BABYMETAL最大のショー、そして俺たちはそこにいた!(前半)
ケラング!(2016年9月28日)
BABYMETAL史上最大のイベントへようこそ。そうだ、カワイイ・メタラーの今年のカレンダーにはたくさんの注目に値する日があった。驚愕のセカンド・アルバム、「Metal Resistance」のリリース、ウェンブリーのヘッドライナー、ダウンロードのメインステージ登場はその三例に過ぎない。それでも、今年であれどうであれ、俺たちが見てきたもののすべてが、これから説明するものの前には色あせて見える。ヘッドライン・ワールド・ツアーのビクトリー・ラップのためにBABYMETALが選んだのは、母国に戻り、何か本当に華々しいことを試みることだった。55,000人収容の東京ドームにおける2夜の公演だ。
1,362万人が住む東京以上に、その真の多様性が見た目を定めている都市を考えることは難しい。ネオンが消えることのない通りのどの角を曲がっても、コスプレマニアの通りから、店の宣伝をしている巨大なアニメ・キャラまで、何かものすごく刺激的なものを見ることができる。だが、それぞれがRed NightとBlack Nightと名付けられたこの2つのショーの48時間の間、およそ11万人のBABYMETALファンは、この驚くべきほど個人主義的な都市を、文字通り均一化してしまった。このバンドに対する愛情は明白であるばかりでなく、論証可能なのだ。東京のダウンタウンのかなりの部分が、BABYMETALのTシャツを着た人々によって占拠された。このような光景は、IRON MAIDEN、KISS、それにTWENTY ONE PILOTSのファンぐらいしか対抗できない。BABYMETALのペチコートを着たコスプレイヤー、キツネのお面、そしてスケルトンのワンシーがそこら中にいた。
野球チーム、読売ジャイアンツの本拠地である東京ドームは、周囲の通りの上にそびえたつ卵形のスタジアムだ。その堂々とした存在にもかかわらず、周囲の舗道の上を蛇行する列を見れば、どうやったらこの全員が実際に中にはいれるのだろうと思うだろうし、それからこの列はマーチャンダイズの売店に対する列に過ぎないことに気付くだろう。外には列の中にまた列があるように感じられ、BABYMETALのThe Oneウェブサイトの会員は、完全な視覚的IDを伴った空港なみのセキュリティー・エントランスを通って、会場に入場しているのだと分かる。BABYMETALは以前も大きなショーで公演を行ってきた。2014年の伝説の日本武道館での演奏は、一里塚のように感じられた。だがこれはどうだ? これはまったく異なった規模のものだ。
通訳を介したケラング!との公演前のインタビューで、明らかに緊張は隠せなかった。ユイメタルは、ここで演奏することについて「まだショック」だと認めた。モアメタルも同じように感じていて、「あのステージに立つことは、私たちのような女の子にとっては間違いなく大きな挑戦です」と認めた。
「日本で、私たちは武道館のようないろいろな大きな会場で演奏してきましたが、東京ドームはいつもいつか演奏したいと夢見ていた場所です」とスゥメタルは説明する。「日本においても、誰もがここで演奏するチャンスを得られるわけではありません!」
これは単にアドレナリンや神経の問題だけではない。ここは世界で最もビッグなバンドだけが足跡を残せる会場で、過去にはGUNS N' ROSESやMETALLICAが演奏を行っている。このショーは実際あまりにビッグなので、計画通りにすべてが進むよう、ここだけで1,000人以上の人々が働いている。ということは、これからの2日間、物事は本当にものすごいことになるということだ。
Red Nightは、ショーが始まる前から特別だった。東京ドームのドアから入ると、55,000人のファンにはそれぞれ、身につけるためのプラスティックの「クリスタル」コルセットが渡された。これは基本的に、日本のカルト映画、「バトル・ロワイヤル」に出てくるような、いつでも頭が爆破される気分にしてくれるものだ。ケラング!の頁には、長年いろいろと珍しいことが掲載されてきたが、その歴史を通じて、K!は一つのギグで、55,000人の人々が全員、同じスキー事故にあったように見えたという経験はない。
今夜のショーが行われるスペースはさらに印象的だった。四方をすべて座席で囲まれたアリーナの中心にある、私たちが直面したものは、巨大な、回転する円形のステージで、そこから3本のものすごく長い棺桶型の花道が観客に向かって延びている。もっとか? そこにはおよそ10階くらいの高さがある2階建てのステージがつながっていて、エレベーター、360度のビデオスクリーン、それに頂上に烏の巣のようなステージが取り付けられており、当然ながら、3つのより小さなステージへと分かれている。
Red Nightが始まったのはここからだ。まず、ビデオ・ディスプレイが点灯し、クリスタルのコルセットは、「これから待っている厳しい戦い」から君たちを守る者であり、フォックス・ゴッドが外してはならないと命じたと告げた。ものすごい期待感の中で、スゥメタル、ユイメタル、モアメタルがようやく旗を持ってエレベーターから登場し、観客を眺めてから、「Metal Resistance」のタイトル・トラックへとなだれ込んだ。
最初に明らかになったことは、建物の中にいる全員が舞い上がったことだ。携帯は許可されていなかった。K!の視野の範囲では、誰も撮影も、ツイートも、インスタグラムもしていなかったし、スナップチャットに向かっておかしな顔をしていることもなかった。その代わりに、55,000人が、正気を失い、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」のスターキラー基地の集会を再現したように見える、拳を挙げるシーケンスをきちんと統制されたかたちで行っていた。ストームトルーパーが一日休暇を取って、カワイイ・メタルに夢中になっている感じだ。
三人の女子たちが完璧に歌い、振り付けを踊りながら、回転するステージを切り抜けるやり方から、常時現れる、会場をジグザグに走るレーザー、目を見張るような照明、そして火薬の一閃まで、数限りないハイライトが続いた。公演を通じて、彼女たちの観客の支配は絶対だったが、ワンツー・ノック・アウトの組み合わせで言えば、"ギミチョコ!!"から"Karate"への爆発的な流れは圧倒的な体験だった。この夜だけでなく、本来なら、両方のショーのハイライトだったろう。
だが、BABYMETALが、"Tales of the Destinies"の初演を終えてから、何かとても特別なことが起こった。東京ドームを闇が包み込み、みんなの首のクリスタル・コルセットが、終曲の"The One"が始まると光ったのだ。それは、55,000人が、人間のライターに変わり、浮かび上がった瞬間だった。東京ドームは会場と言うよりも、夜に光る町のスカイラインのように見えた。
スゥメタルは歌いながら、自分の目の前に展開する光景に本当に感動しているようだった。これがまだ「続く」であることをみんなに思い出させるビデオと共に、耳がつぶれるほどの喝采でショーは終わった。
ショーの後で、K!は、自分が観たものを処理しようとしているDRAGONFORCE、そしてSINSAENUMのスター、フレデリク・ルクレールを見つけた。フレデリクは、BABYMETALと演奏し、これを観るという両方の名誉を得た。だから「比べてどう思う?」と考えざるを得ない。
「BABYMETALがあの驚くべき、超有名な会場を支配する姿を見るのは素晴らしかった」とフレデリクは言う。「今夜は何もすることがないんだが、彼女たちが達成したことを見て、とても誇りに思うよ。日本でどれだけビッグになれるのか分からない! 彼女たちはそれにふさわしいんだ」
これをしのぐには何か特別なものが必要になるだろう。
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▼元記事
Kerrang! 2016/9/28
すごく読みたかったんです、本当にありがとうございます。
返信削除ああ、自分で英文が読めたら…
海外の雑誌らしいユニークな表現が多用されていて、とても面白いレビュー記事だと思います。
あの伝説になりそうな光景は、海外の老舗にもキチンと評価されていた様で素直に嬉しいですね。
東京人多すぎるやろw
返信削除東京に1億3千万とか街角が何処もコスプレとアニメだらけとか
返信削除よくまあ適当なステロタイプで記事書けるもんだ
確かに、書き出しの部分はどうなるのかと心配になった。東京に1億3000万人だとか…翻訳ミス(?)、否、それは有り得ないですよね、失礼しました。
返信削除しかし、渋谷や池袋にBMのTシャツが大量に出没した事は事実だ。
さらに、ウエンブリーにも直接参加したが、それが色褪せる程のドームの規模と出来栄えだった事も事実だ。
しかし、武道館同様にRED NIGHTはBLACK NIGHTの前座・予行演習に過ぎない(言い過ぎかも知れないが)。赤も素晴らしかったが黒の比ではなった。
本番はあくまでもBLACK NIGHTだ。そのレビューが待たれる。
>1億3620万人が住む東京以上に
返信削除原文が上のように記述されていたとしても、そこは翻訳者様の判断で
1億3620万人が住む(国の首都)東京以上に
と補足されたら如何でしょう。それが武士の情け、ってもんですよ(笑
面白かったです。
返信削除後半の翻訳、楽しみにしています。
やけに東京の人口が突っ込まれてますねw 原文はというと「Home to 13.62 million people,...」なので1,362万人が住む...ということです。(ライターの名誉のために)
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