2016年7月19日火曜日

[LA Weekly] BABYMETAL、ロサンゼルス・ライブ・レビュー

ウィルターンで、日本のポップ・メタル現象、BABYMETALがものすごく盛り上げる

ジェイソン・ローチェ(2016年7月18日)




BABYMETAL ウィルターン劇場、2016年7月15日

BABYMETALが、母国である日本の外側で人気を得始めてから3年になる。可愛らしい日本人の十代の少女たちをフィーチャーしたこのグループは、狂ったようなスピード・メタルとキャッチーなJポップのブレンドによって、世界中に熱心なファン・ベースを獲得してきた。ヘビー・メタルのブログ世界では、BABYMETALを誹謗する者たちが、フォロワーと同じように過激である。

今週金曜の夜の、ウィルターン劇場におけるBABYMETALのソールド・アウト・ショー(米国デビュー以来ロサンジェルスに戻ってきたのは二年ぶり)は、なぜこのバンドが現在の支持者を得たのか、そしてなぜ予測できる将来において、強力な存在となる可能性が高いのかを示した。

開場は午後7時の予定で、バンドは午後9時にステージに立つことになっていた。前座はなしだ。一般には、ロスでコンサートに行く場合、多くは時間を取って、バンドがセットを始める直前に会場入りする。でもこの日は、BABYMETALのファンは、ウィルシャー大通りに昼頃から並び始め、午後7時は、2000人以上の観客が既にウィルターンへやってきて、この歴史的な会場の周囲を何ブロックも蛇行して列を作っていた。

観客は主に男性だったが、それでも年齢とサブカルチャーという意味で、通常のヘビー・メタル・ショーよりも多様だった。それでもIRON MAIDENやJUDAS PRIESTのTシャツを着た、BABYMETALを仲間として受け入れたヘビー・メタル・ファンと、スターウォーズやモーティのシャツで同じように判別がつくナード文化のフォロワーとの間には明らかな違いがあった。

マーチャンダイズの列は長かったが、ビールの列はソールドアウトになったウィルターン劇場のショーではまず最も短いものとなった。この夜の全体的なバイブは呑みながらバンドを見るために金曜の夜に出かけると言うよりも、コミュニティー・センターの貸し切りパーティという感じだった。

[キャプション] むき出しのBABYMETALのショーでさえも、これまでに見たロック・コンサートのほとんどをしのぐ

日本のホラー映画に出てくる敵役に似た亡霊のような服を着たBABYMETALのバッキング・ミュージシャン、神バンドが午後9時にステージに立つと、観客は私がこれまで聞いた中でも最も大きな歓声の一つを上げたが、シンガーたち、スゥメタル、ユイメタル、モアメタルが登場するとひときわ大きくなった。BABYMETALがそのアンセム、"Babymetal Death"からスタートし、そのまま"ギミチョコ!!"へ進むと、観客の歓声と拍手はあまりに熱狂的で、音楽が聞こえなくなるほどだった。

ロンドンのウェンブリー・アリーナのようなより大きな会場におけるBABYMETALの演奏のビデオ・クリップを見ると、飾り立てた劇場的な体験が描き出される。ウィルターン劇場では、ショーは相対的にむき出しであり、BABYMETALの旗がステージを見下ろし、神バンドは背後に隠れ、シンガーがたちが最前列に出ている。アリーナ・ショーに伴う様々な装飾がないため、中心になるのは三人の女の子たちであり、このことは80分のセット全体を通じて、観客に我を忘れさせ続けたエネルギーとプロとしての仕事ぶりを証言するものとなった。

大部分の曲でリード・ボーカルを取る、三人の中で最年長のスゥメタルは、本物の声の持ち主であることを証明し、"Amore-蒼星"のような曲でその歌声は素晴らしい輝きを見せた。ユイメタルとモアメタルは、弾け劣ることがなかったが、最終的に三人のステージの存在は、その歌声以上に尽きないエネルギーにある。衣装替えのためのごく短い休息を除き、三人の女の子たちは常にステージを旋風のように動き回った。Jポップのシステムで結成されたバンドの特徴である、この三人の細かな振り付けは、ただのメタル・コンサートから一線を画すBABYMETALの公演のさまざまな特徴の一つだ。

神バンドとして知られるバッキング・バンドも、この晩を通じて何度か輝く短い瞬間があり、シンガーたちが衣装替えをしている間、ステージのフロントに出て、即興を披露した。神バンドのステージにおける存在は、しばしば女の子たち同様に激しく、それは猛烈なスピード・メタルを演奏している際でさえそうだった。

BABYMETALをライブで観れば、なぜこのグループが現象になったのかが本当に分かる。YouTubeビデオは本当に素晴らしいが、BABYMETALのコンサートのエネルギーをフルに捉えているわけではない。金曜の晩の観客は、すべての曲を通じてバンドに惹きつけられ、そのエネルギーが揺らぐことは一度もなかった。最も伝説的なバンドによるものも含め、大部分のコンサートは、観客が静かになり、トイレに行ったりビールを飲んだり、あるいは気楽に構えたりする曲が1、2曲ある。これは金曜の夜には起こらなかった。

[キャプション] ファンは80分間のセットで一度たりとも休むことはなかった

この変わらない熱心さの大きな部分が、三人組のステージにおける存在だとして、BABYMETALの歌詞の巧妙さがライブのセッティングで本当に輝きを見せるものだ。バンドの歌詞はすべて日本語だが、どの曲でも少なくとも母語が何語であれ、ファンがバンドと一緒にシンガロングできる瞬間が一カ所はある。この晩を通じて何度も、会場の誰もが、拳を高く掲げて「ヘイ! ヘイ!」とチャントしたり、曲に合わせて「ウォーオーオーオー」と叫んでいた。IRON MAIDENが非英語圏の国で演奏したとして、観客全員が"The Trooper"に合わせてシンガロングすることはまずないだろう。

バンドは午後10時半をちょっと過ぎたところでステージを離れた。セットは比較的短い80分だが、観客はショーを通じて興奮しまくり、幸せ一杯に疲れ果てていた。その晩の最後にバンドのメンバーがそうしたように、観客は顔いっぱいの笑みを浮かべて会場を歩み去った。

▼元記事
 At the Wiltern, Japanese Pop-Metal Phenoms Babymetal Lived Up to the Hype


9 件のコメント:

  1. 海外のライブレビューは、本当に観に行きたくさせる。見るだけじゃなくて、感じに行きたくなるようなものが多い。
    くそっ、行てーなー

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  2. >最終的に三人のステージの存在は、その歌声以上に尽きないエネルギーにある。
    同感、常に全力でステージに上がっていることが魅力だと思う。

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  3. 素晴らしいレビュー

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  4. 徐々に欧米のメディアでもBABYMETALの魅力の本質を正しく理解して伝えてくれる所が増えたように感じるな。 管理人さん、いつも本当にありがとう。

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    1. ホントにおっしゃる通り
      メディアのベビメタへの理解が深まってきた
      局面が変わってきた感じ

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  5. ちゃんと見て書いてくれてるのが伝わってきます。

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  6. そう、1度でもライブを通しでチャント体験しちゃった人は屈するしかないもんね。オレもだけど

    いつも翻訳楽しみにしてます❗️
    ありがとうございます‼️

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  7. Review/Photos: Inside Babymetal’s return to Los Angeles
    http://www.metalinsider.net/reviews/inside-babymetals-concert-return-to-los-angeles

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  8. BABYMETAL prove kawaii teens can be metal queens too (The Wiltern 2016 Live Report)
    http://jrock247.com/2016/07/babymetal-prove-kawaii-teens-can-be-metal-queens-too-the-wiltern-2016-live-report/

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