2016年5月23日月曜日

[プログレ] CAMELライブ・レポート(独自記事)

CAMELライブ・レポート(独自記事)

CAMELが16年ぶりの来日ということで見てきました。実は最初の日本公演である1979年 Breathless Tour(ブレスレス・ツアー)(Japan Tour '79)で見て以来、僕にとっては実に37年ぶり!のCAMEL。ちなみにその時はアンドリュー・ラティマー(ギター、ヴォーカル、フルート)、アンディ・ウォード(ドラムス)、リチャード・シンクレア(ベース)、メル・コリンズ(サックス、フルート)、デイヴ・シンクレア(キーボード)、ヤン・シェルハース(キーボード)という編成で、当時は来日など考えられなかったCARAVANを見に行ったような感じでした。(後年HATFIELD AND THE NORTHも来日したもんねえ。)

今回はアンドリュー(以下「アンディ」)、コリン・バース(ベース、ヴォーカル)、デニス・クレメント(ドラムス)、それにピート・ジョーンズ(キーボード、ヴォーカル)という4人編成。最近のバンドはサポート・ミュージシャンを連れてくることも少なからずあるので、メンバーこそ違えどオリジナル・バンドと同じ編成というのはある意味すごく新鮮でした。

会場は六本木のThe EXという自分も初めて行く箱で、今月やった他のバンドを見るとSILENT SIRENとかDOLL ELEMENTSとかだから、久しぶりのCAMELというのを考えるとちょっと小さい感じはしましたが、その分だけバンドとの距離が近く感じられるライヴでもありました。ちなみに前から6列目で、目の前にアンディがいる感じ。

選曲はベスト・オブという感じで、「Breathless」を除き、「Stationary Traveller」で一度解散する前のアルバムから満遍なく演奏したという印象です。簡単に各曲について触れると、オープニングはファースト・アルバムの"Never Let Go"で、ヴォーカルはピート・ジョーンズ(若手のTIGER MOTH TALESのメンバー)がヴォーカルをとったんですが、これがまた美声でびっくり。彼は視覚障害があるので、ずっと座ってのプレイですが、楽器の持ち替えを含め、健常者と変わらないような素晴らしい演奏を聞かせてくれました。

次は「Mirage」の"White Rider"で、こちらはかなりヘヴィーな演奏。続いて、個人的には最初の山、"Song Within A Song"が演奏されました。アンディはフルートも吹き、あの懐かしい雰囲気が戻ってきました。この曲はやっぱり中間部のゆったりとしたギターとベースのユニゾンが美しく、40年前にタイムスリップしたような気がしました。

続いて「Rain Dances」からの"Unevensong"をはさんで、「The Snow Goose」からメドレーで3曲。後半になるほど熱がこもってきて、このへんからエンジンがいよいよかかってきた感じ。さらに「Moon Madness」から3曲。"Spirit of the Water"はコリンのヴォーカルにアンディのリコーダーがメイン。"Air Born"はやはり名曲としかいいようがない。そして前半のハイライトが"Luna Sea"、泣くようなアンディのギター、ピーター・バーデンスを蘇らせたようなピートのキーボード・ワーク、そして後半のアンディの泣きのギター・ソロとコリンのベースとのユニゾン。これ1曲だけでも来た甲斐があるというもの。

「Nude」はリリース当時はピンとこなかったアルバムなんですが、先日ゆえあって、「Nude」から'00年代のライヴ盤まで全部聴き直してみたんだけど、良くできているアルバムだと思いました。中でも"Drafted"はやっぱり美しくて、前曲との対比も良かった。さらに「I Can See Your House From Here"から"Ice"。個人的にはいかにもキット・ワトキンスというキーボード・ワークをフィーチャーした"Hymn to Her"の方が好きなんだけど、こちらはステージだと泣きまくりのアンディのギターがより効果的に響く。英国の哀愁ですね。

続いて、「怒りの葡萄」を題材にした、'90年代への復活作であった「Dust and Dreams」から"Mother Road"と"Hopeless Anger"。このアルバムもこの間聴き直したところで、きちんとしたプログレ作として仕上がっているのも魅力。'90年代以降はアンディのルーツであるブルースがよりはっきりと前面に出るようになっていて、この2曲でもブルージーな泣きのプレイが次々と襲ってくる感じ。今回のライヴで一番ノリが良かったと思います。

本編の最後は、この曲をクリス・レインボウとギー・ルブランに捧げるという一言があってちょっとうるっときました。ギーにはもう15年以上前に一度会ったことがあるんですね。それで意気投合して2時間ぐらい話してた記憶があります。自分よりも若いギーが54歳の若さで亡くなり、どうにも諸行無常を感じざるを得ないです。なので、"Long Goodbyes"は、今回聴いた中で一番染みた個人的なハイライトになりました。歌詞も覚えているんで歌いっぱなし。アンディのギターも感動的なくらい泣きまくって、ああこれがプログレだよなあと思いました。アンコールは「Mirage」からお約束の"Lady Fantasy"。

一期一会ツアーということだけど、どうやらまた来てくれそうだなと思いました。


3 件のコメント:

  1. The Snow Goose  が好きでよく聴きました。懐かしいです。

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  2. CARAMEL時代から37年とは感慨深いですね。
    CAMELはオフィシャルブートやベスト盤も含めて手に入るアルバムはすべて持っていますが、ピーター・バーデンス在籍時がやはり素晴らしいかな。

    2013年のThe Snow Goose再録音盤も悪くはないけど、新しいマテリアルのアルバムが聴きたいです。

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  3. 一応数枚分のマテリアルは書いてあるのだそうです。ピート・ジョーンズが加入したことで、そちらの録音にかかってくれると良いのですが。

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