2018年5月21日月曜日

[Noise Pollution] コンサート・レビュー:BABYMETAL('18年5月18日、ナッシュヴィル、マラソン・ミュージック・ワークス)

[Noise Pollution] コンサート・レビュー:BABYMETAL('18年5月18日、ナッシュヴィル、マラソン・ミュージック・ワークス)

ジェイムズ・メイズ(2018年5月20日)






BABYMETALほど意見が両極端に分かれるバンドが音楽界にあるだろうか?

このバンドが、2014年のバンド名を冠したデビュー・アルバムをリリースして世界的にブレイクして以来、バンドはメタル・ファンを二分してきたように思える。BABYMETALのブルータルなメタル・リフとJポップの奇妙な融合が好きな連中と、このバンドが触れるものを聴くくらいならすごんでみせる連中だ。

私が前者であることは認めよう。'14年の国際的なデビュー作を新鮮な息吹と感じた。このバンドはメタルの伝統を壊し、「メタル」がどうありうるのかというアイデアを拡大した。だがそれがどうした? プログレ・メタル・バンドはあれを30年もやっている。

(私はここでバンドを以前擁護している。)

だが誰もがそういう見方をしているわけではない。IMN(インターネット・メタル・ナード)の中には、BABYMETALをあまりにヘイトしているために、BABYMETALが好きなあらゆる人を小児性愛者と非難する(3人の女性の主人公、スゥメタル、モアメタル、それにユイメタルはバンド結成時にそれぞれ14歳、12歳、12歳で、デビュー・アルバムをリリースした時点でも最年長がまだ16歳だった。)

でも私は他の連中がどう思うのか無理して相手にしようとは思わないし、インターネット上で他人の結構なご意見を受け取ることにも関心がない。私が興味を持っているのは、私を陶酔させ、言葉もなくしてくれるようなライヴ音楽によるスペクタクルだ—そしてBABYMETALは、ナッシュヴィルのマラソン・ミュージック・ワークスにおけるソールドアウトのショーで、5月18日(金)にまさにこの経験を与えてくれた。

エピックなイントロが、ステージ一杯のスクリーンに映し出された瞬間から、最後のエピローグまで、満席の観客は釘付けになっていた。君の知っている典型的なメタル・ショーではなく、本当に、なんてこった。私は人生を通じて典型的なメタルショーを見てきた。私は何か新しいものが欲しいんだ。

2018年のワールド・ツアーの背景には何か物語があるが、バンドの音楽については良く知っているが、私はストーリーを説明できない。フォックス・ゴッドが七人の選ばれし者(?)を名付けただか創造しただかで、これがダークサイド(?)から降りてきて……何かをする? なんだって? 勘弁してくれ。

だが気にするな、これはどうでもいいんだ。バンド(ユイメタルが一時的にツアーから外れているとしても4人の女性主人公をフィーチャーした)バンドは、この晩の最初の一音から圧倒した。

ブルータルなSlipknotスタイルのメタルの学校で学んだミュージシャンのラインナップによるバンドは、一流で、それがインストゥルメンタル・ナンバーを演奏する中、ファラオのフォックス・ゴッドの衣装とマスクをまとった4人のスターが、ステージでピッタリと合わせて大きな杖を振る。次の曲でマスクが外されると4人はポップ・ショーでまず普通予想するような同期したダンスのセットを開始する。

だがこれはポップではない、少なくとも私たちが知っている「ポップ」ではない。BABYMETALのポップとメタルのハイブリッドはあまりに流麗なので、バンドは基本的に両方のジャンルを同時に演じている。サウンドはブルータルだが、ポップばかりでなく、エレクトロニカやヒップホップの香りもある。だがメタルは基礎であり、常に存在している。

ステージには4人の主役がいるが、リード・ヴォーカリストのスゥメタル(中元すず香)がスターだ。バンドは彼女の声を中心として構築されており、まだ20歳の若さながら、彼女はナッシュヴィルのステージを支配した。くすくす笑っている女学生どころではなく、スゥメタルは、自信に満ちた揺るぎないステージ上の存在だ。スゥメタルにグループをひっぱらせることを選んだ時に、偉大さの要素を見出したプロデューサーたちは、自分たちが何をやっているのかを理解していた。

モアメタルと残りの主役たちは、常時同期の取れた動きをしており、この4人は印象的なユニットとなるところまで振り付けされ、リハーサルしている。スゥメタルは時々ステージにソロで立つが、女の子たちの一人一人がスポットライトを浴びる瞬間があり、特に戦っているようにみえる、信じられないような空手スタイルのダンスでは、ハイキックで偶然誰かを蹴り倒してしまうのではないかと思い続けていた。

ショーのハイライト? いくつか選ぶだけでも難しいが、特に目立っていたのは、"メギツネ"、"ギミチョコ!!"、"Distortion"、"GJ"、それに"The One"だ。音楽上の退屈な瞬間など存在しなかった。特にものすごいナンバーの後で、私は「神様、彼女たちは素晴らしい!」と叫んでしまった。会場の様子からすると、満員の観客の残りも同意していたと思う。

65分でショーはあまりに早く終わった……だが妻と意見が一致したのだが、あれだけのダンスや動きを考えれば、これ以上長いショーをやるのは女の子たちにとってきつかっただろう。

誹謗中傷を行う連中が、BABYMETALのファンは少女たちに性的な関心を抱いていると訴えるから、4人の主役たちを静的なかたちで示すようないかなる試みもなかったと言っておく。衣装(私が見逃していなければ、二度衣装替えをしている)は、頭の天辺からつま先まで四人をかなり覆い隠していた。ドリス・イエのような太ももまでのブーツやガーターなど存在しない。見えていた唯一のむき出しの肌は、上腕だけだった。

スゥメタルやモアメタルたちが投影するイメージは、カワイサやセクシーさではない。その代わりに彼女たちが投影するのは、パワー—正当で、確信に満ち、堂々としたパワーだ。

ショーは、アメリカの音楽の多くにあるような、むき出しのセクシズムやたいくつな誇張された(しばしば女性の「エンパワーメント」というかたちであまりうまくなく押しつけられる)セクシュアリティとは大きな隔たりがある。9歳になる娘を連れて行くなら、ビヨンセやBUTCHER BABIESのショーよりも、BABYMETALだ。

現在、バンドの現在のツアーでは、もう1公演、すなわち20日(日)のロック・オン・ザ・レンジが残されている。その後、バンドは6月にフェスを回るために欧州に行く。だが、BABYMETALをライヴで観るチャンスがあったら、見逃してはいけない。私にとって、ナッシュヴィルの金曜のショーは、記録的なショーの一つだった。

残りの2018年米国・欧州ツアー日程:

5/20 - オハイオ州コロンバス@ロック・オン・ザ・レンジ
6/01 - ドイツ、ニュルブルク@ロック・アム・リンク
6/02 - ドイツ、ニュルブルク@ロック・イム・パルク
6/04 - オーストリア、インスブルック@ミュージック・ホール
6/05 - オランダ、ユトレヒト@ティヴォリ・ヴレデンブルク
6/09 - 英国、ダービーシャー@ダウンロードUK

(日本のツアーは秋に予定されている)

▼元記事
Concert review: Babymetal (Marathon Music Works, Nashville, 5/18/18)







3 件のコメント:

  1. …おや、6月6日のユトレヒト2日目を落としてますね。
    ま。それは如何でも良いでしょう。マッスルシスターズがBMの一員として完全に認知された様で、それが大収穫でしょう。
    また、BMをむき出しのセクシズムやたいくつな誇張されたセクシュアリティに頼らざるを得ないアメリカの他の女性グループと一線を画する「9歳の娘を連れて行ける」存在としても認識もされつつある様ですね。
    アメリカのステージ音楽も堕落し絶望されていたという事は日本同様って事か…
    「9歳の娘」はLIGHT SIDE でのステージを期待していたのかも知れないね。
    DARK SIDE のステージは絶賛を博し、さらにBMは確実に進化している。
    しかし、LGHT SIDE で更に進化したBMも「9歳の娘」さんに見せてやっても欲しいね、次は。

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  2. 吉田メトゥー2018年5月21日 21:10

    こういう礼賛記事からは得られる「改善」がないんだよね

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    1. ここにまで出没するのか。アンチなんだから、わざわざ来なくていいのに。しかも翻訳していただいている記事に文句言うのはお門違い。

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