BABYMETAL:Metal Resistance(過去記事)
ドム・ローソン(2016年3月29日)
日本のポップ・メタルの成り上がりが公然たる反抗を狂乱に変える
正直になろう。君はもう、BABYMETALが良いものか、あるいは説明の付かないできそこないなのかについて、心を決めているはずだ。
結果として、後の方を取る連中は、読むのをやめた方が良い。なぜなら「Metal Resistance」はあらゆる巻き返しという概念の片を付けるからだ。過去2年ほどの俺たちの世界における魅力的で、困惑的な異形である、キツネを振り回すいたずら者たちは、ものすごい数のダイハードなメタルヘッドを味方に引き入れるという、率直にいって圧倒的な技をやってみせた一方で、たぶんちょっと奇妙なことに、—それがメインストリームの世界で何を意味するにせよ—「正統性」という一つか二つの層の下に隠された恥知らずなギミックを好む連中を激怒させてきた。
真実は、BABYMETALが風雲児となったのは、そのパッケージ全体—フォックス・ゴッドに関する魅力的な馬鹿話やバンドの三人のヴォーカリストの悔やむことのない熱意から曲自体の万華鏡のような華やかさまで—が、ものすごい注意と手腕によって作り上げられているからだ。「Metal Resistance」は、ものすごく成功を収めるレコードとなる定めだが、それはすぐに消え去るようなトレンドのせいではない。そうではなく、曲が狂ったようなジャンルの並置とカミソリのように鋭いポップ・ミーツ・メタルの作曲のバランスがこの上なく良いからだ。音楽が実際にスピーカーから爆発して、頬をひっぱたかれるような、最先端以上を行き、輝かしく、狂ったような未来的な領域へと進む制作の仕事ぶりを考慮すれば、BABYMETALが世界的に大きな存在となったことにそれほど議論の余地はなく、むしろ任務を完了したように思えるはずだ。
否定者の中には、BABYMETALが本物のメタル・バンドなのか、あるいは大切にしている価値の皮肉な曲解なのかという疑問が一番引っかかっているポイントだろう。だが、答えはこうだ。もちろん彼女たちはすごいメタル・バンドで、これまでヘビー・ミュージックとキラキラしたポップを融合しようとしたバンドの多くよりもずっと説得力がある。平均的なSLAYERファンが、たとえばISSUESやFALLING IN REVERSEのどの作品よりもこのアルバムを楽しむ可能性がずっと高いことには理由があり、それはBABYMETALがメタルを演奏する時には、a) こうした曲の想像の背後にいる人々が実際に自分たちが何をやっているのかを理解しており、MEGADETHのアルバムを1〜2枚持っており、b)一緒にメタル・ファンを引っ張っていきたいと思っているように響くからだ。
このことは、ブルータルな21世紀のメタル・リフの上にある和声をなすキーキーとした声の不調和な存在から注意を逸らさせるわけではない—それは現在も、そしておそらく未来においてもいつも、断続的に楽しい—だが、ヘビー・メタルに何か「ポップ」なものが吸収されることに対する本能的な異論を避けることができれば、「Metal Resistance」は永遠に君の心にそのキツネの爪痕を残すことになるだろう。特にパワー・メタル・ファンは、ためらわずに飛び込むことをお勧めする。オープナーの"Road of Resistance"と"Amore"はHELLOWEENの畳みかけるような青写真を見事に奪い取ったものであり、"META メタ太郎"はシンプルにシンフォニック・フォーク・メタル・アンセムだ。だがこのアルバムを買うためにDRAGONFORCEやKORPIKLAANIの大ファンである必要はない。"Karate"は最近のどのメタルコアの曲とも同じく、激しくて癖になる。"From Dusk Till Dawn"はふらついたようなゴス・ロックのリフに思考力を奪うようなブロステップのがたがたと揺らすようなウブウブを結び付けており、"Tales Of The Destinies"はPERIPHERYの目に涙を浮かべさせるほどのポリリズムをちりばめた、狂ったようなテクニカル・メタルのかたまりだ。
さて、君は乗るか、降りるか? ここまで読んできたなら、たぶん乗るだろう。いいね。BABYMETALは長続きするし、「Metal Resistance」はばかばかしいが、素晴らしく作り上げられた喜びだ。
▼元記事
Babymetal: Metal Resistance
依頼した者です。どうもありがとうございました。
返信削除ドム.ローソンさんって、物事の表現力と説得力が素晴らしい方ですね。
返信削除それだけ、本人に与えた感銘が手に取るようです。
未だにアンチBABYMETALが多い中で、このようなコメントを書くには決意が要ることでしょうけど、伝えたいという熱意がそれを超越しているのが良く解ります。
と、いいながら
この文章を翻訳しながら、日本語しか分からない私のような者にストレートに響くように訳して頂けたことに感服です。
素晴らしい。有り難うございます。