2017年1月5日木曜日

[trebuchet] BABYMETALの「Live At Wembley」 – ありえないが、適切な2016年の要約(その2)

BABYMETALの「Live At Wembley」 – ありえないが、適切な2016年の要約(その2)

激動で、意見が割れ、非常に熱く語られるBABYMETALが、その「Live At Wembley」のリリースにより、2016年を極めて適切にまとめた

フラグル・ミュージック(2017年1月3日)




ここからは……本当に理解するには、聴く必要があるのだが、言葉でできる限りのことを伝えたいと思う。

"あわだまフィーバー"は、ヘビーなテクノ・サンプルとダンス向きのテンポで、MAD CAPSULE MARKETSのように始まる。キャッチーなポップ・メロディーのフックとボーカルと組み合わせたような、この日本の実験的なノイズ・メタル・トリオを思わせるクラッシュするギターは、とにかくエネルギーを発散している。この夜のショーのフッテージは、どれだけ観客がすべてを楽しんでいたのかを良く示している。"YAVA!"は、このテクノ・メタル・ポップのハイブリッドを推し進める。バース部分のクリーンなギターには少しだけファンキーなタッチがあるが、本当に面白くなるのはコーラス部分だ。ファンタスティックなリックを持つこれは、突然のディストーションと激しさで曲を押し出し、疑いもなくピットにいる観客を熱狂させる。

これに続く熱烈な"GJ"も、その下には本当のグルーブ・メタルが流れている。ダーティに響く、ハーモニックを含んだリフと、足を踏みならすのに向いたグルーブは、もし女性によるポップなボーカルを無視するなら、たやすくBLACK LABEL SOCIETYのスタイルのサザン・メタルと間違えるだろう。コーラスの観客とのコール・アンド・レスポンスのパート、それにシリアスなヘッドバンギングの瞬間もあって、BABYMETALとその音楽のダイナミックな性質が、全員に対してフルに示される。そうだ、この女の子たちは(彼女たちの後ろにいるバンドの手にある)音楽の伝達を担当している訳ではないかも知れないが、どれだけこの幅広い音楽スタイルに対する「カワイイJポップ」のミクスチャーが応用に富んでいるのかを示している。

より古い曲だが、ファンのお気に入りである"ド・キ・ド・キ☆モーニング"は、必要に応じて歓声を上げたり、叫んだりし、自分たちの場所がないときには、お約束の「ヘイ!ヘイ!ヘイ!」と叫ぶ観客たちから、ものすごい歓迎を受けた。これに続くのは最新アルバム(「Metal Resistance」)の私のお気に入りの一つ、"META メタ太郎"だ。ボーカルのキャッチーでメロディアスな性質を持つ、(メロディアスなリードの一部にフォーク・メタルの要素を持つ)パワー・メタルをミックスした、キャッチーでメロディアスなボーカルの性質を持つ、この曲のアンセム的なフィールによって、正当な音楽体験が生まれるが、本当に興味深いのは、ミス中元のメイン・ボーカルで、彼女が口パクをしているのではないことのさらなる証明となっている。声を伸ばしたところで、わずかな下げと震えが聞こえるからだ。技術的なものを別にすれば、正統派の雰囲気を持つこの力強い疑似フォーク・パワー・メタル・トラックは、その目的を果たしており、既に会場にいる12,000人以上をさらに盛り上げる。

"Amore"は、一種のバラード兼スローダウン・トラックとして機能しており、その壮大なシンセのイントロで、息継ぎの場を与える。最初は……。この曲を良く知っていれば、これは当てはまらないことがわかる。サウンドとデリバリーにおいては「DRAGONFORCE」と表現するのが一番かも知れないこの曲は、ネオクラシカルなフレットワークの疾風によって爆発し、PCPのパックマンはこういう音になるといったものに帰結する。それでも、この爆発的で、パワフルなデリバリーにもかかわらず、ボーカルはやはりバラード風で、長音に相当な重きを置いている。ああ、それから狂ったようなベース・ソロから和声によるフレットボードのメルトダウンへと移るところがあり、このことは絶対に触れておかねばならない。

観客はおなじみのより古い曲で盛り上げられ、ものすごくヘビーな"メギツネ"が始まる。観客が声の限りに「ヘイ!」と叫び、シンセと低音のイントロが、はらはらした気分を盛り上げる。おなじみの三味線のイントロが入ってくると、まさに望み通りの効果が得られる。観客が声を上げ、ボーカルのデリバリーがぴったりとはまり、エネルギッシュで記憶に残る、畳みかけるような音楽が仕事をして、完璧に現場を再現し、事情によってライブで見られなかったことから、聴きながら嫉妬心に駆られる。

"Karate"は、このリリース(コンサートが録音された時点で最新のシングルだった)で最も大きな歓声を得て、重厚なリフとタイトな演奏が、どれだけこれが素晴らしいのかを実感させてくれる。ボーカル的には、ヴァースの部分は予想通りで、ゆっくりとし、抑えが効き、クリアだったが、すべてが一つになったのはコーラスだ。メロディアスで力強い進行がボーカルを支え、ユイとモアのバッキングラインに観客が加わり、期待するように交差する。演奏者と観客が同じ波長となり、一瞬我を失うような演奏だ。

"イジメ・ダメ・ゼッタイ"もスピードを落とす瞬間をもたらす。スゥがブロークン・イングリッシュで曲の前の痛切なスピーチを行い、この夜のハイライトが頭を上げる。「夢の中で、フォックス・ゴッドが話してくれた……ウォール・オブ・デス……本当の勇気を見せて……」ゆっくりとしたメロディアスなピアノの伴奏と構成にもかかわらず、前と同様に、これはバラードでないことが分かる。ゆっくりと、スゥとピアノのラインが和声を奏で、リフが入ってくる。メタラーは、EXODUSの"Strike of the Beast"かLAMB OF GODの"Black Label"の始まりに例えるような一瞬のうちに、緊張感が高まるイントロが、フロアにいる者に、次に何が来るのかを示す。完全な混沌だ。

スゥの伸びる高音に対して、観客は爆発し、ハーモニーに満ちたメロディアスなパワー・メタルが戻ってきて、公演の他の部分と同様に、クリーンかつ正確に伝わってくる。

この時点で、残っているのはあと3曲だ。最初にこのバンドに対するものすごい注目を集めた曲である"ギミチョコ!!"でホームストレッチが始まる。期待感が明らかに刻まれており、メタルの猛攻が、2016年に死神の鎌の一閃のようにこの曲をぶった切る。ヴァース部分の重厚なメタルは、キャッチーでメロディアスなコーラスに道を譲り、曲を通じて、ご想像通り観客が歌いまくる。

"The One (English Version)"は、終演一つ前の曲となっており、ようやくセットリストがじらしてきたバラードの瞬間をもたらす。確かに英語はスゥの得意なところではなく、発音とデリバリーをできる限り練習してきたことが分かる。曲名が示すようにすべて英語のボーカル・デリバリーは、若い女性が自分の母語でない言葉で歌うのがどれだけ大変かということを考えれば、印象的な歌唱となっている。確かに、期待通り、ところどころにブレイクアウトするメタルの瞬間があり、ピアノとボーカルによるデリバリーは、より静かなパートで癒しを感じさせるが、ここでも彼女が口パクをしていないことが明らかになる(この点はできるだけ私が強調したいところだ! BABYMETALは作り物かも知れないが、Xファクターのようなくずではないんだ!)

最後のまとめは"Road of Resistance"で、これまでのBABYMETALのキャリアの奇跡を考えれば、適切な名前のトラックと言える。ロブ・ハルフォード、ロブ・ゾンビ、そしてカーク・ワーメット(もちろんハメットだが)による裏書きにもかかわらず、彼女たちが嫌いであったり、どのように結成されたのかについて、批評、反対、そして否定されたりする人々に向き合い、こうしたことに耐えなければならなかった。いずれにせよ、本筋に戻ろう。音楽的には、イントロのシンガロングのメロディアスなラインと力強いパワー・メタルの感覚、そして高速のデリバリーが、この夜の最後の瞬間でゴールへと駆け抜ける。お約束の「演奏を止めて観客がメロディーを歌う」挿入部分がこのトラックではフィーチャーされていて(観客の規模とそのエネルギーを考えればとても強い印象を残す!)、強烈なライブ演奏であったものにとって、素晴らしいエンディングとなる。

「Live At Wembley」は真正のライブ・アルバムだ。これは公演ごとに自身と強さを高めているバンドと、それを支えようとしている強力で、献身的なファン・ベースを示している。

好きだろうが、嫌いだろうが、理解しようが、できなかろうが、BABYMETALは2016年という年にたとえることができる。ものすごい変化と不確実性の一年、音楽の世界にも大きな変化があった。レジェンドが亡くなり、大きなショック(テンプルズ・フェスの大失敗やチーム・ロックの崩壊)があり、そして嬉しいサプライズ(GUNS N' ROSESのリユニオン、一年間MOTLEY CREWの差し迫った解散がなかったこと、あるいはその音楽のリリースとツアー!)があった。これは人々が複雑な感情で振り返る年であり、BABYMETALがそうであったように、人々は受け入れて前に進むか、激しく攻撃する。

最後に、君たちが望まないようなことは起こるし、同じことは音楽にも言える。君たちが嫌いなバンドが人気者になり、そのサポートが揺らぐまで、とにかく慣れるしかないのだ。

2017年よ来たれ……音楽的に、社会的に、政治的に、そして何よりBABYMETAL的に!

▼関連記事
[trebuchet] BABYMETALの「Live At Wembley」 – ありえないが、適切な2016年の要約(その1) 

▼元記事
Babymetal Live at Wembley – The Unlikely but Apt Encapsulation of 2016


3 件のコメント:

  1. 翻訳ありがとうございます。
    なんか凄い熱くて濃いレビューで感動した。

    返信削除
  2. これ円盤の論評というよりラブコールだね

    返信削除
  3. ドントシィ~ンク!ふぃ~る♪! とYUIMETALの御叱りを受けさせたい

    返信削除