2016年8月11日木曜日

[Canino Magazine] メタル・ハマーで21世紀のベスト・アルバムに「BABYMETAL」

メタル・ハマーで21世紀のベスト・アルバムに「BABYMETAL」

アルバロ・アルボネス(2016年8月1日)

[BABYMETAL Newswireさんからの重訳です]




メタル・ハマー誌の読者によれば、21世紀最高のアルバムは、BABYMETALのバンド名を冠したデビュー・アルバムだという。これは、メタル・コミュニティーの最も保守的な部門において、深い憎しみを引き起こした。なぜだろうか? なぜなら時が過ぎるからだ。人々は変化を受け入れないからだ。ヘビー・メタルのファンダムは既に悪臭を漂わせているからだ。

 21世紀は、泣き言をたれるやつらの世紀だと判明した。ノスタルジックな響きのするこれやあれやの製品が、いずれにせよこうした製品の対象であるオーディエンスですらない連中の子供時代をぶちこわすという理由で、無慈悲に攻撃されるような辛辣な議論なしに、私たちが目覚めない日はない。にもかかわらず、すべてには奇妙なイデオロギー的な響きがある。こうした破壊行為は、何か間違ったことをしたことではなく、「何か」を変えたことにかかわっている。常によりインクルーシブで、より進歩的で、時代精神により合った何かだ。人生を狂わせることは、異性愛の白人男性を主人公にするよりも、女性、他地域の西洋人、あるいは擬似黙示録的なジェスチャーにおいては、異なった肌の色や性別を持つ人々を物語の主役に置くような状況ではないかと思われる。保守派と文化的に差別的な嗜好を持つ者の完璧な融合物である平均的な「子供な大人」にとっては受け入れられない何かだ。

最新の議論の一つは、以前のものすべてに比べてもばからしさでは引けを取らない。そしてそれは、メタル・ハマー誌の読者によれば、今世紀最高のメタル・アルバムは、BABYMETALのバンド名を冠したアルバムだということだ。メタルヘッドのコミュニティーで深い憎悪を生み出すことになった一つの意見だ。

知らない人のために言うと、BABYMETALは(その技術性において西洋で評価されるようなジャンルにふさわしい、メロディックな複雑さまで進められた古典的なポップスの構造として要約可能な)Jポップの最良の部分と、古典的なメタルの約束事を融合することで知られている十代の少女のトリオ(とひっそりとしたサポート・グループ)である。だが、こいつらはメタルの真の精神を代表してはいないと叫ぶことで、怒ったように彼らを批判することに関しては、問題ではないように思われる。

 このことを見るためには、この雑誌のフェイスブック・ページのコメントを見るだけで良い。多くの繰り返される組立は、「私はBABYMETALに対して反感は持っていないが、(ここにBABYMETALに対して申し立てられた個人的な侮辱を入れる)、あらゆるレビューが同じことを言っている。BABYMETALはメタルじゃない。BABYMETALはメタルが意味するものを代表することは出来ない。言い換えれば、英語で歌っている頑強な白人の男性であるという礼儀さえ持たないような日本人のティーンエイジャーのグループが、RAMMSTEINあるいはJUDAS PRIEST(現在ではファンダムにとってアンタッチャブルであるが、活動開始当時はひどく批判された2つのグループ。残念ながら、子供な大人にとって、以前憎んでいたのが後に支配権を握ったことになる)以降、他のグループがなしえなかったように大衆を動員したという事実は、それは不名誉であると考えられるものとなる。それは自分たちの人生を駄目にした何かなのだ。

問題は保守主義だ。平均的なメタル・ファンである男性で白人で、英語使用者(あるいは少なくとも英語愛好者)は、文化全体を自分に完全に対峙するものとすることに慣れている。そして、直截的なかたちでそうする。ポップはゴミだ。パンクは雑音だ。エレクトロニック・ミュージックは本当の音楽じゃない、と。もし私たちがこれが歴史的に男性で、白人で西欧的であるジャンルであると考えるとすれば、なぜBABYMETALがひどく批判されるのかを理解することはそう難しくはない。BABYMETALは平均的なメタルヘッドが理解するすべてに対するアンチテーゼなのだ。21世紀に有力な自由主義の成果なのだ。

なぜBABYMETALがこれほどの憎悪を生むのかを理解するのは簡単だが、どうして過去16年のベスト・アルバムを持つグループとして、「全体として」投票されることができたのかを説明するのはより難しいように思える。だが、これはまったく難しいことではない。このことを理解するには、二つのこと、すなわち数字とこのバンドがどのようなオーディエンスを対象にしているのかを見るだけで良い。

前者をまとめるのは簡単だ。雑誌の編集者にとって、この雑誌の選択に批評家や大衆のある種の合意を得て、この日本のグループの同名のアルバムは92位以上に上がることはないだろうが(SLIPKNOTの「Iowa」は批評家、それにオーディエンスによりそれぞれ第1位と第3位に選ばれている)、大衆はこの日本人の女の子たちにより多くの愛情を感じている。それは華々しい数字を創り上げる何かだ。私たちは、53年振りにビルボード・トップ40入りすることに成功した日本のグループのことを語っているのだ(坂本九は貴重な"スキヤキ"でこれに先行した)。ワールド・アルバムのリストでナンバーワン。ロンドンのコンサートは12,000人を集めることに成功した。日本の東京ドームは、2夜連続で合計11万人を集める。

平均的なメタルヘッドが彼女たちを軽蔑しているとしたら、どうやったらこうした数字を説明できるだろうか。BABYMETALが対象としているオーディエンスは典型的なそれではないからだ。そのカワイイ姿勢、メロディックなスタイル、そして攻撃性の欠如によって、BABYMETALを簡単に昇華できる男性のオーディエンスは少なくなるだろうが、現在の十代のオーディエンスにおけるマンガ=アニメの文化的な支配は、BABYMETALのような提案をオーディエンスにとって受け入れやすいものとしている。このアイデアが気に入らないとしても、BABYMETALはクラシックなメタル・ヘッドバンガーのためのグループでも、メタルがBABYMETALの本分でもない。

このようにしてすべてをまとめることが出来る。世界は変わる。そして世界と共に、メタルも変わる。当時のBLACK SABBATHのファンがIRON MAIDENを受け入れることはできなかったろうし、男性優位の古典性を継続する2つのグループ、RAMMSTEINあるいはSLIPKNOTを受け入れることも、メタルの将来性を拓くグループであるBABYMETALを受け入れることもできないだろう。これは自然なことだ。だが、結局、生き残るためにはそれぞれ大衆の期待に応えなければならないような、共通の伝統にみな属しているのだ。そしてより古典的なルーツを持つグループにとってのニッチ市場が残されているように、異なった階級に属する別のバンドも存在する。

BABYMETALが成し遂げたことは子供の隠れ家に入り込み、「女の子立ち入り禁止」の看板を取り外し、汚いタマのかびくさい臭いを少しばかりなくしただけだ。誰かがこれを不愉快だと考えるならば、これと付き合うすべを学ばなければならないだけだ。結局の所、オーディエンスの多数にとって、明日のメタルヘッドにとって、BABYMETALはこれまでのところ今世紀最高のアルバムを作ったのだから。

▼元記事
Babymetal firma el mejor disco de metal del siglo (y los metaleros lloran)

BABYMETAL Newswireの記事


0 件のコメント:

コメントを投稿