2016年7月14日木曜日

[Paper Mag] メタルをカワイクするBABYMETAL

メタルがとても必要としていたカワイイ・イメチェンを与える日本人の女の子のグループをご紹介

アレックス・ワイス(2016年7月13日)




十代の日本人のトリオ、BABYMETALが、スーパーカワイイ・ダンスの動き一つごとに、ヘビー・メタルを支配しつつある。ハード・ロックと甘くてカワイイポップなフック、それにかっこいい振り付けを融合した、そのシグネチャー・ブランドであるカワイイ・メタルによって、この女の子たちは、女性、それに有色人種が入り込むのが難しいとして悪名が高かった業界に浸透してきた。おそろいのおさげとペチコートを身につけたBABYMETALは、ヘビー・メタルをメインストリームへと届ける、あるいは彼女たちの言葉を借りれば、「メタルの魅力をみんなに伝える」ということになり、同時に女の子はロックできないという批評家たちを黙らせる。今月後半、BABYMETALはソールドアウトとなった西海岸ツアーを終えたあとで、JUDAS PRIESTのロブ・ハルフォードと共演する。しかし18歳のスゥメタルと16歳のユイメタルとモアメタル、それに神バンドと呼ばれるバッキング・ミュージシャンによるBABYMETALは、引用だらけのフェニミズムにも、シーンに対して女性のための扉を開くことにも関心はない。もっと興味があるのは、ジャンルを再発明することだ。

「BABYMETALはいつも前に他のメタル・バンドがやったことがない新しいことをやろうとしています」と電子メールでBABYMETALはこう答えている。「私たちは唯一無二の存在になりたいので、だからメタル・サウンドとダンスを私たちなりのやり方で組み合わせています」

日本の音楽エグゼクティブの発明の産物であるBABYMETALは、自分たちがグループに加わる前はメタルのことをまったく知らなかったことを隠していない。だが、   METALLICAやジャンルの他の大物を見たあとで、女の子たちはこのサウンドが気に入り、自分たちの(よりカワイイ)好みに合わせることにした。例えば、"Karate"のようなものすごく甘いトラックや"Road of Resistance"は、一緒にシンガロングできるメタル・アンセムだし、このジャンルのヒットの多くに通常存在するものすごく男っぽくて、攻撃的な歌詞にはしばしば欠けている視点を提供してくれる。例えば、WHITE ZOMBIEのテストステロン満杯の1995年のクラシック、"More Human Than Human"とは大違いだが、それでもロブ・ゾンビは彼女たちの最歳のサポーターの一人であり、自分の辛辣なファンから彼女たちを擁護した。女の子たちと一緒の写真をポストしたことに対する反発を受けたあとで、ゾンビはツイッターとフェイスブックのコメント・セクションで「(BABYMETALは)お前たちよりハードにロックする」、そして「俺たちが演奏しているバンドの90パーセントよりもエネルギッシュだ」と述べている。

("Karate"へのリンク)

BABYMETALはチョコレートや空手やおさげについて歌っているが、少女であることの中にあるパワーも表現している。メタル音楽の伝統的なアーキタイプに反抗しており、それはジャンルを覆している唯一のかたちではない。BABYMETALは、メタルを新世代の女の子たちに解放したのだ。

自分たちの音楽を表現するとき、BABYMETALは「フェミニスト」という言葉は使わないが、伝統的に白人の男性限定の音楽ニッチで日本人の十代の少女たちとして達成した成功の規模は、文化的なアイコンとしての彼女たちを良く物語っている。同様に重要なのは、しばしば外人嫌いで、白人の権力集団に結びついていると批判されるジャンルで、著名な、人気のある東アジアの顔ともなった。急速な成功ばかりでなく、その存在自体が、メタルという型の圧倒的な白さに対する強烈な対比を与えている。

それでもBABYMETALのいろいろな面が完全なミステリーのままになっている。その曲や歌詞は「フォックス・ゴッド」と呼ぶ超自然的な神を通じて女の子たちに届けられたとされている。(たぶん、メタルのサブジャンルのいくつかが北欧の神秘的な言葉を深く愛していることに対する敬意だろう。)いずれにせよ、BABYMETALAが特別であり、彼女たちがやっていることが、たとえ前例がないとまではいかないにしても、完全に違っていることは否定のしようがない。女の子たちによれば、自分たちの音楽に対する一番の望みは、「世界を一つにすること」であり、レディー・ガガとJUDAS PRIESTのファンに共通の関心を与えたことを考えれば、全然悪くない。BABYMETALは誰が今日「メタル」であれるかの定義を広げている。女性をフロントとするメタル・バンド革命の最初のしるしかどうかは、フォックス・ゴッドのみが知る。

▼元記事
Meet the Japanese Girl Group Giving Metal a Much-Needed Kawaii Makeover


5 件のコメント:

  1. 構成も分析も総括も表現も主張の仕方も良い記事だと思いました。
    変な記事も多い中、なかなかの筆力のライターかと。
    あ、翻訳が良いのかもしれませんね。

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  2. いい記事だなぁ
    「少女であることの中にあるパワーも表現してる」
    ああ、正にそうだ。ベビメタに惹かれるのは可愛いだけではないんだ。

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  3. ベビメタに惹かれたのはギターリフやドラムとベースにノックアウトされかけてるとこにあの必殺の可愛さパンチで 完全にノックアウトされたんだよな。
    本当にいい記事だ。
    普段はいくら好きなアーティストでも自分が好きでない曲なら見向きもしないんだけど、ベビメタだけは全部聞いてる初めてのアーティストだよ。

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  4. 北欧でメタルは広く受け入れられてるって話だけは聞いた事あるけど、日本でも人気がある(あった)バンドっていたかな

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    1. みんな大好きイングヴェイさんはスウェーデン出身DEATH
      その他北欧メタルといえばヨーロッパ、TNT、プリティメイズ、ロイヤルハント、ストラトバリウス、ソナタアークティカ、ナイトウィッシュなどなど、メロデスやブラックメタル系は多くが北欧出身です。
      日本人好みの哀愁のメロディが特徴と言われます。アメリカではあまり売れないようです。

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