レビュー:BABYMETALがたっぷりのカワイサとメタルを融合
ベン・ラットリフ(2016年5月5日)
キャプション:BABYMETALのシンガーたち、左から水野由結、中元すず香、菊地最愛がタイムズ・スクエアのプレイステーション・シアターで演奏
ポニーテイルか弁髪にして、ぷっくらした肩パッド入りの人工レザーのトップスと虹色にきらめくチュールのスカートをまとったBABYMETALのシンガーたちは、観客から良く見えるように、6インチ(15センチ)の踏み台に乗って立っていた。水曜の夜のプレイステーション・シアターで、その背後にいたのは、一群のミュージシャンたち、すなわち2人のギタリスト、ベーシスト、それにドラマーで、いぜれもローブに身を包み、顔を白塗りして、にっこりと微笑んでいた。シンガーたち(中元すず香、水野由結、菊地最愛)は、すこしつかえながら英語で話した。順番に言うと、「皆さんは私を幸せにしてくれます!」、「皆さんのおかげで幸せです!」、そして「今日のことは絶対忘れません!」だ。
BABYMETALは日本のアイドル・グループ、つまりタレント事務所—ここではアミューズ—が創り上げたボーカル・グループで、日本のかわいらしさの概念である「カワイイ」を売り物にしている。2014年以来、このバンドは国際的に驚くほどの早さで快走を続けてきた。セカンド・アルバム、「Metal Resistance」は、ビルボードのアルバム・チャートに39位でチャートインした。これは53年ぶりにチャートのトップ40入りした初めての日本のバンドである。(このアルバムは英国ではさらに高い15位まで上がっている。)
どのアイドル・グループも、視覚的で象徴的なテーマが必要だが、BABYMETALの場合は、元気が出るようなひねりを効かせたメタルである。バンドのメンバーは、手を掲げて、デビル・ホーンを示すことはない。親指を中指と薬指につないで、人差し指と小指をつきだし、フォックス・サインを作るのだ。これはバンドとマネージャーのコバメタルが、霊感を与えるフォックス・ゴッドの神話を中心とした創世の物語を考案したからである。客観的な言葉ではカワイイ・メタルは良いアイデアだ。相反性である。光と闇、柔らかいものと激しいもの。「これは新しく生まれたジャンルです」とスゥメタルは数週間前にBBCのレポーターに語った。たぶん、彼女は正しい。
ここでは天真爛漫という全般的なファンタジーがある。これはカワイイ文化全体にあるものだからだ。でも、具体的な種類の天真爛漫もある。芸術的な天真爛漫だ。バンドのウィキペディアのページは、グループに加わる前はシンガーたちの誰も、メタルは何なのかを知らなかったとしている。本当かどうかは別にして、この事実は重要に思える。アルバム上の音楽には、一貫した異文化間的な分裂が存在している。スタジオをダブルブッキングした二つのグループがなぜか同期して演奏しているような作品に思える。ライブで観ても、この分裂は続いている。(映画に出てくる幽霊の)キャスパーのようなメタル・バンドが背後でヘッドバンギングしていることに気付いていないようにさえ思えるのだ。
それ以外のサウンドも時々導入され、怪しさは変わらないが、少しは親しみのあるものになる。水曜の分裂したハイライトは、甘いバラードの歌が、高速のパワー・メタル・リフと、ブロードウェイはともかく、アニメ・シリーズのテーマ曲の方が合いそうな派手なメロディーに変わっていく"Amore"だった。
たぶん、日本語が分かるものにとっての大部分がアップビートな歌詞(忍耐、イジメ反対、キャンディーに夢中)以外で、うまくやっていけるものはメタルではないのだろう。エネルギーとメロディー、そして腕利きのソングライターによる作品だ。新曲、"あわだまフィーバー"は、チューインガムについてで、エレクトロニックなドラムンベースのリズムを分厚いサウンドに導入し、コーラスでは飛翔するコード進行がある。同様の進行は"ギミチョコ!!"でも起こり、同じ結果が得られる。早速の快楽だ。エンジニアリングは魅力的だ。
BABYMETALはフィラデルフィアのエレクトリック・ファクトリーで土曜日に演奏する。
▼元記事
Review: Babymetal Melds Metal With a Large Dose of Cuteness
ライブレビューかと思いきやステレオタイプのうんざりしたフレーズの羅列、読者はいつまでも初心者ではないぞ。
返信削除New York Times が悪戦苦闘してるサマが面白い
返信削除ただでさえBABYMETALのライブ後は呆然となるのに
活字で説明するのはむずかしいですよね 良心的な文章でうれしい
いろいろ頑張ってるけどまだまだ理解できてないようですな、
返信削除なにを書いていいか困ってるのがうかがえてある意味面白い記事ですね。
(この記事書いてる記者が一ヵ月後キツネサイン掲げて西海岸のLIVE会場に居たりして)