2016年6月14日火曜日

[Sydney Morning Herald / Good Weekend] BABYMETALについて(Sunday Timesの編集記事)

BABYMETAL:日本のヘビー・メタル・ガール・バンド・センセーション

ロブ・ナッシュ(2016年6月11日)




訳注:この記事は「Sunday Times」の記事を特にオーストラリア向けにSydney Morning Herald紙が再編集したものです。

明らかに相容れない作り物のJポップとハード・ロックの世界が、BABYMETALというかたちで衝突する

誰かが、メタル音楽で一番ビッグなことは何かとたずねたら、どの答えを選ぶ? 1)地獄の業火と血についてグロウルしているヒゲだらけのオーストラリア人、2) 地獄の業火と血についてグロウルしているヒゲだらけのアメリカ人、3) 派手なスカートをはいて、スラッシュ・メタルの上でダンス・ルーティンをくるくると踊り、甘いポップなメロディーを歌う日本人の十代の女の子の三人組。もちろん答えは3番目だ。世界中のヘドバンギャーたちが、日本からしか出てくるはずがないスタイルの融合にすっかり夢中になっている。

BABYMETALは、カワイイ・メタルのパイオニアだ。BABYMETALはハロー・カンニバル・キティー、その音楽は日本版の「ハンガー・ゲーム」の先駆けである「バトル・ロワイヤル」の、失われたサウンドトラックと考えることができる。典型的な曲である"あわだまフィーバー"は、分厚く激しいギターと踊るのが難しいブレイクビートが交互に登場し、女の子たちは「あわだまフィーバー」とチューインガムについてキーキーと歌う。

この摩訶不思議な組み合わせは、世界中のヘビー・ロックのファンの共感を呼んだ。4月に、バンドはセカンド・アルバム、「Metal Resistance」をリリースしたが、これはレビューで絶賛を浴び、オーストラリアのチャートでトップ10入りし、日本のバンドではじめて、ウェンブリー・アリーナでソールドアウトのギグを行った。マーチャンダイズの売り上げ記録を更新し、日本では、ギグのライブ・ビューイングを見るために12,000人のファンが映画館に集まった。

作り物のポップ・グループである、いわゆるアイドル・バンドは、日本ではものすごい人気がある。ロックの世界が必要としているのは、メタルのミッキー・マウス・クラブだと見出したのは、自らを「コバメタル」と呼ぶ、日本のタレント事務所、アミューズのプロデューサーの天才の産物だ。ウェスト・ロンドンのKウェスト・ホテルでコバメタルとBABYMETALに会ったときに、彼が指摘したように、METALLICAやIRON MAIDENがステージで同期したダンスを踊るとは想像もできない。

だから明らかに、メタル・アイドル・バンドを創らなければならなかった。(ヘビー・メタルの男性中心のオーディエンスを考えれば、当惑するだろうが)ほとんど思春期前に見える3人の十代の女の子たちは、10歳前後のアイドル・グループであるさくら学院の卒業生で、4人編成のバッキング・バンドはメタルのベテランだ。だが、バンドによれば、女の子たちを選んだのはコバメタルではなく、フォックス・ゴッドと呼ばれる作り物の導師である。

BABYMETALの物語では、由結、すず香、そして最愛(すなわち、ユイメタル、スゥメタル、モアメタル)の3人の女の子たちは、フォックス・ゴッドによって、ザ・ワン、すなわち世界のメタル・ファンにそのメッセージを伝えることを命じられた。女の子たちに関する個人的な情報は表面的で、その実生活に関する質問には、「Only the Fox God knows」という答えが返ってくる。私たちのインタビューは、通訳を通して行われ、付き添いのような立場の三人の女性がずっと見張っていた。18歳のバンドの「お姉さん」であるスゥメタルが通訳を通さなかったのは、私がお気に入りのバンドをたずねたところ、恥ずかしそうに「METALLICAさんです」と答えたときだけだ。

彼女たちは女の子らしく控えめだが、ロック仲間における立場はすごい。インスタグラムの写真には、JUDAS PRIEST、MEGADETH、そして昨年の英国ダウンロード・フェスティバルのセットにBABYMETALが飛び入りしたDRAGONFORCEといったトップクラスのメタラーと一緒の姿が映し出されている。女の子たちは自らが熱心なヘッドバンガーだと認めているが、自分たちがツアーの前座を務めたレディー・ガガのファンでもある。ただし、ツイッターで写真を撮ったアリアナ・グランデが好きかどうかとたずねられた時、スゥはショックを受けたように見えた。「それはユイメタルです」とスゥメタルは文句を言った。ただし、バンドが結成された時にメタルを知らなかったことはあっけらかんと認めている。「最初に聞いた時には「何じゃこりゃ」と言いました」とスゥは認める。「重くて、速くて、ドラムスはうるさすぎました。だからすぐに好きになったわけではありません。でも今はなぜ皆さんがメタルが大好きなのか分かります」

女の子たちは楽器を演奏しないが、メタルに対する新しい情熱は本物に思え、「まだ」歌詞に貢献していないとスゥが言った時に、その声に寂しそうな感じがあった。「いつか、個人的な感情を歌詞にしたいです」

複雑に振り付けされた、変わったルーティンのために何時間も練習する。最近のシングル、"Karate"のビデオでは、ホラー映画の死霊と戦っている姿が見られる。「私たちは、腰を下ろして、ずっと空手の映画を見ました」とスゥは語る。「それから動きを真似したんです

コンサートの衣装はいつも赤と黒だ。「赤の飾ったスカートをはくのは、赤がカワイイ色だからで、それから黒はダークでヘビーなんです」とスゥは説明する。そしてファッション・デザイナーからの提案を受け入れるという。コバは、レディ・ガガが日本のデザイナーが創ったコスチュームを着ていることを指摘する。「だから私たちが西洋のデザイナーを使ったら素晴らしいなと思うんです」とスゥは熱心に言った。「こちらの有名なデザイナーの方、ご連絡をお待ちしています」

コバはBABYMETALを創ったことについては率直な立場だが、わずか1年半の間に地元のタレント・ショーからロック・アリーナへ出世した女の子たちに恐れた様子はない。ザイン・マリクが、ONE DIRECTIONではヒゲを生やすことが認められなかったという告白は、ポップを影で操るスベンガーリがどれだけの支配を行っているのかを良く示している。でも挑発で、ジャンパーとジーンズを身にまとったコバは、カワイイ・メタルに気付いていなければ、自分はソフトウェアの開発者になっていたかも知れないと語り 、スゥが話している間、MacBookを関心なさそうに叩いていた。ギグで海外のファンが自分とシンガロングしている姿について興奮しながら語っているスゥメタルの様子には、与えられた台詞という感じはない。「日本語を勉強してくれたに違いないと思ったんです。本当にすごいと思います」

だから、自分でBABYMETALを経験してみて欲しい。YouTubeの"ギミチョコ!!"のビデオから始めるといいだろう。5,200万人のビューワーと付き合えるよ。

▼元記事
Babymetal: Japan's heavy metal girl-band sensation


3 件のコメント:

  1. 与えられた台詞か....。まだ言われるんだ、こんなこと。ま、ダウンロード観てて思ったけど、最後の挨拶で「大雨」や「ピカチュウ」について少し言及するだけでも、やらされてる感、決められたショウ―をただ遂行してるだけって感じが無くなるんだけどね。今後のSUちゃんの英語力の上達次第かな。

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    1. 何で客観的に記事を読めないの?

      ベビメタが作り物であるのは間違いなくて、その上で魅力的な作り物だって考えれば良くない?

      ライブでアドリブ増やしたところで自主的な存在になれる訳ないじゃん?アドリブだけで本物だって思われればいいと思ってるの?





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  2. suは、いつまでも操り人形のままでいいってか?俺はそうは思わんね。kobaに逆らうくらい、自主性を持って貰って構わん。作り物が本物になっていく姿を見たくて、俺はファンをやってるんだよ。

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