2019年7月9日火曜日

[Kerrang] 次の世代

[Kerrang] 次の世代

(2019年7月13日号)

グラストンベリーを吹っ飛ばしたばかりのBABYMETALが新しいMetal Galaxyをロンドンへ持ってきた

BABYMETAL
-AMARACHE、SLEEP TOKEN
ロンドン、02アカデミー・ブリクストン
2019年7月2日
評価:KKKK(素晴らしい)






BABYMETALのショーを通じて、君はいろいろなものを見て、聞いて、体験するだろう。君の耳は、誰かが同時にこれまで録音されたパワーメタルの曲をすべて演奏しているようなTVゲームに自分が入り込んでしまったように感じるだろう。君の目は新年の東京を包み込むほどの光によって眩むだろう。君の手足はステージのダンスルーチンを再現しようとするだろう。同時に、君は自分に襲いかかる栄光に満ちた不条理に併せて叫び、笑い、バンドが登場してからほとんど10年経っても、目には熱狂的な喜びと映る無茶苦茶なショーを呆然と見つめることになるだろう。

でも君が退屈することはない。いずれにせよ、BABYMETALが演奏しているうちは。悲しいかな、黒いローブをまとった謎めいた前座のSLEEP TOKENが同じように派手なものを期待させたとしても、エネルギーや夢中さという面ではほとんどない。音楽的には薄気味悪いエレクトロニクスが盛り上がって何かになるように思えるが、実際にそれがかなうことはなく、遅い始まりを埋め合わせることはなかった。

だがAMARANCHEはそうではない。BABYMETALと同じように「多い方が良い」世界を支配するこのスウェーデン=デンマークのメタラーは、3人のシンガーと抑えると言うことを知らない感覚を有する。"Digital World and CGus"のような曲は、10年分のユーロヴィジョンを注ぎ込み、コンスタントにエリーゼ・リードのハイキックを加えた、圧倒的な旅路だった。ばかげたものにもなり得るが、これほどエネルギッシュで、魅力的で、楽しければそうはならない。

BABYMETALの場合、そんな人間的な結び付きは得られないが、この世から狂った世界へと完全に呑み込まれることにはなる。無名の新しいダンサーを含めたことで、ユイメタルの脱退に続いて、昨年スゥメタルとモアメタルがデュオとしてツアーした時よりも、ルーチンをより良く満たすことになったが、実際、こんな細かいことは、BABYMETALが登場した瞬間に君が連れていかれたハイパーリアリズム的な惑星の、広大無辺でネオン輝く浜辺ではただの小石に過ぎない。

オープニングの"メギツネ"の一斉射撃は、絶対的な狂乱で、プレデターとSLIPKNOTのミック・トムソンの遺伝子組み換えの結果のようにみえる仮面をしたバンドにより演奏される、未来的なメタルをバックにしたSF風の遊園地となった。重厚な"Karate"の間、アラン・パートリッジの「吹いては光り、吹いては光り」の特殊効果のアイデアを極端にマンガ的にしたような、燃え上がる炎とドライアイスが交互に吹き上がり、"ギミチョコ!!"の間は、自分がどこにいるのか分からなくなるようなハイパーアクティブな輝きが襲いかかる。

だが、このスペクタクルの中でも、楽しむべき音楽的な歓待が存在している。とりわけ、新曲が3曲ーシングルの"Elevator Girl"と明るいシンガロング"PA PA YA!"、それに"インドメタル"という仮題の未発表曲ー演奏され、"Starlight"と"Syncopation"は海外で初演となった。だが、まだ慣れ親しんでいない曲の間も、反応は狂喜乱舞そのものだった。

BABYMETALが次章に向けてシフトするなかーバンドの退場時のものすごい、宇宙をテーマにした映像で広告されていたー、このような熱狂が見られるのは心温まる。単に十年を経ても、彼女たちがこのような熱狂的で、退屈することのない時間を意のままにするばかりでなく、彼女たちは未来に目を向け続けているからだ。それが何を意味するのはOnly the Fox God knowsだが、それものすごくて、ばかげていて、この世には他に無いようなものであることは保証付きだ。

Q&A モアメタル(ヴォーカル)

Q:ロンドンに戻ってきてどういう感じ?

A:「ロンドンはとても特別で私のお気に入りの場所の一つなので、戻ってこられて素晴らしい気分です」

Q:グラストンベリーで2日前に演奏したけれど、ワージー・ファームはどうだった?

A:「グラストンベリーにはたくさんのお客さんが行くし、すごく特別なフェスティバルだと聞きました。スゥメタルと私は以前、あそこでいつか演奏できたらすごいよねと話していました。実際にそこに行ってみると、どれだけ多くの人たちがこのフェスティバルにいるのかを自分の目で見て、とにかくこの体験がどれだけ魔法のようなものかにびっくりしました」

Q:数日前にリリースされたばかりの"PA PA YA!"を含め、今夜は新しいマテリアルをずいぶん演奏したけれど、演奏する新しい曲ができてどう感じた?

A:「新しいマテリアルを演奏するのはいつも楽しいです。"PA PA YA!"は、私たちと観客の皆さんが叫んで、踊って、私たちの旗を振る曲ですーとにかくすべてがとても楽しい曲です。私はこの曲をもっとたくさんやるのを楽しみにしていますので、次に私たちに会いに来る時までに、この曲を覚えてきて下さい。私たちの次のアルバムの録音ヴァージョンは、タイ人のラッパー(F.Hero)とコラボして作りました。アルバムはカワイイ・メタルが新たな進化を遂げたものとなります——いろいろな種類の音楽をミクスチャーしたものです。リリースするのを楽しみにしています!」

▼元記事
The Next Generation







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