2017年6月20日火曜日

[Metal Assault] メタルへの壮大な入り口:BABYMETALがソールドアウトのハリウッド・パラディウム・ショーを開催

[Metal Assault] メタルへの壮大な入り口:BABYMETALがソールドアウトのハリウッド・パラディウム・ショーを開催

アンドリュー・バンサル(2017年6月19日)




2017年6月16日、カリフォルニア州ハリウッド、パラディアム:日本の変わったバンド、BABYMETALは、これまでの7年間の活動期間を通じて、名誉と悪名を獲得してきた。ヘビー・メタルと日本の「アイドル」ジャンルを組み合わせたBABYMETALは、ファンと批判者を十分に抱えている。メタルを演奏するバッキング・バンドの前で歌い踊る三人の十代の少女たちは、すべての人間にとってのエンターテインメントというわけにはいかないかも知れない。でも、好きだろうが嫌いだろうが、彼女たちのアメリカにおけるライブ・エンターテインメント市場における急上昇は否定しがたいし、2014年にハリウッドのフォンダ・シアターで初めての米国でのショーを行ってから現在まで、彼女たちは巨大なファンベースを獲得してきた。KORNの夏のスタジアム・ツアーの前座を何度か務める前に、BABYMETALはHELLYEAHを前座に迎えて、6月16日(金)に自身のヘッドライナー・ショーを行うためにハリウッドに戻ってきた。この象徴的で歴史ある3,700人収容の会場は完全にソールドアウトとなり、ファンの興奮は明白だが、初めての客は、好奇心と慎重さをもってこのイベントを迎えた。

ドアが開いたのは午後6時半と早く、パラディアムの入場場所に設けられたTSAスキャナーを、チケットを持った観客の、狂ったほど長い列が次第に抜けていった。だが、BABYMETALのマーチャンダイズを買うための列も同じように長くかった。屋内には2つのマーチャンダイズ・ブースが設けられていたにもかかわらずだ。パラディアムでこれまで見たどのバンドよりも長いマーチャンダイズのための列だった。予想通り、観客はとても若く、このBABYMETAL体験のために親が子供たちを連れてきていたので、ファミリー的な雰囲気があり、多くの十代の少女たちは、バンドのメンバーと同じような衣装を着ていた。疑いもなく、少なくともメタル・ショートしては、パラディアムの歴史上最もカラフルで元気な観客だった。

ヘッドライナーがステージに出る前に、HELLYEAHが午後8時から登場し、その60分のセットで観客を暖めようとした。バンドは自分たちのファンも連れてきており、数多くのHELLYEAHシャツが見られ、いくつかのデビル・ホーン(登録商標出願中)がバンドのセットを通じて掲げられた。だが彼らは初見の客やBABYMETALのファンを勝ち取ることはまずできなかった。セットはおとなしく、興奮に欠けていたからだ。これは実際の公演自体よりも、選曲、それにバンドが向かっているラジオ向けのメタルという音楽的方向性によるものだろう。5人のメンバー、ヴォーカリストのチャド・グレイとドラマーのヴィニー・ポールは特に、観客を盛り上げようとできる限りのことをしており、これは前座に求められるすべてだからだ。HELLYEAHを見る代わりに、かなりの数のオーディエンスがロビーをうろついており、別のことをしていた。バンドはバンド名を冠した曲により、そのシグネチャー・スタイルでセットを終え、みんなが自分たちの名前を唱えるまでステージを去らなかった。全体として、公演はあらゆる意味で、その後に続いたものと明確なコントラストを為していた。

HELLYEAHの残りのヘッドライナー日程:
2017年6月20日 – アリゾナ州タクソン、リアルト・シアター
2017年6月21日 – ニューメキシコ・アルバカーキー、エル・レイ・シアター

9時半になると同時に、照明が落ち、BABYMETALが、ぎゅうぎゅう詰めのパラディアムからのものすごく大きな声援の中、ステージに上がった。神バンドとして知られるバッキング・バンドが位置について、それぞれの楽器をぶっ放し、前面の三人の女の子たちは、Jポップのならいに従って、歌、ダンス、チアリーディングのルーチンでショーを開始した。観客の多くは何を期待すれば良いのかが明らかに分かっていたが、レビュワーの俺自身を含めて、一部は自分が何を目にしているのか考えたまま呆然と取り残された。Jポップ=アイドル・バンドについての知識がない者にとって、BABYMETALのライブ・パフォーマンスのスタイルは、最初は奇妙なものとして現れ、慣れるまで時間が掛かるが、橋を渡ってしまえば、それは純粋で自由なエンターテインメントであり、何よりも、何か新しく、ユニークでショッキングなものを目撃しているのだという理解が、ポジティブな体験へと導いてくれる。

三人のフロントウーマン、スゥメタル、ユイメタル、そしてモアメタルは、完璧に揃ってそのボーカルとステージ上の動きを届け、明らかにこの意味でものすごい練習と振り付けが行われていた。彼女たちは、BABYMETALの目立つ視覚的な特長かも知れないが、それだけの名声にふさわしい神バンドだけがインストを演奏するというショーの中のポイントで、スポットライトを浴びていた。間違ってはならないが、神バンドのメンバーは最高のミュージシャンであり、彼らが演奏する音楽の一部はパワー・メタルやギター・シュレッドに基づくメタルのスタイルに非常に近く、ファンタジーとアニメのテーマに完璧にマッチする種類の音楽だ。BABYMETALは、このバンドで行うことのすべてが日本的なものの真髄であり、日本文化に応えていた。

BABYMETALの最高の部分は、中心は前面のトリオにあるが、観客がすぐれてオーケストレーションされたメタルを楽しむことができるという事実にある。この激しくシアトリカルで、視覚的に刺激的なバンドを見せるために連れてきたのは両親や保護者なので、子供たちはこの音楽を聴くようになる。同じ子供たちが、BABYMETALが開いた入り口を通じて、きっと、よりヘビーで、より知られていないメタルのサブジャンルへと惹きつけられていく。それは素晴らしいことだ。Metal Assaultが2017年にメタルへの入り口となるバンドを勧めるようにたずねられたら、唯一の答えはBABYMETALだろう。

BABYMETALは疑いもなく、現在存在する最もシアトリカルでビジュアルなバンドの一つであり、彼女たちはこのパラディアムの観客に記憶に残るショーを与えるためにあらゆる手を尽くしている。だが、世界の他で行われるショーでは、どれだけ大規模で、より洗練されたステージ・プロダクションが行われていることを知れば、比較的縮小されたアメリカのショーよりも、それがどれだけ信じられないものだろうかと思うことになるだろうし、ファンは、それほど遠くない未来に、バンドがすべてのセットをアメリカに持ってきてくれることを望むだろう。このイベントの成功を考えれば、それほど遠くない歳月に、BABYMETALがフォーラムやステイプルズ・センターでヘッドライナーを務めることになるのは明らかだ。

頑固なヘイターを一生のファンに変えるパワーを持つ、壮大なコンサート体験により、BABYMETALは世界征服への追い越し車線を突っ走っており、一緒にこないかと君を誘うのだ。

BABYMETALセットリスト:
01. BABYMETAL DEATH
02. ヤバ!
03. ド・キ・ド・キ☆モーニング
04. あわだまフィーバー
05. Amore -蒼星-
06. META メタ太郎
07. Sis. Anger
08. メギツネ
09. ギミチョコ!!
10. KARATE
11. THE ONE (English version)
アンコール:
12. From Dusk Till Dawn(初演)
13. Road of Resistance

BABYMETALのKORNおよびSTONE SOURとのツアー残り:
2017年6月20日 – カリフォルニア州チュラビスタ @マットレス・ファーム・アンフィシアター
2017年6月21日 – カリフォルニア州イングルウッド@フォーラム
2017年6月22日 – カリフォルニア州マウンテンビュー@ショアライン・アンフィシアター
2017年6月25日 – アイダホ州ナンパ@フォード・アイダホ・センター

▼元記事
A Spectacular Gateway into Metal: Babymetal plays Sold-Out Hollywood Palladium show




10 件のコメント:

  1. カリフォルニア州LAあたりの大会場はフォーラムやステイプルズ・センターなんだな
    東のMSG、西のフォーラムorステイプルズ・センターがロックの聖地か
    レッチリツアーの会場もホッケーやバスケで2万人埋める大会場だけどね

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  2. Hellyeah のライヴはとても良かったと思うし、ベビメタが受け入れられる
    人にとっては違和感は少ないと思うバンドだと思うんだけど、
    その Hellyeah が苦戦したということはベビメタがメタルへのゲートウェイ
    になるという楽観論はそろそろ疑問を呈したほうがいいんじゃないだろうか

    ベビメタはあくまでワン・アンド・オンリーなバンドであると
    メタル・サイドのジャーナリストも認めた上で今のメタル・バンドが
    ベビメタからどういう部分を吸収して発展させた方がいいかを議論する
    ことこそが焦点であるべきだと思うな

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  3. 最後の一文がとても素敵です。

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  4. 吉田メトゥー2017年6月20日 13:42

    売れる売れると言われ続けて、でもずっと同じところをさまよっている気がする。日本で言えば紅白出場みたいに飛躍できる大きな契機が欲しいよね。

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    1. 紅白で飛躍できる時代はもう終わっているんではないかと。
      それでNHKが紅白を変えるためにベビメタに出場を依頼するも断られていると。
      だって、すぅゆいもあが演歌歌手の後ろで踊ってるのなんてありえないでしょ。
      紅白が変わるには逆に石川さゆりがマティーのギターで天城越え歌うくらいにならないと。

      今年は大人の事情でベビメタ出場ありそうだけど。

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  5. HELLYEAHに対して厳しいねぇ。
    ここんとこベビメタは前座を多くやってて
    こういう記事にもたくさん出てきてるけど、その大半は高評価、絶賛が多い。
    でもそういうのはお決まりのことで、なんでもかんでも褒めるんだろう
    と思ってたんだけど、今回のHELLYEAHに対する評価を見て
    やっぱベビメタはマジで評価されてたんだなと 思った。
    でもほんと 今後の展開の予想を含め凄い褒めようだな(笑)。

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  6. そんなにシアトリカルかな?LEGENDシリーズまでだよ実質シアトリカルだったのは。パラディアムはパイロもレーザーもなく普通にシンプルなライブ形式だったが。メタルライブで振付があったり女子のユニットがフロントに立つだけでシアトリカルに見えるのか?

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    1. ベビメタをずっと見てる人からしたら
      以前に比べてそういう部分がなくなってきたと感じると思う。
      でもベビメタのステージを知らないで
      ずっと通常のライブを観てきた人からすると
      今のベビメタでも十分シアトリカルに映るんだと思う。
      最初のBMDも儀式みたいだし
      その後のドキモ、メタ太郎、メギツネ、KARATE、RoR等々
      曲自体にそういう要素を含んでると思うし。
      ベビメタのダンスは歌詞を視覚化してると言われるけど
      そういう部分も演劇的な感じがするかも。
      あと途中にMCが無く、曲だけで進行していくのも
      ミュージカルを彷彿とさせるのかも。

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  7. いつもありがとうございます。
    見慣れないサイトですがレビューが出ています。

    BabyMetal Draws in the Crowd Yet Again with a Sold Out Hollywood Showcase!
    http://www.nataliezworld.com/2017/06/babymetal-draws-in-crowd-yet-again-with.html

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  8. シアトリカルっていうのは、何もドレスアップしているとか、ステージセットが凝っているとか言うだけじゃ無く、「全部振り付けられた」とか「シナリオがある」とかいった感じのことかと。
    普通のバンドって言うのは、その場その場のひらめきでパフォーマンスするスタイルなので、言ってみれば「即興性」。そこにはシナリオは無いわけで、ベビメタのように、最初から最後までルーチン化しているものは「演劇的」ってことかと思う。

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