[Fakker] カワイイ・メタルが世界を行く(後半)
[Fakker誌の記事(チェコ語)の英訳からの重訳です]
BABYMETALオン・ステージ!
どこだったか……そうだ! BABYMETALだ! 元々さくら学院の課外活動の一つだったBABYMETALは、最初のさくら学院の公演で、お気楽なお目覚めソング、"ド・キ・ド・キ・モーニング"を演奏した。冗談じゃない。「ドキドキ」は、心臓の音の擬音なので、"ド・キ・ド・キ・モーニング"は、鼓動が速くなるような朝のことだ。その時点ではライブ・バンドはいなかった。2012年になってBABYMETALの一部となったのだ。スゥメタル、ユイメタル、モアメタルに様式化された中元すず香、水野由結、菊地最愛は、プレイバックと当て振りをするガイコツを伴っていた。このすべての責任者であるプロデューサーの名前も想像がつくだろう。コバメタルだ。少し先走りしてしまっているようだが、デビュー・アルバム、「BABYMETAL」の作曲家や作詞家の中には、ナカメタル、クボメタル、エドメタルもいる。ものすごく才能のあるライブ・バンドは神バンドという。このメタル・マニアが心からの熱意の現れなのか、ただのくだらないジョークなのかは、BABYMETALの成功を見守っているフォックス・ゴッドだけが知っている。
メタル・ミュージックのファンは、このことで嫌悪を覚えるかも知れないが、BABYMETALは最初、3人の有望なアイドルとちょっとしたメタルの味付けによる普通のポップ・プロジェクトだったのだ。メンバーは誰もメタルが何か知らなかった。だが、最初のファンたちは気にしなかったし、その理由の一つは、おかしな振り付けで、女の子たちは同時に地面に倒れ、眠っているふりをするのだ。
そして手にしたものは?
2013年までに、BABYMETALは最初のミュージック・ビデオ("ド・キ・ド・キ・モーニング")を撮影し、第一週にオリコン・チャートで6位にランクされ、成功を収めた、いじめに反対するプロテスト・シングル、"イジメ、ダメ、ゼッタイ"をリリースし、もう一枚のシングル、"ヘドバンギャー!!"をリリースしている。なぜこの2013年という年に特に触れているのか? なぜなら、この年、中元すず香はさくら学院を卒業し、(解散しないとしても)このリード・シンガーなしでBABYMETALが継続していたかも知れないからだ。アミューズのマネージメントは運命的な決定を行った。BABYMETALはスゥメタルと共に継続することになる。
この決定は報われた。同年、BABYMETALは次のシングル、"メギツネ"をリリースするが、スピード・メタルとディスコに加えて、真のグラインドコアの金切り声をもてあそぶものであり、スゥメタル、ユイメタル、そしてモアメタルは、日本のメタル・フェスティバル、ラウド・バークの最年少女性演奏者となったのだ。次の重要な瞬間は翌年訪れた。バンド名を冠したアルバム、「BABYMETAL」は、日本のチャートをゆっくりと上昇し、iTunesによって、ドイツやアメリカのリスナーがこのアルバムを聴けるようになり、批評家たちが興奮して声を上げ、BABYMETALは伝説の武道館で2公演を行った。まだこの頃、BABYMETALはYouTubeを騒がしてすらいなかったのだ。
BABYMETALは昨年、今年とものすごく働いている。グループは、欧州とアメリカのワールド・ツアーを完了した。女の子たちはSLAYER、METALLICA、そしてMEGADETHと並んで、フェスで歌った。DRAGONFORCEと一緒にシングルを録音した。セカンド・アルバム、「Metal Resistance」をリリースした。スゥメタルはロブ・ハルフォードと「デュエット」で歌い、ユイメタルとモアメタルは、エレクトリック・ギターでJUDAS PRIESTのクラシックを演奏した。
私たちは、BABYMETALをユーチューバーに見せ、次に何が起こったのかは信じられないだろう!
2014年にYouTubeのチャンネル、「ファイン・ブラザース」が、3枚のBABYMETALのシングルを、ビデオ・ゲーム・マニアのマーキプライアーからバンドのPENTATONIXまで、選ばれたユーチューバーの一団に見せた。熱狂的なジャンルの変化、理解出来ない日本語、そしてチュチュを着た3人の元気なティーンエイジャーは、まさに「リアクト」(反応)のフォーマットにふさわしいものだった。招かれたゲストたちは、恥ずかしげに頭を抱え、信じられない様子でビデオを見つめ、大笑いし、"ド・キ・ド・キ・モーニング"のリズムに合わせてヘッドバンギングした。PENTATONIXは、BABYMETALのカバー・バージョンを考え始め、突然、まったく新しいオーディエンスが、私たちのお気に入りのJポップ・プロジェクトに夢中になったのだ。
今年、ファイン・ブラザースは、新しいリアクション・ビデオをBABYMETALを迎えて撮影した。今回は、2014年の最初のクリップを女の子たちに見せて、これに反応させたのだ。女の子たちは、PENTATONIXが自分たちの曲のカバーを考えていることを知ってびっくりした。どのポジティブな反応に対しても喜んだ。そして、ショックを受けた反応には理解を示した。BABYMETALは、最初にメタルのクリップを観たときの自分たちの反応はとてもよく似ていたという。とあるインタビューで、ユイメタルは、コバメタルにメタル・ミュージックを紹介された時、最初は怖かったとさえ述べている。
一方で、メタルもユイメタルと2人の仲間たちに対してそれほど良い形では反応しなかった。恐れ、嫌悪、驚き、喜び、興奮、メタル・コミュニティーの反応は様々だった。中には、お気に入りのジャンルを侮辱したとして不愉快とする者も、BABYMETALがどのように自分たちのお気に入りのジャンルの停滞を沸き返らせたのかについて賞賛する者もいた。女の子たちと直に向き合えば、意見を持つことは難しい。
ギミー・ギミー・ギミー!
このことを"ギミチョコ!!"のライブ・キャプチャーを使って例証しよう。この曲は、ファイン・ブラザースのリアクト・ビデオ(反応そのものではない)で使用された曲の一つだ。鋭いスラッシュ・メタルのペース、キーキーと唸るキーボード、点滅する光、スケルトンの服を着て楽器を演奏するバンド(観察力のある読者は既にご存じの筈)、そして黒と赤のドレスを着た誘惑する女の子たちがステージを駆け回り、ちゃんとしたダイエットは残酷で、スリムな体型を維持することは戦いだから、どれだけチョコが欲しくてたまらないのかを歌っている。プロジェクション・スクリーンから、巨大な聖母マリアの像が、カリスマ的なスゥメタルと元気なユイメタルとモアメタルを見守っている。一度も顔をしかめずに、このすべてを吸収しようとしてみると良い。難しいよね。
日本人でない私たちにとって、BABYMETALは完璧にバランスが取れた摩訶不思議さと親しみやすさの組み合わせとなっている。基本だよ、ワトソン君! BABYMETALが多くの場合演奏しているメロディック・メタルは、私たちにとって親しみのあるものだ。聖者の像でさえ、ベテランのメタルヘッドはいぶかしげに眉を上げるだろう。でも、"ギミチョコ!!"のミュージック・ビデオの段階では16歳を超えていなかった若いボーカリストたちの存在、プロフェッショナルな振り付け、そしてファンシーなJポップは、メタルにとって新しいものだった。プロデューサーの頭の中から生まれたアイデアにより、BABYMETALがポップ・グループの派生物として生まれ、ボーカリストたちがメタルのことを知らなかったという事実は、冒涜と思えたかも知れない。いずれにせよ、"ギミチョコ!!"のミュージック・ビデオは既にYouTubeで5,700万ビュー以上を記録しているのだ。そしてメタル・メディアは、「日本人の少女たち」、「制服」、そして「チョコレート」といったメタルでは普通ではないが、魅力的な言葉遣いを記事のタイトルに使用し始めた。天国から送られたクリックベイト。あるいは地獄か。あるいはフォックス・ゴッドか。
要点へ進もう。BABYMETALを否定する連中は、この不愉快極まるポップ・プロジェクトは、姿を現したのと同じぐらい早く姿を消すだろうと予想していた。生き残るチャンスなどない、薄っぺらさや中身のなさが退屈になるだろうと。さて、BABYMETALは2010年に生まれて以来、誰にも止められない。グループは、スゥメタルのさくら学院からの卒業から生き残り、2枚のアルバムをリリースし、メタルに関する知識を得、国際的なフェスティバルを圧倒し、メタル・アイコン(ABBATH、SLAYER、RAMMSTEIN、DEFTONES、LAMB OF GOD、そしてロブ・ゾンビ)と可愛い集合写真を撮影してきた。他のバンドは、ライブ・ショーにおけるBABYMETALのものすごいエネルギー、普通でないところ、そして高い音楽レベルを評価している。忘却の彼方に消えるには遅すぎる。BABYMETALはここに残る。抵抗は無意味だ!
人々がBABYMETALについて語ったこと(記事の隣のコラム)
「彼女たちはヘビー・メタルの新しいフロンティアに向かって先頭を切っている」
ロブ・ハルフォード、2016年APMAsでのBABYMETALとの共演後に
「かわいくない!」
フィル・ワン、"ド・キ・ド・キ・モーニング"ミュージック・ビデオを見ながら
「BABYMETALのための時も場所もあるだろうが、ダウンロード・フェスティバルはそうじゃない」
アンディ・コッピング、DRAGONFORCEがBABYMETALをステージに上げる1年前、BABYMETALがダウンロード・フェスティバルの正式なヘッドライナーの一つになる2年前
「BABYMETALは、あらゆるメタルに対する恥ずべき妨げ」
ロブ・ゾンビのファン
「なあ、あの子たちは、ロードをツアーしてるよい子たちだぜ。むずがるクズ野郎になってどうするんだ?」
ロブ・ゾンビ、自分のファンに応えて
「なにやってまわってるんだ?」
ベンジ・ウェブ、ケラング・アワーズ2016でBABYMETALの受賞スピーチを妨害しながら
「彼女たちを聞いたとき、私には娘が二人いて、上の娘は10歳なんだが、「きっと娘は気に入るだろうな」と思った。たぶん、ジャスティン・ビーバーやONE DIRECTIONから引き離して、BABYMETALに夢中にさせることができるかも知れない。そしてうまく行った」
ミカエル・アケルフェルト、子供の音楽教育に関するBABYMETALの役割について
これが彼らがメタルについて述べたことだ
「もちろんです!」
アリアナ・グランデとCANNIBAL CORPOSEがお気に入りのアーティストか(そしてトマトが好きか)を訊ねられたユイメタルの答え
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[Fakker] カワイイ・メタルが世界を行く(前半)
▼元記事
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翻訳感謝です!w
返信削除チェコさん怖いよw
翻訳ありがとうございます。この記事を構成にしたドキュメンタリーを観てみたくなりました。
返信削除凄いね、チェコ!
返信削除>>プロジェクション・スクリーンから、巨大な聖母マリアの像が、カリスマ的なスゥメタルと元気なユイメタルとモアメタルを見守っている
返信削除LEGEND1997のラストでマリア像が崩れるところを見ていないのかな。
これだけの記事を書く人が見てないとは思えないですが。
削除記事にはふさわしくないとか必要ないとかの判断で削ったと考えるのが妥当ではないでしょうか。