2016年6月13日月曜日

[Life in the Anglobubble] BABYMETALは誰? 何? 何で世界を征服しているのか? (長文)

BABYMETALは誰? 何? 何で世界を征服しているのか? (長文)

(2016年6月11日)




生とは同時性の問題だ。昨日、私はたまたまオンラインでBABYMETALに出くわした。特別明らかな理由があったわけではない。すぐに興味をそそられて、英語圏のより幅広いオーディエンスのために、このBABYMETAL現象(のようなもの)について書かなければならないとすぐに考えた。今朝、私は人々にBABYMETALのクリップを見せ、BABYMETALのことを話している。一瞬経ってから、私がThe Age's Good Weekend誌を開くと、なんということだろう、2ページの見開きがすべてBABYMETALについてだった。いままさに起こっている世界のメタル音楽で最大の新しいものだ。なぜ一般大衆はこのすべてを見逃していたのだ? そしてアングロバブルにいる私たちにとって、BABYMETALは何を意味するんだろう。そして日本語教師にとっては?

だが、まずやるべきことから。BABYMETALとは誰なのか? BABYMETALは、ヘビー・メタルの音楽に合わせてキャッチーな歌詞を歌う、カワイイ声を持った、無垢なドレスをまとい、振り付けに合わせる3人の十代の女の子たちだ。常に革新的な日本人だけが、ヘビー・メタル音楽をくつがえして、良くデザインされ、管理された産業プロジェクトに変えるという独創的なことを思いつく。(そうだ、これはまったくの作り物で、サイモン・カウェルは悲嘆に暮れるだろう。)結果として、日本はメタル音楽を永遠に変えてしまった。十代の女性も含む誰にとっても。人々はしばしば、アングロバブルが行くところに、残りの世界が着いてくるという考えを持つ。でも、私が前に指摘したように、私たちは実際にはまったくその逆であると言うことにはほとんど気付いてない。つまり残りの世界がリードし、アングロバブルにいる私たちが着いていくのだ。そもそもそのことに気付く機会が与えられればだが。

これ以上語る前に、なぜBABYMETALについてこんなに騒ぎになっているのだろうか? 海外でこれまでに最も注目を集めた曲に目を向けてみる甲斐はある。それが"ギミチョコ!!"だ。激しいドラムス、ドライブするビート、そしてヘビー・メタルのコードに乗っているのは、スゥメタル、ユイメタル、そしてモアメタルによる、本当に甘いボーカルとほとんどが日本語の歌詞だ。(そう、彼女たちはメタル・ネームを持っている!) 三人は、すべてのクリップに登場する、目立つ黒と赤の美学と、とてもうまく仕上げられたダンスの動きを持っている。アングロ・メタルはこれまでこのようなものを観たことがなかった。

("ギミチョコ!!"へのリンク)

君は以前はメタル・ファンじゃなかったかも知れないが、BABYMETALといわゆるカワイイ・メタル現象—産業的な作り物のメタルとポップのブレンドダッシュは、本当に魅力的で、おまけに質が高い。"ギミチョコ!!"だけで5,000万ビューを超え、増え続けるばかりのオンライン・ビューで、BABYMETALは確かに世界の注目を手にした。そして、"ギミチョコ!!"には意外なひねりがある。歌詞を英訳すると明らかになるように、この曲は若い女の子がチョコを食べたいが、同時に体重が気になっている若い女の子についての曲で、すべてがヘビー・メタルのスラッシュに合わされている。

2014年にリリースされたファースト・アルバム、"BABYMETAL"が、(いろいろな場所でiTunesのメタル・チャートの首位に輝いたことを含め)真の国際的な関心をある程度集めたが、2016年3月にリリースされたセカンド・アルバム、「Metal Resistance」が本当に壁を壊した。英国とオーストラリアのチャートではトップ10入りし、USハード・ロックおよびワールド・ミュージック・チャートのトップに立った。最新シングル、"Karate"のクリップは、同じようにキャッチーな歌詞とヘビー・メタル・サウンドを持っているが、今回は十代が好むサムライと武術の動きが組み合わされている。でも、BABYMETALが2014年以来、欧州と北米のオーディエンスを納得させるために、コンサートを行い、レディー・ガガのツアーの前座を務め、テレビに出演して、国際的な関心を生み、努力を重ねてきたことを指摘することも同様に重要だ。

(TeamRockのビデオへのリンク)

そしてこのような苦労はいま報われた。アルバム・セールスを別にして、バンドがアングロバブルで大きな成功を収めるのは、才能がある英語の話せるシンガーが、カバー・バージョンを始めた時だ。現在のお気に入りは、英国のエイミー・Bによる"Karate"のアコースティック・バージョンだ。(ただし、この曲や他のBABYMETALの曲の数多くの他のバージョンが存在している。知ってるか? 私は知らない……)

(BABYMETALインタビューへのリンク)

もちろん言語のスキルも、BABYMETALのグローバルな成功にとって重要だ。自分のマーケットに対して直接コミュニケーションが取れることは、どの言語でも強力なツールになる。たとえ(英語の断片を投げ込んだ)日本語で歌っているとしても。バンドは英語圏市場でどうやれば良いのかを知っている。メンバーはバイリンガルだ。ここでは、BABYMETALが英語でインタビューに答えている。

(BABYMETALビデオへのリンク)

そしてしたのクリップでは、日本語で、アメリカの食べものやファッションについて自分たちの考えを示している。あっと驚くようなものではないが、ファンはとても気に入っている。

さて、BABYMETALとは実際何なんだろう? カワイイ・メタルの場合、日本はアングロバブルからヘビー・メタルを取り上げ、元気の良いポップなひねりを加えて生き返らせ、BABYMETALと同類のかたちで私たちに売り返しているわけだ。何という皮肉……。

韓国と同様に、日本は強力な音楽制作ベースを持っていて、私たちの想像も付かないが、本当に注意を払うべき、圧倒的な産業的な規模で稼動している。両国の経済にとっては数十億の価値があり、(音楽制作、ツアー、ビデオ、マーチャンダイズ、映画、それにTVにまたがる)輸出されたポップ文化は、アジア、そしていまではどんどん遠くまで広がる信じられないほど有効なソフト・パワーとして機能している。

日本語と韓国語の両方で歌えるいわゆる「アイドル・バンド」(作り物のグループ)を作るために、オーストラリアは、どのように日本人や韓国人がこれを行っているのかを研究して、どのようにまねればいいのかをうまく学ぶべきだ。そうすれば、私たちは次に彼らに音楽を売り返すことができる。(私たちの政治家たちはいつも新しい輸出産業が必要だとくどくど言っているわけだが、これこそがそれだ。)売れることは確かだ—好奇心的な価値は(BABYMETALのケースで観られるように)ものすごい。BABYMETALはロンドンのウェンブリー・スタジアムでソールドアウトした観客の前で演奏し、マーチャンダイズの販売記録を塗り替えさえした。BABYMETALはまた、アメリカのレイトナイト・ショーで演奏し、あらゆる場所でアルバム・チャートでトップ10入りした。独創的な背景の物語とあわせ、BABYMETALブランドは、疑いもなく、さらに大きな世界的成功へと向かっている。

そしてBABYMETALがやることは何であれ、うまく行っている。(私を確かに味方に引き入れた。)2日前、BABYMETALは英国のケラング! 2016ロック・アワードでベスト・ライブ・バンド賞を獲得した。これは本当のアングロバブルの敬意を表すしるしだ。この上ない。勤勉とインスピレーションを与えられた製品は、言葉を問わず売れるんだ。知らなかったと言うなよ……。

14歳(そうだ14歳だぞ!)の時に、このトリオが2014年に英国最大のヘビー・メタル・フェスティバルで演奏する姿を見てから、英国のヘビー・メタルの熱烈なファンが何を言うことになったのかも聴いてみて欲しい。

(チーム・ロックのインタビューへのリンク)

さて最後に、私たちの学校の日本語教師にとって何の役に立つだろうか? 日本のポップ文化は、あらゆるかたちにおいて、日本語や日本文化を学生ばかりでなく、より幅広い学校コミュニティー、そしてさらに良いことに一般大衆に対してプロモートするための信じられない強力なツールになる。私が日本語の教師だったら、注意深く計画した上で、全員がBABYMETAL、カワイイ・メタルのストーリー、そして日本の素晴らしい音楽産業の残りの部分について全員が分かるようにするだろう。関心と欲求を創り出すことは、強力で生気に溢れた言語学習コミュニティーをあらゆる場所で維持する上で欠かせない。教室の外で起こることは、その中で起こることと同じくらい重要だ。BABYMETALとその音楽について、この文脈で行えることの可能性はものすごい。以前私がブログに書いた、成功したアイルランドのコライスト・ルーガンのポップ音楽の再利用が何らかの手引きになるならだが。

そしてもちろん、BABYMETALは日本における最新のカワイイ・メタルではない。この称号は現在はオーストラリアのユニークなマルチリンガルであるレディーベアード(5歳児のような服を着たヒゲのレスラーで歌ったり、踊ったりする)に移っている。でもそれは、言語、スタイル、成功、そして海外のオーストラリア人に関してまもなくポストされる別のブログの話だ。

▼元記事
Who and what is Babymetal and why is it taking over the world?


9 件のコメント:

  1. この手の文章を書く人って、どうして人間的な魅力について言及できないんだろ。

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    1. この文章を読んで分かるように、彼は実際にライブを見ていないはず
      人柄なんていうのは、ファンになって深く追っかけ始めて初めて言えることだし音楽としての質の高さとマネジメントの優秀さを言うことに、メンバーの人柄という要素は必要ないからね
      強いて言えば、プロジェクトへの取り組み方という部分で、「勤勉に」と形容したあたりで、手抜きをしない、まじめに取り組んでいるみたいな背景が若干見て取れるかなと言うところ
      ただ、それもプロジェクトの側面としてだから、歌い手個人の性格だの人柄だのは入れなくても話題が成立する
      って言うか、逆に、人柄云々言い始めたら、そこしか話題にすることがない(他に言及すべき話題や美点がない)っていうことも同然なので、メンバーの内面は最後の最後だね

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  2. それはね、出来事について書いているから
    やってる人とやってる事を分けて考えるのはとても重要
    評論文はある程度の客観性と分析を求められるので知的な人が書けばだいたいこうなる
    もちろん人について書くこともできるがこの文の趣旨には不要ってこと

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  3. 武藤彩未ちゃんってニュージーランドに居るのかな?だとしたらこれも読んでるかもね

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  4. wiki見れば分かる程度のことを知的と言われても

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    1. 知識を得ることと、知的であることは別の概念。
      同じ食材を用いて料理をしたとして、うまい具合に組み合わせておいしく作った人には「知的」が似合う。
      そうじゃない組み合わせしてまずいんだったら「知的」とは言わない。
      組み合わせ方がまずくても意外なおいしさを出してしまったら「独創的」が似合う。

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    2. 下手糞な例えだな

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  5. 途中で見るのやめた。 ベビメタは輸出産業と関係ないし、音楽が、輸出産業でしかなくなってるような国と一緒にしないで欲しい。

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  6. >昨日、私はたまたまオ ンラインでBABYMETALに出くわした

    そして、YouTubeを漁って30分で記事を一本書いてみた。

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