2016年9月3日土曜日

[The Music] BABYMETALは曲を書かないのに、なぜそれでもすごいのか(再掲)

BABYMETALは曲を書かないのに、なぜそれでもすごいのか(再掲)

ジョンティ・シュチウィッキ(2016年3月30日)




[訳注:この記事は以前The Musicに紙版で掲載された時点で訳していますが、タイトルなどが変更になっていますので修正を加えて再掲します]

自分は以前、メタルは「うるさくて、ちょっと怖いくらい」だと思っていたと、英語の曲を録音しながら、(完璧な英語で)ジョンティ・シュチウィッキにBABYMETALのスゥメタル(中元すず香)は語った。

好き嫌いにかかわらず、BABYMETALはセカンド・アルバム、「Metal Resistance」で存在し続ける。メタルと日本のアイドル音楽の組み合わせを一時的な流行だとあざける者たちは、BABYMETALのたゆまぬ勢いによって、そもそも間違っていたことが証明された。このプロジェクトでは、(楽器担当のミュージシャンを含め)ステージ上のメンバーの誰もバンドで曲を書いていない、このバンドは勤勉なメタル・ミュージシャンのアングラ・メタル・コミュニティーを傷つけるものとして批判されてきたが、BABYMETALはただ自分たちの音楽で表現し、インスピレーションを与えたいだけだ。

もちろん、このプロジェクトは、ヴォーカリストのスゥメタル、モアメタル、そしてユイメタルが自分自身でBABYMETALのコンセプトを生み出していたなら、ずっとクールだったかも知れない。でもBABYMETALはどのような形で結成されたかは気にしておらず、今後のことに関心を持っていて、これは始まりに過ぎず、このプロジェクトはメンバーが成長し、メタルというジャンルについて学ぶにつれて、さらに進化すると約束している。

リード・シンガーのスゥメタル(中元すず香)は、「セカンド・アルバムの「Metal Resistance」で、実際これまでやったことのなかった数多くの新しいジャンルで自分自身に挑戦しました…これからも、私たちがここで立ち止まることはありません。私たちは音楽を、そしてメタルをさらに探求したいのです」と語っている。BABYMETALがブラック・メタル、ドゥーム、あるいはグラインドコアを将来のサウンドに取り入れるかについての明確な返事とは言えないが、「Metal Resistance」はバンド名を冠したデビュー作よりも技術的には大きな躍進を遂げており、後半の"Sis. Anger"は、明らかにデス・メタルのイントロを持ち、"Tales of the Destinies"はプログレッシヴな冒険である。

中元はまだ自分自身の歌詞でBABYMETALに貢献していないが、この理由はかわいらしいものだ。彼女自身の言葉を借りれば、「最初にBABYMETALを始めた時に、メタルが何だかまったく分かっていなかったというのは本当です。実際、あの頃、私はメタル・ミュージックがうるさくて、少し怖いと思っていただけでした。メタルに、あらゆる種類のメタルに向き合ってみて、私のメタルに対する見方は本当に変わりました。実際、メタルは思っているよりずっと入りやすい種類の音楽だと感じています。何かを書くことは面白いと思いますが、同時に私はまだその段階に進むほどメタルを理解していないと感じています。私は作曲家や作詞家のような仕事をできるようになるには、もっとメタルについて学ばなければなりません」ということになる。

幸いなことに、「BABYMETALの残りの2人、ユイメタルとモアメタルは、実際、前に曲や歌詞を書いています。二人はとてもそのことを楽しんでいると思います。たとえば、一緒に旅をしていると、二人は曲を書いたり、メロディーをハミングしたりしていて、それはいつもとてもキャッチーで、頭から離れないものになるのです。たぶん二人の方が作曲に興味があるのだと思います」とスゥメタルは言う。中元にとっては、「私は既に曲を発展させたり、ステージで曲を伝えるというとても大きな役割を引き受けています。それだけでとても楽しいので、今の時点ではそのことがすべてです」

メタルに対する中元の見方が変わったことは、新譜の大きなテーマとなっている。「メタルは実際には心を打つものです」と中元は言う。「とても強いイメージがあります。全般にメタル音楽はとてもパワフルで、人々が言うように気が重くなるようなものではなく、メタル音楽は何をしているのであれ、自分を前進させる助けになるのです。それにとてもやる気になることもあります」中元はこのテーマについてさらに説明している。「歌詞はとても積極的で、リスナーにとってとてもやる気を高めてくれる多くのものがあります。たとえば、私たち自身にとってもそうです。特に、"Road of Resistance"という曲は、歌詞が人生で道なき道を進み、見知らぬ場所を探り、自分自身を信じることについて述べています…これは私たちがワールド・ツアーで昨年やっていたこと、たとえばいろいろなことをやったり、異なった音楽のジャンルを実験したりしたことを反映しているのです」

「Metal Resistance」は、BABYMETALの曲ではじめて英詞による曲を取り上げている。中元にとって”The One"は録音セッションで録音が最も難しかった曲だったが、このアルバムで一番誇りに思う曲となった。「"The One"は、英語で歌った初めての曲なので、あまり簡単ではありませんでした」と中元は語り始める。「今は英語を勉強していますが、話をする時に比べて、曲で何かをはっきりと伝えることはとても難しいことが分かりました。トレーニングをしなければなりませんでしたが、これがすべて英語の初めての曲になるので、すべてのファンが理解することが出来る初めての曲になるということでもあります。ファンにこの曲を早く聞いて欲しいですし、この曲にあるメッセージを早く聞いて欲しいのです」

海外のファンとの結びつきを強めるための取り組みが明らかに行われているが、中元はこれがBABYMETALをそのルーツから切り離すものではないと感じている。「今、日本語の歌詞も私たちにとってとても大切なのは明らかで、それは自分たちが誰であるのかを示すものだからです。でももう英語では歌わないという意味ではありませんし、機会があれば、これも十分にありうることです」実際、アルバムの大部分は日本で録音されたが、曲の中にはオーストラリアで録音されたものもある。「オーストラリアにいたときに、私はスタジオにずっと入ったままで、あまり多くは見られませんでした」と中元はオーストラリアへの旅について語っている。「町の中を少しうろつくことはできましたが、それだけでした。たぶんツアーで、いずれまたオーストラリアに戻ってきたいと思います」 ほとんど仕事ばかりで遊べなかったが、中元は録音全体を通じてのハイライトは、自分のオーストラリアでの誕生日だったと言う。「海外にいたので(オーストラリアで)自分の誕生日を祝いましたが、ちゃんとしたケーキではなく、カップケーキを自分の誕生日に贈られたのははじめてでした。スタジオで自分の誕生日を祝うなんて、本当に楽しいと思いました」

▼元記事
Why They Don't Write Their Own Songs, But Kill It Anyway


4 件のコメント:

  1. 再掲にあたり、気付いたのですが原文で
    "Yuimetal and Moametal, the other two members of Babymetal, they actually have written some songs and lyrics before.
    とありますが、
    「既に”数曲”作っている」という事で良いですか?4の歌以外に実弾があるってことですかね。
    アモーレもだいぶ前から存在していたとの事なので、振り付けも出来上がっていてある日突然に披露されるのかも!

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    1. 以前、どこかのインタビューで、すぅちゃんにお題を出してもらって曲を作るという遊びをやってて、その中の一つが「4」だったという話しで、具体例は忘れましたが、いくつかタイトルをあげてましたよ。
      だから、結構未完成の曲とかたくさんあるかも?

      他には、BABYMETALでは無理だと思いますが、さくら学院時代のゆいもあの「揚げパンと冷凍ミカン」とか、すぅちゃんの最初の作詞作曲「ダンゴムシは潰しちゃダメ」とかもありますね。

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  2. この文章すでに英語で読んだ気がします。
    それはさて置き中元さんは嘘がつけない人ですねー。
    文章から人柄が読み取れました。

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  3. すうさん、いい子だよね。
    ひねてなくて、真っ直ぐで育ちの良さが滲み出てる。
    歌うスタイルもテクニックを多用する歌い方でなく、真っ直ぐだからぴったりだ。
    あの歌詞に説得力もたせられるのも、彼女の歌い方がハマっでるからなんだろうな。

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