは言う。
メキシコシティ大学で経済学士号を得たグスマンは、影山の訪墨が、メキシコでのこうしたアーティストの公演のターニング・ポイントになったと言う。
「日本の名前はメキシコでは聞き慣れても、認められてもいません。もちろん、人々はドラゴンボールZや聖闘士星矢のことは完全に知っていますが、アニメの背後にいるアーティストについては、ほとんどの人々が分かりません。でも、影山については、長年に渡ってスペイン語で聞いてきた曲を日本語で聴いていましたので、おかげで誰かが分かったので、これは良いことでした」
コンベンションでは温かい歓迎を受けたものの、当時はX Japan(2011年)やAn Cafe(2009年、2012年、2014年)のように、エル・シルコ・ボラドールで単独コンサートを行う栄誉を勝ち取ったアーティストはほとんどおらず、チケット代もだいたい300から800ペソ(20から40ドル)だった。今日、セカンド・プライス(通常のチケットの上に載せられる価格)は、コンサートを楽しむためのGAチケット代より少し高いぐらいで、ファンは喜んで買うようになった。なぜだろうか。28歳のサンドラ・ペレスは「違うから」だという。彼女はカワイイ・メタル・グループ、BABYMETALが昨年、はじめてメキシコを訪れたときに、このグループを見る機会を見逃さなかった。VIPチケットは、2,400ペソ(160ドル)もしたのにである。
「BABYMETALは小さな女の子たちで、メタルでは普通の大人でも男でもない。このことはすごく印象的だし、ダンスしていることも普通と変わってる。以前は、メタルと言えばMETALLICAとかKONRだったけど、BABYMETALが登場してから、女の子にとってはとても魅力的な組み合わせになったの」とペレスは言う。
成長する市場
日本の音楽の波が大きくなっている理由は、既により多くのプロモーターがこのシーンはもうかると見ているからだと、2011年開始の日本の音楽とファッションを中心とする展示会、J'fest、そしてブラックベリー・オーディトリアムで行われたロリータ・ジャンル(あるいはバロック・ポップ)のシンガーである分島花音のショーのように、展示会以外で日本のアーティストが演奏できるようにするコンサート・ツアー・プロジェクトで2014年開始のJ'LiveのCEOであるアレハンドロ・ボニーラは言う。
「5年前には、オファーはまったくありませんでしたが、日本のコンテンツの音楽やファッションに対する需要は相当ありました。それから、Dilemma Productions(X Japan、BABYMETAL)と一緒に日本の音楽を持ち込むパイオニアとなったんです。ですから、一番手になることで、私たちは多くの観客を集め、明らかに需要が大きいことを見て、オファーが大きくなり始めました。これは決して偶然ではなく、ビジネスが生まれ始めたのを見て、他の会社も力を入れるようになり、それで市場が飽和し始めたのです」
同様の背景は、それ以前に2回のシルコ・ボラドールにおけるコンサートで人気があることを既に証明していたJロック・グループのAn Cafeに、2014年11月20日、コンサート・ツアーのデビューを果たさせたLoveJapan Entertainmentのジェネラル・ディレクター、エリカ・ロドリゲスとカルラ・ブラボーにも当てはまる。
「長年に渡って、コンベンション以外は何もありませんでしたし、韓国のアーティストは連れてきましたが、日本のアーティストは連れてきませんでした。これは私たちがいつも戦ってきた問題です。(メキシコの)日本の音楽のファンは、いまだに著作権侵害行為によって甘やかされているのです」とカルラは言う。
▼元記事
Japon. Pop y rock desde el otro lado del mundo
▼Babymetal Newswireの元記事
BABYMETAL featured on El Universal: "Japan. Pop & Rock from the other side of the world"
知らない日本人アーティストが一杯いる~。
返信削除「日本の音楽のファンは、いまだに著作権侵害行為によって
甘やかされているのです」
最後の言葉の意味が解らない?
著作権侵害をしているのは墨の方じゃないのか?
だからメキシコ人が甘やかされてるんだってば。
返信削除いやいや、YOSHIKIはそのままでいいんじゃね?
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