2017年1月4日水曜日

[trebuchet] BABYMETALの「Live At Wembley」 – ありえないが、適切な2016年の要約(その1)

BABYMETALの「Live At Wembley」 – ありえないが、適切な2016年の要約(その1)

激動で、意見が割れ、非常に熱く語られるBABYMETALが、その「Live At Wembley」のリリースにより、2016年を極めて適切にまとめた

フラグル・ミュージック(2017年1月3日)



2016年はかなり激動の年だった。

死神は慈悲のかけらも見せず、多くの愛されている人々を奪い、悲しませ、そのリストから名前を消していった。外国人嫌いや誤った情報が規範となり、ヘイト犯罪の増加、、不寛容、そしてとても不確かな未来につながり、再び、英国から国際的な競争において、失望を招く見せびらかしがあった。

だが音楽の世界では、物事はかなり違っていた。

(IRON MAIDENの素晴らしい「Book of Souls」が、再びこのジャンルに対する大衆の注目を集めてからの)2015年のヘビー・メタルの復興を受け、2016年もこの勢いを維持し、素晴らしいリリースやそれほどでないリリースを大量に送り出した。この音楽的な狂乱のすべての中に、どんどん目立つようになり、とても意見が割れるようになった謎が存在している。

私はBABYMETALのことを述べている。

BABYMETALとして知られる現象は、MAD CAPSULE MARKETS、DIR EN GREY、CHURCH OF MISERY、そしてSIGHといった複数の音楽ジャンルにまたがる重要なバンドを生み出したことで知られる国、日本の産物だ。だが、このバンドほど意見が割れるものは思い出せない。Jポップとメタルコアの融合は、音自体からバンドの性質――2種類のファン層をターゲットとし、これを無慈悲に搾取するためにヘビー・メタルのバッキング音楽と組み合わせた、作りものの日本のポップ・グループ――まで、肯定的・否定的を問わず、大騒ぎを引き起こした。

だが、このすべてについての中心となる疑問はシンプルだ――なぜBABYMETALは突然これほどまで激しい議論の対象になったのだろうか?

最初は、2014年後半から2015年前半に、シングル、"ギミチョコ!!"でバイラル(私はこの表現が嫌いだが、この状況を説明するには最も適切だろう)になったこのバンドは、世界を席巻した。

ポップ・ソングを演奏しているみたいに、完璧に協調した(もし君がBABYMETALを嫌いな側であればマイムしている)歌と踊りを行う三人の若い十代の少女たちの背後にメタルコア音楽があるという刺激的な性質は、誰もを驚かせた。理屈の上ではうまく行かないはずだった。まったくビジネスが重なり合わない二種類の完全に独立したジャンルが、一つにまとめられて、何か奇妙で、素晴らしくて、最高の何かを生み出すということは。だがそうなったのだ。この二種類の極端な存在はぴったりとはまり、いろいろなレベル――クセになるキャッチーでメロディアスなボーカル・ライン、キラー・ギター・リフ、そしてものすごいヘヴィーネスが支えるフレットボードの魔術――でうまく行っている、非常にユニークなサウンドを生み出した。

BABYMETALと呼ばれる現象を逃れることはできず、このことは、彼女たちのセカンド・フルレンスである「Metal Resistance」が今年前半に、世界中のアルバム・チャートの上位にランクインし、気の抜けた、プロデュース過剰で、いやになるほど当たり障りのないメインストリームのリリースの間でその位置を確保したときに証明された。

このような成功と共に、この女の子たちに対する高い需要があるのは不思議でない。最近RED HOT CHILI PEPPERSとの英国アリーナ・ツアーを終えたBABYMETALは、今年早くの記録破りのウェンブリー・アリーナ・ショーをリリースし、そのリリースやフォーメーションにポップ・マーケティングの要素があるとしても、自分たちがメタルの観客とやっていけることをみんなに向かって示した。このショーには12,000人の観客がいて、日本のバンドに関する複数の記録を破り、さらにこの会場のマーチャンダイズ販売で最高記録を達成した! だからこれ以上後回しにするのはやめて、この夜の記録に踏み込んで、その一部となることができなかった私たちのような人間に、どのように響くのかを見てみよう。

BABYMETAL— Live At Wembley

公演は、「ヘビーメタルの魂と遺産と歴史」について語る、かなりドラマティックなナレーションで始まり、"(BABYMETAL) DEATH"のかたちで、最初の激しさの波が訪れる。重いベース、激しいドラムス、そしてクラッシュするギターによって、最初、君はありふれたメタルコアのギグにいると思うかも知れないが、日本人の十代のトリオによる明瞭な声がそれを逆転する。通常のメタルのスタイルとは異なり、グロウルやだみ声の叫びで歌われる代わりに、クリーンかつメロディアスに歌われ、これは素晴らしい対位法として機能し、このトリオはステージではリップシンクしているだけだと主張する者は、良く聴いて、これが嘘であるということを確認しなければならない。

メイン・ボーカリストであり、三人の中で最年長の中元すず香(スゥメタル)は、強い情熱を込めて力強く歌い、その歌いぶりの中に、ロングノートを続けているときに、生々しさとわずかな揺らぎが聞き取れるはずだ。すこしばかりいらだつが、それでもクセになるほどキャッチーな水野由結と菊地最愛(ユイメタルとモアメタル)が、バッキングおよびハーモニー・ボーカルを合いの手のスタイルで提供し、激しいリフに対するこの二種類のボーカル・アプローチがうまく機能し、観客からのバッキング・グロウルと彼女たちを支えるミュージシャンたちが、全体の歌唱にさらなるエッジを与えている。

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▼元記事
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