2018年2月26日月曜日

[Jot Down] BABYMETALの奇妙な旅路(その4)

[Jot Down] BABYMETALの奇妙な旅路(その4)

エミリオ・ド・ゴルゴ

[スペイン語からの重訳です]






業界の一部であり、特にヘビー・メタルのコミュニティーでビッグネームである人々からBABYMETALがどのように受け入れられるのかを確かめる必要があった。レディー・ガガがBABYMETALをコンサートの前座に使ったのは音楽業界内での大きな後押しになったのは事実だが、もちろんこれはメタル・ピュアリストを納得させるというほどの添え状ではなかった。ただし、女の子たちがアメリカやカナダのフェスティバルで演奏するようになると、彼女たちとポスターをシェアしたグループは、彼女たちの演奏に敬意を払うようになった。彼らはBABYMETALを擁護し始めさえした。例えば、ダウンロード・フェスティバルのプロモーター、アンディ・コッピングが自分のイベントにはBABYMETALを呼ばないと言ったときがそうだった。「BABYMETALにはふさわしい時間や場所があるだろう、だがそれはダウンロード・フェスティバルではない」と。コッピングはBABYMETALを「日本の流行物」と呼んだ。

このプロモーターの批判に対する最高で最も面白い反応は、女の子たち自身から出てきた。2015年6月、BABYMETALが出入り禁止になっていたダウンロードの開催中に、混乱したコッピングはそのツイッター・アカウントにこんなメッセージを載せた。「俺は舞台裏でBABYMETALを観たぞ。何が起こってるんだ?」 そして何が起こったのかというと、女子たちはポスターに載っているメタル・グループの一つで、別の機会で既に知り合っていたDRAGONFORCEのゲストとしてフェスティバルにやってきていたのだ。コッピングの拒絶に怒ったDRAGONFORCEが、三人の女の子たちをステージに上げ、"ギミチョコ!!"という曲を演奏したので女の子たちはプロモーターの目の前でこの曲を歌い通すことができた。女の子たちは、フェスのロゴの前でホーンを掲げるという皮肉な写真を撮影した。私が知る限り、ヘビー・メタル・バンドが出入り禁止になったフェスに登場した例はなく、この三人の女学生たちは、SEX PISTOLS張りにこれを無視して、プロモーターの願いに反して演奏したのだ。スゥメタルのマイクにいささか問題はあったが、だとしても観客の反応は良く、DRAGONFORCE自身(特にキーボード奏者)も楽しんだ。友人となったDRAGONFORCEとの共演はこれが最後とはならなかった。BABYMETALをけなそうとしていた連中にとって、最も予想外のところからBABYMETALの擁護者が出てきた。ロブ・ゾンビはフェースブックで自身のファンと戦い、BABYMETALに感動したと述べ、「あの三人の女の子たちは、俺たちがいつも演奏してるバンドの90%以上にエネルギッシュだ」としている。

バンドのセカンド・アルバム、「Metal Resistance」は2016年にリリースされた。英国のチャートでは15位に達し、これは日本のアーティストとして同国での最高位となった。BABYMETALはまた、ウェンブリー・スタジアムでヘッドライナーを務めた最初の日本のグループになった。まもなく、彼女たちはアメリカのトップ・テレビ番組でデビューを飾る。ロブ・ハルフォードは、彼女たちのライヴの一つに出演し、スゥメタルと共にJUDAS PRIESTを2曲歌った。RED HOT CHILI PEPPERSは複数のツアーでBABYMETALを前座に使い、メンバーが何度かステージで共演した。例えば、チャド・スミスは、BABYMETALが自分たちのレパートリーに加えていたJUDAS PRIESTの2曲を演奏し、神バンドの追加メンバーとして衣装とメーキャップをまとった。それからまもなく、女の子たちはソウルでMETALLICAの、東京でGUNS N' ROSESの前座を務めた。ジョイント・ツアーの最後にチャド・スミスがJUDAS PRIESTの"Painkiller"と"Breaking the Law"を演奏するところを見て欲しい。スゥメタルのようなメロディアスでかわいい声のために作られた曲ではなく、JUDAS PRIESTのスタイルからは何光年も離れていることは明らかだ。だが"Painkiller"は歌うのが難しく、ロブ・ハルフォードでさえ、楽ではないし、私自身ならグロウルするくらいしかできないと思うのに、スゥメタルは恐ろしく分かりやすい形でこの曲をこなしている。また、彼女が舞台上でのカリスマを育て、他の二人の仲間の振り付けがなくても、一人でステージをこなせることも明らかだ。

[チャド・スミスとBABYMETALのビデオ]

もっとワクワクしたいなら、演奏の最後に、チャド・スミスがケーキを取り出し—すず香の誕生日は翌日だった—観客に「ハッピー・バースデイ」を歌わせるところを見て欲しい。でもバンドがBABYMETALに対して親のような態度を取るのは理解出来る。RED HOT CHILI PEPPERS、DRAGONFORCE、あるいはMETALLICAは、特に何か見慣れないものと向き合ったときに、必ずしも歓迎的とは言えない観客の前に登場して、これに直面することがどういうことか、誰よりも分かっている。彼らはまた、そのスタイルにもかかわらず、スゥメタルが偉大なシンガーであり、スター性を備えていることも知っている。彼らが自分たちの女の子たちに対するサポートを良く見えるようにしたいと考えているのは論理的だが、これを理解するには、ラジオ番組でなぜ自分がBABYMETALのファンなのかを説明したSLIPKNOTのコリィ・テイラーの言葉に耳を傾けるべきだ。BABYMETALをKISSと比較しながら、子供のリスナーにとってこのグループが何を意味するのかについて解析したテイラーの言葉はとても雄弁だ。

私は自宅でBABYMETALのアルバムをかけたことがない(ただし、"ギミチョコ!!"など何曲か聴くのは楽しんでいる)が、私がこの三人の少女たちが成し遂げてきたことに敬意を払っているのは本当だ。それは努力と献身の代償であり、またありえないような勇気が必要だったからだ。そして彼女たちは自分たちの技であるカワイイ・メタルが得意なのだ。私はNIGHTWISHのコンサートよりもBABYMETALのコンサートの方がずっと行きたい、正直なところ。リボンをつけてね。少なくとも見ていて楽しいんだ! 他の連中が埋葬中のように思えるんだから、ダンスなんかがあった方がいいじゃないか。

[了]

▼元記事
El extraño viaje de Babymetal






5 件のコメント:

  1. 記者自身はBABYMETALの熱心なファンではないようだが、なぜBABYMETALがメタルコミュニティの一部やメタルレジェンドの一部から受け入れられて・評価されて・熱狂されているのかを、客観的(集団や第三者の言動を参考にする等の)観点でとらえようとする態度や、BABYMETALが成し遂げた事実や影響に対する敬意を持った姿勢に好感を持てました。

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  2. 長文翻訳ありがとうございました。
    心より感謝いたします。

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  3. 長文をお疲れ様でした。
    アンディ・コッピングのくだりは、後から情報を追った筆者にはあの「プロレス感」が伝わってないのは残念でした。
    フェスの主催に無断で楽屋に出入りしたりステージに立てるわけがありませんね。

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  4. ボリューム満点の記事を書いてくれた記者さんには感謝感謝ですね。
    記者さんがもいもいにはまるのは次のステップかw

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  5. この長文で彼女たちの勇気に着目してくれた記者に感謝しかない
    不可能に挑む、ベビメタの本質だと思う

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